第3話 手羽先(脚本)
〇海辺
前回までのあらすじ
三太郎とニワトリ、無人島生活がスタート!
水もない、食料も無い、喉もカラカラ!
運良く、漂流物の飲料水で一命を取り留めた三太郎とニワトリ!
しかし、肝心な食料がまだ手に入っていないのであった・・・
どうする、三太郎!?
諦めるな、三太郎!!!
そろそろ何か胃に入れよう、三太郎!!!
〇空
三太郎「なぁニワトリよ」
ニワトリ「コケ・・・?」
三太郎「良い知らせと悪い知らせがあるのだが」
三太郎「どっちから聞きたい?」
ニワトリ「コケ・・・」
三太郎「そうか・・・」
三太郎「じゃあ悪い知らせから」
三太郎「俺たちが漂流して、もう5日が過ぎた」
三太郎「その間、食料を一切口にしていないので」
三太郎「今日あたり、そろそろ死ぬと思う」
ニワトリ「コケ・・・」
三太郎「あぁ、良い知らせの方な」
ニワトリ「コケコケッ・・・」
三太郎「まぁ、そう焦るなよ」
三太郎「2日前かな」
三太郎「魚を獲って食べようと思って」
三太郎「岩場で網を仕掛けていたんだ」
三太郎「今朝、様子を見に行ったら、」
〇海辺
三太郎「魚がかかってましたーーー!!!!!!」
ニワトリ「コケーーー!?!?」
三太郎「今晩の飯は刺し身だ!刺し身パーティだ!」
三太郎「早速、獲物を回収しに行くぞ!」
ニワトリ「コケー!」
〇海岸の岩場
ニワトリ「コケコケ!」
三太郎「まてまて、そっちじゃない!」
三太郎「確かこの辺りに・・・」
三太郎「・・・あれ?」
ニワトリ「コケ?」
三太郎「おかしいな・・・」
三太郎「今朝見たら、2〜3匹の魚が掛かってたんだが・・・」
三太郎「網ごと無くなってる・・・」
ニワトリ「コケッコケッ!」
三太郎「ちがう、本当なんだ!」
三太郎「魚の群れも見たんだ!」
三太郎「少し先の沖合で・・・」
三太郎「・・・?」
三太郎「群れも、いなくなってる・・・」
ザザザッ
三太郎「ん・・・?」
三太郎(いま・・・何か見えたような)
三太郎(魚がいなくなった理由って・・・)
三太郎(まさか・・・)
三太郎(まさかまさかまさか!)
三太郎「逃げろっ!ニワ―」
「うわぁ!!!」
ニワトリ「コケ―ッ!」
〇水中
ゴボゴボッ・・・
ゴボッ・・・
ひぃっ!
こいつ、白衣に噛み付いて・・・!
やばいやばい、これはやばい!
離せ、離せっ!
白衣が破れたっ!
やった!今がチャンス!
はやく、はやく、はやく!
〇海
三太郎「ぷはっ!」
三太郎「やばい、やばい、早く岸に・・・」
ザザザザッ!
三太郎「うわぁ!!」
三太郎「くそっ、これでも、噛んでろ!」
三太郎「おいおい嘘だろ・・・」
ザザザザザッ
三太郎「死・・・」
コケ―ッ!!!
ニワトリ「コケッコケッ!」
三太郎「ニワトリ!?」
三太郎「お前、泳げたのか!?」
ニワトリ「コケ!!!」
・・・!!!
三太郎「だめだ、あんまり効いてない!」
三太郎(何か、弱点は・・・?)
三太郎(そういえば、水産学部の磯貝が・・・)
三太郎(前に言っていたような・・・)
〇並木道
磯貝「やぁ、チキン君、おはよう」
三太郎「おはよう、磯貝」
三太郎「君も徹夜明けか?」
磯貝「まぁな、お互い忙しくて何よりだな」
磯貝「ところでチキン君」
磯貝「前に俺がオススメした映画、観てくれた?」
三太郎「ごめん、まだ見てないや。なんだったっけ?」
磯貝「サメが竜巻に乗って襲ってくるB級映画」
三太郎「・・・君はサメの生態を研究しているのに」
三太郎「論理破綻してるB級映画をオススメするってどうなの?」
磯貝「いいんだよ、映画は娯楽」
磯貝「常識から外れてるからこそ、面白い」
三太郎「そうかなぁ」
三太郎「それで、主人公たちは、どう対抗するんだ?」
三太郎「竜巻に乗ったサメに」
磯貝「なんだ、興味あるんじゃないか」
三太郎「うるさいな」
磯貝「ショットガン打ったり、爆弾を投げ入れたり」
磯貝「ハンマーで鼻柱殴ったりするぜ」
三太郎「鼻柱?」
磯貝「知らないか?サメの弱点」
磯貝「神経が集中してて敏感なんだ」
三太郎「へぇ、鼻ねぇ・・・」
〇海
三太郎「ニワトリ!!!鼻だ!鼻を叩け!!!」
ニワトリ「コケ―――ッ!!!」
・・・!!!
三太郎「やった、やったぞ!」
三太郎「撃退したぞ!ニワトリ!」
三太郎「・・・ニワトリ?」
ニワトリ「・・・」
三太郎「おい、しっかりしろ!ニワトリ!」
〇海岸の岩場
三太郎「羽のところ、浅い怪我をしているな・・・」
ニワトリ「コ・・・コケ」
三太郎「もう大丈夫だ、止血したからな」
三太郎「それにしても、お前、ほんとすげえよ」
三太郎「一匹で、巨大なサメを追っ払っちまった」
三太郎「これは生態ピラミッドが崩れる予感・・・」
ニワトリ「コケ〜・・・」
三太郎「ありがとうな、ニワトリ」
忘れてた・・・
腹が減ってたんだ・・・
美味そうだな、コイツの二の腕
よく見たら、筋肉もりもりだし
手羽先にしたら、最高だろうなぁ・・・
・・・だめだめだめ!
何考えてんだ!馬鹿か俺は!
間違っても、命の恩鶏だぞ!
ああ・・・手羽先・・・
食べてぇなあ・・・
〇大衆居酒屋
三太郎(はい、いつものお約束)
三太郎(気づいたら、居酒屋にいる!)
三太郎(自分の才能が恐ろしいな!)
三太郎(では、早速)
店員「手羽先こしょう、お待たせしました〜」
三太郎(きたきたきた〜〜〜!)
三太郎(カリッカリの表面に、たっぷりの黒胡椒・・・!)
三太郎(手羽先は食べ方が決まってるんだよな)
三太郎「1、『手羽先をひねってちぎる!』」
三太郎(おぉ・・・)
三太郎(香りだけで、胃が暴れ出しそうだ!)
三太郎「2、『ちぎった身を口で挟んでひっぱる!』」
三太郎「・・・うんまっ!!!」
三太郎(スパイシー、そんでもってジューシー!)
三太郎(そしてこの辛さ!クセになるなぁ〜!)
三太郎「3、『骨に残った肉を残さず食べる!』」
三太郎(小骨に気をつけながら、肉を貪る!)
三太郎(しゃぶってしゃぶって、骨だけに!)
三太郎(ニワトリに敬意を表し、骨だけに!)
三太郎(行儀悪く食べても、誰にも文句言われないのがいいよな!)
三太郎(・・・ちょっと3本じゃ足りなかったかな)
三太郎(もう2本追加しよっと!)
店員「手羽先タレ、お待たせしました〜」
三太郎(黒胡椒の次はタレで味付け!)
三太郎(いくつでも食べられそうだ!)
三太郎(ん〜〜〜うまい!)
三太郎(タレ手羽先、大正解)
三太郎(行儀悪く、ただひたすら、食う!)
三太郎(・・・)
三太郎(これは、あれだな)
三太郎(あれが、ほしくなるな!)
店員「は〜い、ビールです」
三太郎「んぐっ、んぐっ、んぐっ・・・」
三太郎「っか〜〜〜!!!」
三太郎(たまらん!ぶっ飛びそうだ!!!)
三太郎「ごちそうさまでした!!!」
店員「は〜い、お粗末様でした」
三太郎「あ、店員さん・・・」
三太郎「お恥ずかしい・・・」
店員「いえいえ、ご満足いただけて嬉しいです〜」
店員「手羽先のおかわり、いかがですか?」
三太郎「あ、はいっ!ぜひ!」
店員「少々お待ち下さいね〜」
店員「今からこの子を捌きますので〜」
三太郎「えっ!?ちょっ、」
三太郎「待って!待ってくれ!」
三太郎「そいつを、捌かないでくれー!!!」
〇海岸の岩場
三太郎「おねえさーん!!!」
三太郎「よかった、夢か・・・」
ニワトリ「・・・コケ」
三太郎「なんだよ、その目は」
ニワトリ「コケッコケッ!」
三太郎「いたたっ!つつくなよ!」
三太郎「もう動いて平気なのか?」
ニワトリ「コケッ!」
三太郎「よかった、ほんとうによかった!」
三太郎「ありがとうな、ニワトリ」
ニワトリ「コケ―ッ!」
ザザザッ
三太郎「ん?」
三太郎「おい見ろ!魚の群れが、戻ってきた!」
三太郎「きっとサメを追い払ったからだ!」
三太郎「チャンスだ!早速、網を仕掛け直すぞ!」
ニワトリ「コケ―ッ!」
〇海
三太郎「よいしょっと!」
ニワトリ「コケ―ッ!」
三太郎「ははっ、やった、やったぞ!」
三太郎「ついに食料を手に入れた!」
三太郎「今晩は刺し身パーティだな!」
ニワトリ「コケコケーッ!」
〇取調室
通訳「サメに襲われて、よく生き残れましたね」
税関職員「ジョーズ、ジョーズ!ハハッ!」
ほんと、あいつがいなかったら、とっくに死んでました
通訳「そして、その後は?」
僕もあいつも、疲労が溜まっていたので
風呂を作って、入ることにしました
税関職員「フロ!ジャパニーズ、オンセン!」
無人島での風呂は、最高の時間でした
これすごく面白いですね
三太郎とニワトリが
普通に会話成立しちゃってますし
合いの手の税関職員もいい感じで
ひ、表紙が変わってる!
凝ってますねぇ
いやあ、さすがニワトリ!サメに立ち向かう勇気が素晴らしいですね!そして見事撃退してしまうとは😭😭😭笑
そして今回もとてもお腹が空きました😆読む時間間違えたな……
次話も楽しみにしてます♡