エピソード10(脚本)
〇ホテルの駐車場(看板あり)
弘美のリップと一緒に『港町倉庫に一人で来い』と書かれたメモがある。
高島守「そんな・・・嘘だろ」
???「高島さん!」
高島守「・・・・・・」
???「高島さん! しっかりしてください」
高島守「・・・あなたは」
???「田中です」
高島守「はあ・・・」
田中正義「覚えてませんか? ビルの屋上で」
高島守「ああ、あの時の・・・。 ニュースでは意識不明の重体だって・・・」
田中正義「ええ。そういうことになってますね」
高島守「そういうことになってる?」
高島守「まあ、平気そうで良かった・・・」
田中正義「ご家族。連れ戻しに行きましょう」
高島守「家族は、音無に・・・」
メモを握りしめる高島。
田中正義「今ならまだ間に合いますよ!」
田中正義「取り返しがつかなくなる前に行きましょう」
高島守「え! 家族は無事なんですか?」
田中正義「説明はあとです。早く車に乗ってください」
〇車内
高島守「ああ・・・どうしたらいいんだ」
高島守「完全に俺の判断ミスだ。みんな、許してくれ」
田中正義「ご家族はきっとご無事です」
高島守「どうして無事だと言い切れるんですか!」
胸元からレーダーを取り出す田中。
田中正義「まだ移動中だからです」
田中、レーダーを高島に渡す。
高島守「これは・・・?」
田中正義「その点滅しながら動いているのが奴です」
高島守「全然距離が縮まらない。 もっと急いでください!」
田中正義「充分に急いでいます」
田中正義「ただ、このまま行けば奴の思う壺です」
高島守「思う壺?」
田中正義「ええ。 奴はあなたをおびき寄せるために誘拐なんて回りくどいことをしているのです」
高島守「なぜですか?」
田中正義「警戒しているからですよ」
高島守「俺を・・・ですか?」
田中正義「そのベルトをです」
高島の腰を見る田中。
田中正義「私はずっと奴を追っていました。 奴はとても用心深いのです」
田中正義「現に、あなたも長年同僚をやっていたのに気付かなかった」
高島守「・・・確かに」
田中正義「サイレントは事を荒立てるのを嫌がります」
田中正義「そして、完全犯罪のように一切証拠を残しません」
田中正義「人知れず人を襲うんです」
高島守「・・・・・・」
唾を飲み込む高島。
田中正義「奴にとってご家族を殺すことは容易いでしょう」
田中正義「しかし、高島さんにはベルトがある。 ご家族を人質にしてそのベルトを・・・」
高島守「そうだ。これをあなたに返します」
- このエピソードを読むには
会員登録/ログインが必要です! - 会員登録する(無料)