〇おしゃれなリビングダイニング
ミキヤ「おーい、ピザ届いたぞー」
マドカ「うわ。凄い量」
ミキヤ「一番大きいサイズ頼んだからな。 なんちゃらトッピングの・・・なんちゃらサイズ」
マドカ「いや、そうじゃなくて」
ミキヤ「ポテトも山盛り頼んだぞ」
マドカ「どうして昨日の夜から、３食連続でピザ頼んでるの!?」
ミキヤ「ヤケ食いだよ！」
マドカ「巻き込むな！」
ミキヤ「一人で食べ切れるわけないだろ！ 父さんを何歳だと思ってるんだ!?」
マドカ「なら実年齢と言動を、少しは一致させてくれよ！」
ミキヤ「だって、だってぇ・・・」
マドカ（（うわ。泣いた。マジ泣きだ・・・・・・））
マドカ「ずっと聞くまいと思ってたけど。 で、どうしたの？」
ミキヤ「・・・・・・」
ミキヤ「──コンテスト落ちたから」
マドカ「・・・・・・」
マドカ「「それで泣くなー！」とか、」
マドカ「「だからってヤケ食いするなー！」て台詞が思い浮かんだけど・・・」
マドカ「まぁ、それなら仕方ないかな」
マドカ（（いや、そんなことないのか？））
ミキヤ「ありがとう。 身近に、この痛みを分かり合える人がいて、本当に良かった」
ミキヤ「だからピザは任せた」
マドカ「話が繋がらない！」
ミキヤ「もう、父さんの体はこんな脂ギッシュなものを受け付けはしないんだよ」
ミキヤ「ポテトもマジ無理」
マドカ「なぜ頼んだ!?」
ミキヤ「ヤケ買いだよ！」
マドカ「だから巻き込むな！」
ミキヤ「だって、だってぇ・・・」
マドカ（（また泣いた・・・））
ミキヤ「父さんな、父さんな・・・」
ミキヤ「本当に最優秀賞取れると思ってたんだよ・・・」
ミキヤ「佳作も取れないなんて・・・ミキヤ的にあり得ないんだよぉ」
マドカ「まぁ大なり小なり、みんなそう思って応募してるものだと思うよ」
マドカ「かくいう俺の応募作品も、予選通過しなかったわけだし」
ミキヤ「父さん、予選は通過したぞ」
マドカ「言うな！　複雑な感情が溢れる！」
ミキヤ「親に向かって「言うな」とは・・・」
マドカ「タップライターとして見たら、対等でしょ」
マドカ「この手の話題の時は、親子関係なし!!」
ミキヤ「ライター同士・・・うん、それはいいな。それでいい」
ミキヤ「だがそれで言うと、予選通過している父さんの方がライターとして"上"では？」
ミキヤ「敬語・・・」
マドカ「えぇい！ これだから人事部は！ がむしゃらに序列を作るな！」
マドカ「ていうか、いつまでもすねてていいの？」
マドカ「コンテスト落ちたって。 もう次のコンテスト募集、始まってるけど」
ミキヤ「・・・・・・え」
ミキヤ「そうなの？」
マドカ「毎月のように、告知も募集もしてると思うけど」
ミキヤ「気付かなかった・・・」
ミキヤ「ミキヤ、一意専心型だから」
マドカ（それは、ただの情弱というのでは・・・）
マドカ「今は、女性向け漫画の原作コンテストが募集始まったよ」
マドカ「書いたことないジャンルだから、今回は応募しようか迷ってるけど」
ミキヤ「女性向け・・・」
ミキヤ「任せろ。 得意分野だ」
マドカ「嘘でしょ!?」
ミキヤ「父さんは、花ゆめコミックを読んで育ったんだぞ」
マドカ「知りたくなかった父の一面・・・」
ミキヤ「マドカ。 「少女コミックを読む男性はおかしい」なんて狭い考え方をしているのか？」
ミキヤ「父さん、そういうのあまり感心しないな」
マドカ「父さん・・・」
ミキヤ「そうやって視野が狭いから、予選通過できなかったんじゃないか？」
マドカ「父さん!?」
ミキヤ「いや、今は人のことよりも自分のことだな」
ミキヤ「今回コンテストに落ちた理由が、今やっと分かったよ・・・」
ミキヤ「──その、次のコンテストで勝つためだったんだな」
ミキヤ「ならば早速、企画を考えなければ」
ミキヤ「──の前に。まずは腹ごなしだな」
ミキヤ「今ならピザも美味しく食べられそうだ」
マドカ「・・・父さんの分のピザは、」
マドカ「無いよ？」
ミキヤ「ど、どうしたマドカ。 さすがに１人で、それ一枚は食べられないだろう？」
ミキヤ「ポテトも山盛りなんだぞ？」
マドカ「食べるよ、食べれるよ」
マドカ「ヤケ食いだよ！」