ファントム・オブ・パラダイス

美野哲郎

ファントム・オブ・パラダイス(脚本)

ファントム・オブ・パラダイス

美野哲郎

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〇薄暗い谷底

〇黒
  地獄の蓋が開いた!

〇薄暗い谷底

〇渋谷ヒカリエ

〇渋谷ヒカリエ

〇渋谷のスクランブル交差点
東郷大佐「隊員諸君 たった今 武器使用の制限は解除された」
東郷大佐「これは治安出動ではない 防衛出動である 繰り返す──」
羽場准尉「は? じゃ、なんですか 俺らは今から〈侵略者〉と戦うんですか」
羽場准尉「アレの存在を、国は認めるって言うんですか?」
雪平1士「喜ぶべき、でしょうか 戦争相手が──」
雪平1士「人間じゃない、ということは」

〇研究施設の廊下(T字路)
  ──滅です
  偵察部隊、SAT、共に壊滅
  我々の武器弾薬、一切通用せず

〇渋谷のスクランブル交差点
東郷大佐「君達の映像に映る アレらは一体──」

〇研究施設の廊下(T字路)
  観測した敵対生物の中に
  人語を解する者がおりました
  その者によれば 『我々は──
ファントム・モロク「『我々は貴様らである──』 よろしく 人類の門番よ」
ファントム・モロク「仔細 貴様らの領主が詳しかろう」
ファントム・モロク「これだけは教えてしんぜようとも 貴様らが我らを傷つける手段は──」
ファントム・モロク「──この世に存在せぬ、とな」

〇渋谷のスクランブル交差点
東郷大佐「!?」
東郷大佐「このままでは──」

〇地球
  ──地上に 本物の〈地獄〉が顕現するぞ

〇壁

〇謎の施設の中枢
ファントム・ペレ「──召還に応じ、参上した」
ファントム・ペレ「我が名は71柱目の悪魔 ──ファントム・ペレ」
灰原教授「本当に、現れた」
ファントム・ペレ「して 今は驚いている場合なのか? 無謀にも悪魔に協力を請うた人間よ」

〇壁

〇謎の施設の中枢
灰原教授「あ ああ すでにゲヘナの扉は開かれている カルト教団〈真理の眼〉の手によって」
ファントム・ペレ「地獄からこの世に解き放たれる悪魔は 72柱が限界」
ファントム・ペレ「よって 教団内部に潜り込み 破壊活動を目論んでいた其方らは」
ファントム・ペレ「1柱でも多く「人類に利する」悪魔を 召喚しようと考えた」
ファントム・ペレ「妾を召喚した術式はそう囁いておったが 相違ないな?」
灰原教授「ああ 召喚に応じてくれた事 感謝する」
ファントム・ペレ「まずは溜飲を下げよ ゲヘナの門を開いた タワー内の教団関係者らは皆な 悪魔どもに食い散らかされておる」
ファントム・ペレ「上階から漂う肉片の異臭が臭おてたまらん」
灰原教授「あなたの前に 70柱もの悪魔が 既に現世に訪れている、のでしょうか?」
ファントム・ペレ「間違いない 〈真理の眼〉は いくつもの門を同時に開いておる」
ファントム・ペレ「いくつか教団支部の敷地内に別れて 出現したのじゃろうな」
レゼ助手「そうでしたか」
レゼ助手「この『渋谷クラウンタワー』だけでも ペレ様の力で滅していただければ」
レゼ助手「せめて我々で道ずれに出来るのではと 考えていたのですが」
ファントム・ペレ「その心意気やよし 今後は妾も 其方らの命を勘定に入れず動くとしよう」
レゼ助手「ペレ様には 人類の為に仲間と戦う覚悟が?」
ファントム・ペレ「仲間? 勘違いするな 悪魔はなれ合わん 故に──」
ファントム・ペレ「そこに滅する隙があるのよ」

〇渋谷のスクランブル交差点
東郷大佐「バカな 信じられん たかがカルト教団なぞに──」

〇豪華な社長室
国家公安委員長 蛍宮「私もだよ よもや本当に 地獄の門を開いてみせるなどと」

〇渋谷のスクランブル交差点
東郷大佐「そうではなくっ!! 何故 票田なぞに目が眩み──」
東郷大佐「政府が 警察機構が 国防組織までもが 一丸となって ここまで狂ったカルト教団を 野放しにし続けたのですか!」
東郷大佐「国民を守るべき我々が この手が 地獄の顕現を招いていたなんて──」

〇豪華な社長室
国家公安委員長 蛍宮「「票田なぞ」だと? フン この世は弱肉強食 我々 国家権力は遙か昔にー」
国家公安委員長 蛍宮「国民を『喰う』側に回ると決めていたのだよ」
ファントム・ロキ「そうか〜 潔い生き餌だなあ」
国家公安委員長 蛍宮「ひょ?」
国家公安委員長 蛍宮「・・・イヤだよ きみ」

〇渋谷のスクランブル交差点
東郷大佐「委員長・・・」
羽場准尉「た、大佐っ!!」
雪平1士「あれ? なんだ? いつのまに 目の前にいると全然リアリティ無いですね あはははは!!」
ファントム・モロク「どうした? その武器は飾りか?」
東郷大佐「う、撃て 撃てー!!」

〇渋谷のスクランブル交差点
ファントム・モロク「効かん 効かんわ──さて」
ファントム・モロク「いただきまあーす」
東郷大佐「ひっ!!」
羽場准尉「こ、こんなもの・・・ どうしようもないじゃないか」

〇謎の施設の中枢
ファントム・ペレ「ちなみに其方ら 妾をどこまで知っておる?」
レゼ助手「はい ペレ 元はハワイの火山の女神」
レゼ助手「人間の男に恋して求愛するも、自ら送り出した妹ヒイアカと男がくっついたのではないかと下衆の勘ぐり」
レゼ助手「八つ当たりで起こした噴火が妹の怒りを買い、結局、男とヒイアカはあなたがきっかけでくっついてしまうのですよね」
ファントム・ペレ「おもっくそ知られたくない部分だけ 広まっておるの・・・」
灰原教授「あなたの勝算をお聞かせ願いたい 70柱もの悪魔を 一体どうやって」
ファントム・ペレ「ふん──まず 悪魔というのは便宜上の定義に過ぎん」
ファントム・ペレ「妖怪 神 ともかく 現世で名だたる存在の器であれば 良いのじゃ」
ファントム・ペレ「ゲヘナを〈地獄〉と称すのも  人語に落とせば近いというだけでな」
ファントム・ペレ「ゲヘナの住人が実体化するには 人類の概念が必要になる」

〇薄暗い谷底
  人類が抱く恐怖や憎悪、負のイメージ
  それらは全て悪魔を生み出す温床となり
  今では地獄は悪魔でいっぱいじゃ

〇渋谷の雑踏
  そこで悪魔の領土を現世に広げる為
  愚かな教団を利用したのじゃな

〇渋谷のスクランブル交差点
ファントム・モロク「次は 貴様を喰らうとするか」
羽場准尉「あ やめ て・・・」
ファントム・ゼロ「ヒュー・・・ ヒュー・・・」
ファントム・モロク「何者だ? 貴様は」
ファントム・ゼロ「──」
ファントム・モロク「名も無き悪魔め ドサクサに72柱に紛れ込んだか」
ファントム・モロク「だが人類に認知されておらぬ存在なら 現世に干渉する事さえ困難な筈」
ファントム・ゼロ「ヒュー・・・ ヒュー・・・」
羽場准尉(体が透けている?)
ファントム・モロク「どれ 我が糧としてやろう」
ファントム・ゼロ「オマエノ・・・ カラダヲクレ・・・」
ファントム・モロク「うん? ぐあっ なんだ」
ファントム・モロク「ぐわあ──」
羽場准尉(あのバケモンを吸収して──)
羽場准尉(透けていた身体が 実体化した!?)
ファントム・ゼロ「私は誰だ・・・?」
羽場准尉「なあ アンタなら アイツらを殺せるのか?」
ファントム・ゼロ「わからない・・・ 何も」
羽場准尉「頼む──人類を 救ってくれ」
ファントム・ゼロ「・・・・・・」
ファントム・ゼロ「わかった それが、私の存在理由」
羽場准尉「消えた・・・」
羽場准尉「信じて、いいのか?」
羽場准尉「どうしてだ アイツを見てると 涙が止まらない」
ファントム・ロキ「そりゃあ、自分がもうすぐ死ぬから 哀しかったんじゃないかな?」
ファントム・ロキ「しかし はてさて今のは」

〇渋谷ヒカリエ

〇らせん階段

〇SHIBUYA SKY
シャクス・バード「──」
ファントム・シャクス「報告 72柱目にモロクが喰われました」
ファントム・ユム・シミル「は?」
ファントム・ユム・シミル「──くっ!!」
ファントム・ユム・シミル「ぐははは」
ファントム・ルツィフェル「コラ笑わないの」
ファントム・ユム・シミル「すまんすまん おお哀しい 我らは〈仲間〉であったな」
ファントム・スルト「即席のね」
ファントム・ウェンディゴ「やはり 二柱集えばいがみ合う悪魔 一つ所に十柱は無理があったか」
ファントム・ウェンディゴ「72柱の中に統率者がいない これは偶然なのか 或いは」
ファントム・ルツィフェル「なんにせよ 今いる我々でどんどん 人類を恐怖に陥れていかないと 現世での居場所もまた失ってしまうからね」
ファントム・ルツィフェル「だから 今しばらくは皆さん 悪魔同士一致団結するんですよ?」
ファントム・スルト「とは言え ロキの奴はあてにならぬ 俺が72柱目とやらを始末してこよう」
ファントム・ルツィフェル「あれえ? 言った傍から単独行動 悪魔ってみんな耳遠いのかな?」
ファントム・ウェンディゴ「・・・ついていく」
ファントム・ルツィフェル「ウェンディゴさん助かります~」

〇謎の施設の中枢
ファントム・ペレ「72柱目として 本来はサタンが 出向くつもりだったのじゃろう 妾はそこを突いてやったのよ」
ファントム・ペレ「サタン無しに悪魔どもは統率しえない 7割方ワガママじゃからな 悪魔・・・」
ファントム・ゼロ「私は 人類を救う・・・」
灰原教授「うわあ、いきなり怖い悪魔現れたと 思ったが味方風な事を言っている」
ファントム・ペレ「これが72柱目 サタンの席に横入りし 妾が連れてきた悪魔じゃ」
ファントム・ペレ「今は完全なる無垢である」
ファントム・ゼロ「人類を 救う」
ファントム・ペレ「ふむ と思ったが、すでにして 志向する道は植え付けられているらしい」
ファントム・ペレ「1柱喰ろうてもおるな 優秀優秀」
ファントム・ペレ「良いか 貴様はこれから先 他におる69柱からなる悪魔を なるべく喰らうのだ」
ファントム・ゼロ「それをすれば 人類 救える?」
ファントム・ペレ「む 二柱 タワーを降りてくるぞ」
ファントム・ペレ「行くが良い ファントム・ゼロ 今 勢いで名づけた!」
ファントム・ペレ「悪魔を喰ろうて喰ろうて サタンに仇なす存在となるがイイ」
ファントム・ゼロ「わかった 悪魔 喰う」
灰原教授「本当に 人類にはまだ勝ち目が?」
ファントム・ペレ「安心せよ ここで貴様らが燃え尽きても 人類の未来はゼロに託す」
灰原教授「・・・は?」
ファントム・ペレ「230年ぶりの本気じゃ── キラウェア・ボルケニック・エリュプション!」

〇らせん階段
ファントム・スルト「待て 下から何か──」
ファントム・ウェンディゴ「バカな タワー階下からマグマが」
ファントム・ウェンディゴ「ここは」
ファントム・ウェンディゴ「スルト 俺の氷壁に隠れろ」
ファントム・スルト「この火の悪魔スルトが 人類の火力などにやられるとでも?」
ファントム・スルト「存分に喰ろうてやるわ!」
ファントム・スルト「があっ──!!」

〇らせん階段
ファントム・スルト「この怪炎 ゲヘナのマグマか」
ファントム・スルト「出てこい そこにいるのか 〈72柱目の悪魔〉!」
ファントム・スルト「グハッ!! これは 宿敵フレイの勝利の宝剣・・・」

〇らせん階段
ファントム・ウェンディゴ「吸収、した・・・?」
ファントム・ウェンディゴ「宝剣の幻覚を見たなスルト 私は惑わされぬ 炎も喰らわぬ」
ファントム・ウェンディゴ「押し通してみよ 72柱目の──」
ファントム・ウェンディゴ「ガッ!! ──この怪力 モロクのそれか・・・」

〇謎の施設の中枢
ファントム・ペレ「ふむ 順調にいってるようだの 不意打ちの為 其方らには 犠牲になって貰ったつもりじゃが」
ファントム・ペレ「して」
ファントム・ペレ「何故 妾の炎に焼かれて無事なのじゃ」
灰原教授「僕 生きてる?」
ファントム・ペレ「いや 助手の女か?」
レゼ助手「何故って──」
レゼ助手「妹の顔も忘れたの? 姉様」
ファントム・ペレ「ゲエッ ヒイアカ!?」

〇SHIBUYA SKY
シャクス・バード「報告 報告 72柱目は続いて スルトらを──」
シャクス・バード「──!!」
ファントム・ユム・シミル「来たか──〈72柱目の悪魔〉」
ファントム・ルツィフェル「悪魔たちを吸収している だと? ダメダメ ここは引こうユム・シミル」
ファントム・ルツィフェル「奴と容易に接触すべきではない 他の悪魔と連絡を取って──」
ファントム・ルツィフェル「こ、これだから・・・ 悪魔は もお──」
ファントム・ユム・シミル「悪く思うな これ以上 奴に悪魔を吸収させたくないのでな」
ファントム・ユム・シミル「来い ──72柱目の悪魔」
  コツ・・・ コツ・・・
ファントム・ユム・シミル「古代マヤ人は 死を正しく畏れていた 畏敬の念さえ抱いていたと言って良い」
ファントム・ユム・シミル「愚かなコンキスタドールには 臆病に映ったやも知れぬが──」
ファントム・ユム・シミル「そのマヤ人の死への畏敬の強さが この儂ことマヤの死神 ユム・シミルを強者たらしめる!」
  モロクの膂力 スルトの炎
  ウェンディゴの寒気 シャクスの飛翔
  なるほど今の貴様は 無名にして手強い
  だが 手札を知っていれば儂の敵ではない
ファントム・ユム・シミル「貴様を殺し 他の悪魔も殺す 人類も皆殺す サタン不在の地上ならば 儂こそが支配者となってくれよう」
ファントム・ユム・シミル「──いざ!!」

〇謎の施設の中枢

〇謎の施設の中枢
レゼ助手「姉様 ──いえ お姉ちゃん」
ファントム・ペレ「気安い!」
レゼ助手「いいから さっさと説明して」
レゼ助手「サタンの代わり ──72柱目に どんな悪魔を連れてきたの?」
ファントム・ペレ「──」
ファントム・ペレ「あれは ゲヘナの存在ではない」
ファントム・ペレ「ゲヘナの門を抜ける際 我らの魂は 地獄と天国の中間「煉獄」を通る」
ファントム・ペレ「アレは 地獄へ墜ちることも 罪を許され天国へ昇ることも拒み」
ファントム・ペレ「二千年もの間  煉獄を漂っていた空の器じゃ」
ファントム・ペレ「元が〈何〉であったのか もはや当人にも思い出せぬだろう 故に ゼロは無限に存在を吸収出来る」
ファントム・ペレ「──謂わば 〈可能性の悪魔〉なのじゃ」

〇SHIBUYA SKY
ファントム・ユム・シミル「見えた」
ファントム・ユム・シミル「フッ」
ファントム・ユム・シミル「ならば」
ファントム・ユム・シミル「喰らわぬか・・・ しかし 読める 読めるぞ 貴様の攻撃」
ファントム・ユム・シミル「喰らえ 鎧袖一触 〈マクアウィトル〉!!」
ファントム・ゼロ「──」
ファントム・ユム・シミル「なっ!!」
ファントム・ゼロ「オオオオオ!!」
ファントム・ユム・シミル「それは スルトめが畏れていた ケルト神話の〈勝利の宝剣〉」
ファントム・ユム・シミル「カハッ!!」
ファントム・ユム・シミル「悪魔の恐怖のイメージさえ 己が力とするか・・・悪魔め」
ファントム・ユム・シミル「貴様こそ 悪魔の中の・・・悪魔」
ファントム・ゼロ「──」

〇謎の施設の中枢
ファントム・ペレ「あやつがこの先 72柱の悪魔達の戦いの中で 何を吸収し いかに成長するのか」
ファントム・ペレ「その可能性はすべて ──この世界にかかっておろうの」

〇SHIBUYA SKY
ファントム・ロキ「面白いもん見ーちゃった」
ファントム・ロキ「これは他の悪魔たちに伝えて回らないと♪」

〇渋谷のスクランブル交差点
羽場准尉「頼む──人類を 救ってくれ」

〇SHIBUYA SKY
ファントム・ゼロ「俺は 人類を 救う」
ファントム・ゼロ「──人類とは」
ファントム・ゼロ「一体 なんだ?」
  ーファントム・オブ・パラダイスー

〇古い本
ファントム・ゼロ「──」
ファントム・モロク「──」
ファントム・スルト「──」
ファントム・ウェンディゴ「──」
ファントム・ルツィフェル「──」
ファントム・シャクス「──」
ファントム・ジョーズ「──」
ファントム・ペレ「──」
灰原教授「──」
レゼ助手「──」
東郷大佐「──」
雪平1士「──」
羽場准尉「──」
偵察隊隊員「──」
国家公安委員長 蛍宮「──」
ファントム・ユム・シミル「──」
ファントム・ロキ「──」

〇古い本
  ──Fin.

コメント

  • ソロモン王が封印した72柱の悪魔がモチーフでしょうか。それぞれの悪魔の見た目とキャラクターが合っていて見応えがありました。悪魔が抱く恐怖のイメージを力とする煉獄の悪魔というゼロの設定もかっこいいですね。

  • 何もわからない無垢な子供のように感じました。
    言われるがままというよりは、初めて言われたことも吸収して、といったような…。
    人類の味方なのか、敵なのか…。

  • 演出がカッコイイですね。

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