第七話(美井さんの悩み…予告編)(脚本)
〇エレベーターの中
子供は風の子「こんにちは、風の子です」
子供は風の子「美井(びい)さんが、第一話ぶりの登場 なので」
子供は風の子「30倍速くらいで振り返ると・・・」
子供は風の子「美井さんは、はっちゃんに不眠症の相談を します」
子供は風の子「美井さんの夢で、決まって登場するのが、 頑じぃで・・・」
子供は風の子「頑じぃと、はっちゃんは師弟関係でした」
子供は風の子「大学で講師と生徒だった二人は、やがて 男女の仲になりますが・・・」
子供は風の子「頑じぃは、幼少期、母親の奔放な男女関係 のため」
子供は風の子「家に寄り付けず、近くのお寺で過ごす日々」
子供は風の子「子供ながら、本能的に、煩悩は」
子供は風の子「抑え込むものと、強烈に刷り込まれ・・・」
子供は風の子「自己をコントロールする座禅にハマります」
子供は風の子「恋の経験がない頑じぃが」
子供は風の子「はっちゃんと恋に落ち、無我夢中」
子供は風の子「自分をコントロールできない恐怖から」
子供は風の子「頑じぃは、はっちゃんから逃げ出します!」
子供は風の子「長年の修行を一瞬で吹き飛ばす」
子供は風の子「煩悩を見極めようと、紆余曲折」
子供は風の子「幼少期に育てられたお寺に流れ着き」
子供は風の子「そこで、檀家の美井さんと出会います」
子供は風の子「一方、はっちゃんは、突然、頑じぃに去られ」
子供は風の子「待つと決心しながらも、心は揺れ」
子供は風の子「大学を退官し、ホストクラブで働く」
子供は風の子「頑じぃを追いかけますが、又逃げられます」
子供は風の子「大学の知り合いのオンラインバーを」
子供は風の子「手伝うのですが、元来聞き上手なので」
子供は風の子「あっという間に、オンラインバーの姫」
子供は風の子「となり、そこで、美井さんと出会います」
子供は風の子「二人とも、美井さんの悩みを聞くのですが」
子供は風の子「どうなることやら・・・ゼーハー」
〇個人の仕事部屋
はっちゃん「基本は天然ツッコミ、略してKY」
はっちゃん「週末カウンセラー はっちゃんです」
はっちゃん「・・・って、必ずこのくだり、させるよね」
美井(びい)さん「好きなの」
はっちゃん「えぇーっ!」
美井(びい)さん「男は皆、永遠にアイドルが好き❤️」
はっちゃん「「個人の感想で、個人差があります」のやつ」
美井(びい)さん「まーねぇー」
美井(びい)さん「はっちゃんは、女将さんなん?」
はっちゃん「なんでやねん!」
美井(びい)さん「おなじみの服と、ミコト屋やん」
はっちゃん「あーね、よく言われる、それ」
美井(びい)さん「イワレがあったりするん?」
はっちゃん「そう、そう、そう、挨拶はーっ!」
はっちゃん「ひと言ちゃうで、二言、三言やーって」
美井(びい)さん「三言やー・・・で、ミコト屋かー」
美井(びい)さん「ホンマかいな・・・」
はっちゃん「美井さんも、必ず、白シャツ、紐タイ、 サスペンダーよねー」
美井(びい)さん「さっささ、さっさ、サスペンダーっ!」
美井(びい)さん「ま、こうなるわなー・・・そうそうそう、 イメチェン、してみる?」
はっちゃん「はいよーっ! ファンタジーなやつ」
美井(びい)さん「おっ、鬼はやっ・・・よーし!」
美井(びい)さん「イッツ、バスケットボール(色)・・・」
はっちゃん「ただの部屋着やないかい!」
学生1「あの着替え、どうやっとるんやろ?」
学生2「歌舞伎の左右から引っ張るやつよりも早い」
学生3「だからこその、オンライン姫なのよ」
学生3「そして、私は衣装が変わらないキャラ」
「・・・」
はっちゃん「で、美井さん、最近眠れてんのー?」
美井(びい)さん「うーん、眠れたり、眠れなかったり」
はっちゃん「それは、普通、みんなそうなのよー」
はっちゃん「嫌なことでもあったん?」
美井(びい)さん「嫌なこと、あったんかなー?」
美井(びい)さん「睡眠不足って、常時記憶力低下」
美井(びい)さん「はっちゃんは、嫌なことがあった時」
美井(びい)さん「どうしとるん?」
はっちゃん「え、えっ、えぇーっ! この質問・・・」
はっちゃん「いつか、どこかで、聞いたような、聞かれたような・・・」
はっちゃん「うーん、第一話だったりして・・・」
美井(びい)さん「? ・・・どうしとるん?」
はっちゃん「あっ! あーあーそうそう、愚痴るよねー」
美井(びい)さん「愚痴って楽になるんかねー?」
「なるなる鳴るぅーっ!」
はっちゃん「愚痴りたくはない、でも・・・」
はっちゃん「NO GUCCI(愚痴) NO LIFE」
はっちゃん「・・・で、美井さんは、どうしとるん?」
美井(びい)さん「んー・・・自分の中に、違う自分を作って」
美井(びい)さん「元の自分が、新しい自分を、罵倒したり」
美井(びい)さん「殴ってみたり、マウント取ったり・・・」
美井(びい)さん「時には、話し合ったり、助けてもらったり」
美井(びい)さん「更には、新しい自分を生きることで」
美井(びい)さん「元の自分を忘れる、逃げ出す」
美井(びい)さん「そうすると、少し気分も晴れて」
美井(びい)さん「嫌なことも忘れるというか」
美井(びい)さん「訳分からんよねー」
はっちゃん「んー、でも、それって、魂が・・・」
はっちゃん「外に向かうか、内に向かうかの違いで」
はっちゃん「愚痴ってることに変わりない」
はっちゃん「・・・気がするなぁ」
美井(びい)さん「そんなもんかなー」
「そんなもんよー」
はっちゃん「おそらくだけど、美井さんの嫌なことが」
はっちゃん「とてつもなく、深いのかも・・・」
はっちゃん「もがいて、みじめで、かっこわるくても」
はっちゃん「あらがって、生きようとする」
はっちゃん「・・・綺麗な生き様の結晶だ」
はっちゃん「なんでか、わかんないけど」
はっちゃん「おばあちゃんの話を思い出しちゃった」
美井(びい)さん「聞きたいなぁ、その話」
〇壁
日本が戦時中の話・・・
老いた母親と二人暮らしの
その人にも赤紙が来て、召集された
激戦地で、前線に出れば帰ってこれない
その人は誓う。どんな手を使っても
必ず生きて故郷に帰る・・・と
阿呆のふりをし、人から笑われ
上官から憐れみを受けることで
危険な任務から逃れ続けた
ようやく終戦を迎え
日本に引き揚げる途中
寒さや病気のため、のたれ死んだ
卑怯とか、犬死とかで、笑い飛ばせない
その生き様も、死に様も
ただ、必死に生きようとした証
〇個人の仕事部屋
はっちゃん「そんな話だった・・・」
美井(びい)さん「そう・・・」
はっちゃん「そう言えば、美井さん」
はっちゃん「いつも夢に出る戦国武将の人は?」
美井(びい)さん「それが、やっぱり、よく思い出せなくて」
はっちゃん「そう・・・」
美井(びい)さん「断片的には、浮かんでくるんだけど・・・」
美井(びい)さん「モヤがかかって、お香の香りがして・・・」
美井(びい)さん「輪になって・・・盆踊りじゃなくて・・・」
美井(びい)さん「・・・ポーズ?」
はっちゃん「ポーズ?」
〇動物
美井(びい)さん「動物の・・・ヨガの・・・警策・・・」
はっちゃん「動物のヨガ?」
美井(びい)さん「警策を構えて、みんなで輪になって」
美井(びい)さん「わしの、ワシによる、鷲のポ、ポーズ!」
はっちゃん「ポーズ!?」
「ポ、ポ、ポ、ポーズ!?」
美井(びい)さん「ご一緒に!!」
美井(びい)さん「わしの、ワシによる、鷲のポーズ!」
はっちゃん「わしの、ワシによる、鷲のポーズ?」
「わしの、ワシによる、鷲のポーズ?」
美井(びい)さん「モヒカン怒髪が天に逆立つ、鳥のポーズ!」
はっちゃん「なんなのー? なんなのよー?」
「逃げましょう、今でしょ!」
学生1「モヒカン怒髪が・・・」
学生2「天に逆立つ・・・」
学生3「鳥のポーズ!」
美井(びい)さん「あらゆる困難をすり抜ける、うなぎのポーズ」
はっちゃん「あー、うなぎ、じゃなくて・・・」
はっちゃん「スリーアミーゴす! ちょっと!」
「あらゆる困難をすり抜ける、うなぎのポーズ」
学生2「かきあげる、うなじのポーズ?」
「さ、さいならーっ!」
〇個人の仕事部屋
はっちゃん「もうっ、なんなのよーっ!」
はっちゃん「あ、美井さん、意識戻ったのね」
美井(びい)さん「睡眠不足なのかな? 時々こうなる・・・」
はっちゃん「動物のポーズの話、してたよ」
美井(びい)さん「うん、そんなことあった・・・」
はっちゃん「他には何か言ってなかったぁ?」
美井(びい)さん「うーん・・・お城でねー・・・」
〇エレベーターの中
子供は風の子「こんにちは、風の子です」
子供は風の子「そうそう、お城巡りの趣味があう」
子供は風の子「美井さんと頑じぃは」
子供は風の子「何か大事な相談をしたんだけど」
子供は風の子「はっきりと思い出せないのは、何故?」
子供は風の子「次回予告」
子供は風の子「『 美井さんの悩み 名古屋城編 』」
子供は風の子「見てね、きっとだよ!」
週末カウンセラーらしくなってきましたね。頑じぃが本能という名の煩悩に抗っている間、はっちゃんはオンライン・カウンセリング。そして、ワシによる鷲のポーズ。頑じぃとはっちゃんは離れていても、どこか繋がっているものがある。そんな彼らが再び交わる時が待ち遠しいです。母猫が子猫にするように、湧き出る血を舐める、口の周りが真っ赤になる。そんな官能的な……