オーロラ姫よりオラオラ姫を選んだ王子の結論

ふゆ

7.ずっと会いたかった人(脚本)

オーロラ姫よりオラオラ姫を選んだ王子の結論

ふゆ

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〇けもの道
  崖から落ちて、
  助けを待つことになった二人
オラオラ姫(あんなに、ひどいことをしたのに、 助けてくれたのか)
オラオラ姫「・・・あのな」
オラオラ姫「私の呪いを解こうとしてくれるのは嬉しいが」
オラオラ姫「父は、失敗したお前を許しはしないだろう」
ヴィクトル(・・・・・・え)
ヴィクトル(それで追い出そうとしてたのか)
ヴィクトル(そうかあ・・・)
ヴィクトル(本気で嫌われたんだと)
ヴィクトル(・・・いかん、顔が、笑うな俺)
ヴィクトル「大丈夫です。処分は覚悟の上です」
オラオラ姫「どうしてそこまで」
ヴィクトル「俺は、本当のあなたと会いたいんです」
「・・・・・・・・・」
オラオラ姫「ふ」
オラオラ姫「ふざけるな。私は本気で言ってるんだ!」
ヴィクトル「俺も本気です」
オラオラ姫(真に受けん。絶対真に受けんぞ)
ヴィクトル(信じてないな・・・)
ヴィクトル(ん?)
ヴィクトル(なんか、中身もオラオラに影響されてるのか)
ヴィクトル(勇ましい人だと思っていたが)
ヴィクトル(可愛いな?)
ヴィクトル(どうしたんだろ、俺)
ヴィクトル(オーロラ姫のおかしな本のせいじゃないだろうな?)
  『オーロラと二人で何を話し── 』
  『お前のことが──』
ヴィクトル(あの寝言は、もしかして・・・)
ヴィクトル(・・・・・・いや、でも)
ヴィクトル「オーラ姫」
ヴィクトル「これは俺の全財産です」
オラオラ姫「・・・・・・っ!」
ヴィクトル「あなたの姿を戻せたら、返してください」
ヴィクトル「これで俺を信じてもらえませんか?」
オラオラ姫「いや、受け取れんよ」
  半ば強引に握らせたが、彼女は納得していないようだった。
ヴィクトル(仕方がない)
ヴィクトル「助けが来る気配もないし、帰りましょうか」
オラオラ姫「え、いや、下手に動かない方がいいぞ」
ヴィクトル「実は俺は、」
ヴィクトル「魔術師なんです」
オラオラ姫「え」
オラオラ姫「ははは、笑えんぞ」
オラオラ姫「マレフィセントでも、何千人に一人しか生まれないエリートじゃないか」
オラオラ姫「こんなところで執事をしていたらおかし──」
ヴィクトル(月光下だから、 彼女にも魔法効果が見えるはず)
  驚いている彼女を抱き寄せ、
  両腕で抱え上げた
オラオラ姫「やめろ、重いから!石像と変わらんぞ」
ヴィクトル「そんな馬鹿な」
オラオラ姫「な?」
ヴィクトル「いえ」
ヴィクトル「軽いですから、離れないでください」

〇月夜
オラオラ姫「・・・・・・・・・!!」
オラオラ姫(ほ、本当に飛んでる!)
  彼にしがみつくと、心臓の音が聞こえてきた
(うわっ)
ヴィクトル(なんだこれ)
ヴィクトル(・・・降りたくなくなってくるな)
オラオラ姫(・・・・・・!)
  強く抱きしめられて息を止めた
オラオラ姫(心臓が、爆発しそうだ)
オラオラ姫「しっ」
オラオラ姫「信じていいのか?」
オラオラ姫「本当に私を戻してくれるのか?」
ヴィクトル「はい」
オラオラ姫「・・・・・・っ」
  初めて見た魔法は美しくて、
  使う姿にも見惚れてしまうほどで、
オラオラ姫(ありがとう)
  私は、彼が死んだ後も、
  その姿を忘れたことがない

〇黒背景

〇西洋の城

〇ファンタジーの学園

〇古い洋館
  祭りの開催まであと一時間
  オーラ姫は魔法をかけられてから、
  
  公式の場には出ていないそうだ
  だから身内だけで行う祭りになるのだが、
「イエア、フゥー、今日は騒ぐぜえ!?」
ヴィクトル(盛り上がりに全く問題なし。さすが)
ヴィクトル(問題なのは、兄たちだな)
ヴィクトル(・・・馬車の事故は攻撃なのかどうか、 御者もよく分かってなかったな)

〇洋館の玄関ホール
  マレフィセント城
ヴァランタン「父上」
ヴァランタン「ヴィクトルが、何か騒ぎを起こそうとしているそうですが」
マレフィセント国王「・・・・・・」
ヴァランタン「ちっ」
ヴァランタン「ゴホッ・・・ゴフッ、ゴホゴホッ」
ヴァランタン「何を見ている?」
従者「い・・・いえ」

〇豪華な王宮
  賭場場
「・・・・・・・・・・・・」
貴族「はい、エンド」
貴族「ハハハ」
貴族「だいぶ借金されているようですが、」
貴族「お父さまには、もうお話しされましたか?」
アンドレ「ふん」
アンドレ「執着する者は目を曇らせる」
アンドレ「執着する者は何も手に入れられない」
アンドレ「僕もそろそろ、持論を示さなきゃいけない時かな♪」
アンドレ「ね?」
男「わ、私は、ヴィクトル殿下を尊敬しております」
アンドレ「ん?」
男「あの方は、魔術師なら誰しも憧れる領域に 到達した方で、」
男「・・・あの方に仇なす行為は、私にはとても」
アンドレ「そっか」

〇謁見の間
スパイクレット国王「若造が・・・」
スパイクレット国王「ことを大きくしておきながら、娘を傷つけたりしたら、」
スパイクレット国王「ワシの期待もちょっぴり煽っておきながら、」
スパイクレット国王「もし失敗したら・・・」
スパイクレット国王「どうなるか、分かってるなら良いが?」

〇古い洋館
  開催まであと30分
ヴィクトル「あんたのおかげで祭りを開催できる ありがとな」
オーロラ姫「いいええ」
オーロラ姫「はあ、いよいよお姉さまがオーラに戻るのね」
オーロラ姫「美人すぎて、きっとびっくりするわよ」
ヴィクトル「・・・そうか」
ヴィクトル「・・・・・・」
オーロラ姫「ちょっと、変な妄想してないでしょうね?」
ヴィクトル「するか!あんたと一緒にするな!」
オーロラ姫「な」
オーロラ姫「なんですってぇ!?」
使い魔「まあまあまあ」
ヴィクトル「お前も、今日は頼んだぞ」
使い魔「ええ、新しい子と一緒に頑張りますよ 任せてください!」
  今日一日だけの契約でもう一匹召喚した
  本当はもっと手勢が欲しいが、使い魔は掌で繋がる形式なので二匹としか契約できない
ヴィクトル「まあ、今回は強そうな魔物が召喚できたし、大丈夫だろう」
オラオラ姫「私はここで座っていればいいのか?」
ヴィクトル「はい」
ヴィクトル(ずいぶん柔らかくなったな)
スパイクレット国王「ふんっ」
ヴィクトル(落ち着け。大丈夫だ)
???「お集まりの皆さま!」
???「今日のお祭りに参加していただきありがとうございます!」

〇古い洋館
  ます初めは『料理投げ祭り』!
ヴィクトル(果物投げと料理対決のミックスイベントだ)
ヴィクトル(人の食べこぼしに怒るヴァランタンなら、 激怒するはず)
ヴィクトル(どうだ?)
オラオラ姫「ははは、美味しいな!」

〇古い洋館
「続いては、『戦う男の裸祭り・オーロラバージョン』」
ヴィクトル(お)
ヴィクトル「よし、今だ!」
オラオラ姫「なっ」
オラオラ姫「なぜお前まで脱いでいる!?」
ヴィクトル「俺も楽しくなったのでつい!」
オラオラ姫「そ、そうか」
ヴィクトル(よし!)
ヴィクトル(俺に一番腹たてると思ったぞ。変態兄貴!)

?「!?」
ヴィクトル(変異が始まった・・・!)
?「目が・・・見えない・・・どうして」
ヴィクトル「もう少しです。頑張ってください!」
ヴィクトル(頼むぞ。俺の魔法!)
ヴィクトル(ここであいつに勝てなければ・・・俺は)
ヴィクトル(何のために鍛えてきたんだ!)
  丸みを帯び、徐々に小さくなっていく体
  俺の胸元で小さく震えている
  彼女の手をとり握りしめた、その時だった

〇古い洋館
「?」
従者「なんだ。今の、地震?」

〇西洋の城

〇古い洋館
「な・・・・・・え・・・・・・?」
「魔物・・・!?」

〇古い洋館
ヴィクトル(使い魔の大群!? いったい何体いるんだ!)
ヴィクトル(あんなに派手に王宮を襲うなんて、 どうしてこんな馬鹿なことを・・・)
ヴィクトル(もしマレフィセントの魔術師の仕業だと バレたりしたら・・・)
ヴィクトル(宣戦布告ととられても仕方ないじゃないか!)
ヴィクトル(統合国の話どころじゃない 何を考えて・・・)
  父の怒りを恐れないどちらかの兄の行為に
  俺は正直恐怖を覚えていた
ヴィクトル(駄目だ 俺の使い魔たちと結界だけじゃもたない)
ヴィクトル(俺も行かなきゃ。変異魔法は一旦中止 魂のリソースを戻して──)
ヴィクトル(・・・待て)
ヴィクトル(ヴァランタンの魂の不意をつけたから、 今回はうまくいったんじゃないか?)
ヴィクトル(二度も同じ方法が使えると思うか?)
ヴィクトル(この変異を、止める訳にはいかない・・・!)
?「なあ」
?「何が起きてる? 皆の騒ぐ声が聞こえるんだが・・・」
ヴィクトル「大丈夫です!心配しないでください」
?「・・・・・・」
「きゃああああ──!!!!」
?「私は、お前を信じてるよ」
ヴィクトル「はい・・・!」
ヴィクトル「あなたは、俺が、絶対助けますから」
ヴィクトル(どうする!?考えろ!)
?「うん、思うようにしてくれ」
?「お前なら」
?「皆が助かるようにしてくれるだろう?」
?「私のことは、もういいから」
ヴィクトル「あ・・・」
ヴィクトル(もし一人でも犠牲をだすことがあれば、 この人は・・・)
ヴィクトル「・・・・・・・・・っ!!」
ヴィクトル(くそぉっ・・・!)
ヴィクトル「オーラ姫」
ヴィクトル「すみませんっ・・・・・・!」
  戻れるのだと、
  泣いていたのを知っていながら、
  俺はその手をふりほどいた──
  つづく

次のエピソード:8.残酷な真実

コメント

  • オーラ姫……立派な姫君だ……
    それより王子様が不穏なんですけど!?

  • 遅ればせながら続き読ませていただきました!
    兄をよく理解しているからこその方法と、オーラ姫の想いを知っているからこそのヴィクトルの判断に泣けました(´;ω;`)
    ヴィクトルは周りを見ていて、ちゃんと気持ちに寄り添える、素敵な男性ですね。
    ハッピーエンドになって欲しい!

  • 誰か俺にカツサンドを投げてくれ……

    そして新使い魔くん、無事でいておくれ…!

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