最後は大団円でどうでしょう?(脚本)
〇海辺
晴れ晴れとした様子で迎えた次の朝。俺達が起きるとすでに船が来ていた
船長「胸のつかえは取れたか?」
船長の言葉にはっとした。
どこまで彼は知っていたんだろう。
でも、俺は晴れやかな気分でこう答えた。
岡山僚太(桃太郎)(21)♂「はい。 これからはもっと心軽く過ごしていける気がします」
これからはもっと自分らしく生きよう。
俺はそう心に決めた
〇居酒屋の座敷席
あれから数年後──
猿野加菜美(サル)(24)♀「僚太さん、こちらです! 待ちましたよ、もう」
岡山僚太(桃太郎)(21)♂「ごめん、ごめん。 仕事のキリがなかなかつかなくてさ」
木次山惣子(キジムナー)(17)♀「今じゃ、社長やってるんだっけ? 人間やれば成り上がれるもんだなー!」
戌村ハナ(イヌ)(23)♀「その言い方だと桃ちゃんのがんばり全否定だよ」
「あははははは」
岡山僚太(桃太郎)(21)♂「そう言う惣子ちゃんだって、メジャーデビュー決まったんだろ? おめでとう」
戌村ハナ(イヌ)(23)♀「すごいよね、私達の中から有名人が生まれるって。 でも、納得。 キジちゃんの歌声、心に来るもん」
猿野加菜美(サル)(24)♀「クラッシック以外はわからない私でも、惣子さんのロックバンドはクオリティが高いのがわかります」
木次山惣子(キジムナー)(17)♀「み、みんなしてやめろよ! あたしだけの力じゃないわけだし」
木次山惣子(キジムナー)(17)♀「そうだ! 猿野も今度、某国のお偉いさんと会うって聞いたけど、実際どうなんだよ?」
猿野加菜美(サル)(24)♀「どうとは?」
木次山惣子(キジムナー)(17)♀「政治家デビューしたりしねーの?」
猿野加菜美(サル)(24)♀「私は裏方で支えるのが向いていて、やりがいがあることに気づきましたから、表立つつもりは今のところないですよ」
岡山僚太(桃太郎)(21)♂「ハナさんもブティックの店長を任されたのおめでとう。今度、遊びに行くよ。 男物もあるって聞いたんだけど、俺でも大丈夫?」
戌村ハナ(イヌ)(23)♀「来てくれるならサービスするよ。 女性向けのものがメインだけど、」
戌村ハナ(イヌ)(23)♀「男性にも見てもらえる商品ラインナップ用意してるから、期待してて」
木次山惣子(キジムナー)(17)♀「それなら、あたしも見に行きたいな」
猿野加菜美(サル)(24)♀「私も興味があります」
戌村ハナ(イヌ)(23)♀「それならみんなでおいでよ」
久しぶりの再会を祝した俺達の積もる話はとどまることを知らない。
そこで、加菜美さんがふと、以前体験した鬼ヶ島でのことを口にした
猿野加菜美(サル)(24)♀「情報源はシークレットなのですが、どうやらあの鬼ヶ島行きは特別なあるプランらしく、」
猿野加菜美(サル)(24)♀「選ばれたものだけがリフレッシュできるサービスだったらしいのです」
岡山僚太(桃太郎)(21)♂「え? そうなの? 俺、左遷みたいなもんだと思ってた」
戌村ハナ(イヌ)(23)♀「結局、鬼退治の鬼もよくわからなかったけどねー」
木次山惣子(キジムナー)(17)♀「そうだな。 でもまさかあんなことが現実に起きるとはな」
猿野加菜美(サル)(24)♀「鬼というのは精神的ストレスを指すみたいでしたし、何かカラクリがあるのかもしれませんが、推測でしかありませんね」
猿野さんは声のトーンを下げて俺たち以外には聞こえないように話す。
猿野加菜美(サル)(24)♀「鬼ヶ島のことですが・・・、合格したものしか、帰ることが出来ない一方通行の旅だったと聞いています」
岡山僚太(桃太郎)(21)♂「それって・・・」
猿野加菜美(サル)(24)♀「事実かはわかりませんが、偽物の僚太さんが現れるなど信憑性が高そうなのもちょっと怖いところですね」
木次山惣子(キジムナー)(17)♀「でも、無事だったんだし、こうして仲間が出来て、あたしは満足だけどな」
戌村ハナ(イヌ)(23)♀「もう〜〜! この子は時々すっごく可愛いこと言うんだから〜〜!」
木次山惣子(キジムナー)(17)♀「や、やめろって、頭わしゃわしゃ撫でないで、抱きつくなって。 ちょっ誰か、この酔っ払いとめてくれ・・・・・・!」
俺たち四人にとっての心に住む鬼は、あの時確かに退治された。
周囲に惑わされることなく真っ直ぐこれからも進んでいくことができるはずだ。
めでたしめでたし