第九話 魔法決戦(4)対決(脚本)
〇華やかな裏庭
天羽春乃「まにあったかな!?」
ディアナ「ノバテ アッペラ フォラビッ! ノバテ アッペラ フォラビッ!」
ディアナは疲労困憊の様子だ。
ラック「よし、まだ終わってない」
天羽春乃「あとどのくらい?」
ラック「あそこの画面を見てみろ」
呪文のカウントは、〝9950〟をすぎたところである。
ラック「あれが10000になったら儀式は終わりだ」
ラック「それと同時に、生贄たちの魂は肉体から抜け出ちまう」
天羽春乃「あと50回で、弥生ちゃんと千尋ちゃんが死んじゃうってこと!?」
アヤメ「しぶといですね、まだ生きてたんですか?」
ラック「リターンマッチか、さっきとはわけがちがうぞ」
ラック「春乃、姉妹を助けたいなら儀式を妨害するんだ」
ラック「殺されないていどにな」
天羽春乃「ラックちゃん、だいじょうぶかな・・・」
ディアナ「ノバテ アッペラ フォラビッ! ノバテ アッペラ フォラビッ!」
一方、ディアナは春乃の姿に気づきながらも、呪文の詠唱を続けていた。
天羽春乃「ヤバい!!」
〇養護施設の庭
天羽春乃「そこまでだ、ディアナさん!!」
春乃は、セッケン大の庭石を目にする。
天羽春乃「パーリル マクテク ポーナパルト♡ 石よ、命中しろー!!」
ディアナ「はっ!!」
ディアナ「・・・あんた、やるならあたしにぶつけなさいよ」
天羽春乃「え~石が当たったら痛そうだし・・・」
ディアナ「その甘ったるい性根・・・」
ディアナ「あんたたちって、ほんとにいちいち癪に障るわね!」
天羽春乃「ディアナさん、儀式を中止してください!!」
天羽春乃「でないと、もっと邪魔します!!」
ディアナ「五月蠅い! やはりさっさと殺しておくべきだったわ」
ディアナ「今すぐ魔法で、むごたらしい屍にしてあげる」
天羽春乃「の、望むところです!」
ディアナ「・・・ちょっと待っときなさい」
天羽春乃「・・・?」
ディアナはデスクのほうにむかい、また栄養補給している。
〇華やかな広場
一方、ラックとアヤメの死闘は佳境を迎えていた。
アヤメ「お逝きなさい!」
ラック「冷血女め!」
アヤメの素早い斬撃を、ラックは紙一重でかいくぐる。
ラックは隙を突いてアヤメの顔面に取りつき──
両目を牙でくり抜く。
アヤメ「クッ・・・!」
ラック「姿を消したか! だが匂いで丸わかりだぜ!!」
ラックは姿が見えなくなったアヤメに飛びかかり、首筋を噛みちぎる──
とたんにアヤメの身体は、渇いた音を立ててバラバラに散乱する。
ラック「どのパーツも、まるでセルロイドだ」
ラック「変な嚙みごたえだと思ったら、こいつは作り物の人形だったのか・・・」
ラック「自分にかしずかせるために、ディアナが〝生人形〟の魔法で自作したんだな」
〇養護施設の庭
天羽春乃「・・・・・・」
ディアナはまだ休憩している。
ラック「春乃!!」
天羽春乃「ラックちゃん! よかった、無事だったの?」
ラック「ああ、メイドは片づけた」
ディアナ「悪い子には、お仕置きが必要ね」
天羽春乃「ギクッ!」
ディアナ(フゥ・・・ようやく疲労回復したわ)
ディアナ「今度はちゃんと、大魔法のお手本を見せてあげる」
ディアナは不意に、ドレスの裾をめくりあげ、ショーツの中に右手を潜り込ませる。
天羽春乃「ちょっと、ディアナさん! お行儀が悪いですよ!」
そして膣内に挿入して湿った中指を空にむける。
ラック「まずいな、雷撃だ」
天羽春乃「雷さん?」
ラック「強力な攻撃魔法だ。百人の鎧騎士を一瞬で黒焦げにするほどのな」
ラック「春乃、厳しいが防御だ」
天羽春乃「パーリル マクテク・・・」
ディアナ「消し炭になりなさい! イプスム フルメン!!」
ラック「春乃! ステッキを投げろ!!」
天羽春乃「うん!」
天羽春乃「・・・・・・生きてる」
ラック「魔法のステッキが避雷針の役目をして、雷撃を受け止めてくれたんだ」
ディアナ「あら、運よく逃れたわね」
ディアナ「魔法少女なんて雑魚ばかりだけど、アイテムの性能だけはいいのよね」
ディアナ「じゃあ、これはどうかしら」
ディアナ「〝われドラコとならん。悲しみ、嘆き、憂さ多きドラコに〟・・・」
ディアナは不吉な呪文をつぶやきはじめる。
天羽春乃「見て! ディアナさんの顔がだんだん伸びていくよ!?」
天羽春乃「それに体もグングン大きくなって!!」
ラック「まさか、あれをやる気か・・・!!」
天羽春乃「ラックちゃん、なに?」
ラック「変身魔法だ。それも最上級の・・・!!」
天羽春乃「うそ!? ディアナさん、何に変身するの!?」
ラック「あの様子だと、おそらく・・・」
〇養護施設の庭
ディアナ「〝われ、悪魔が軍門に下らん。ふたたび家にもどるときまで〟・・・」
〇黒
つづく
次回予告
第十話 魔法決戦(5)真の姿
またみてね!
真の姿を見せてきましたか。
負けるなハルノちゃん!