6.最恐の協力者(脚本)
〇上官の部屋
オラオラ姫を
オーラに戻す方法
それは──
ヴィクトル「祭りです」
「祭り?」
ヴィクトル「はい、これはマレフィセントの祭礼衣装 なのですが、」
ヴィクトル「この国とかなりデザインが違うと思いませんか?」
スパイクレット国王「ああん?それがどうした」
オラオラ姫(何を言いだすんだ。あいつは)
オラオラ姫(まずい、お父さまの様子が・・・)
オラオラ姫(・・・よし)
オラオラ姫「ふざけるな!」
オラオラ姫「私の姿を戻すだと!?軽々しく言うな!」
ヴィクトル「いや、本当にこれは」
オラオラ姫「黙れ!」
スパイクレット国王「オーラ、落ち着け」
オラオラ姫「いいえ、我慢なりません」
オラオラ姫「来い!その根性叩き直してやる!」
〇洋館の廊下
ヴィクトル「あの、最後まで話を!」
オラオラ姫「・・・何を考えてるか知らんが、」
オラオラ姫「この姿を変えるために、 私がどれほどの努力をしてきたか分かるか?」
オラオラ姫「どこぞの怪しい薬を煽ったり、」
オラオラ姫「聖堂で祈りを100日間捧げたり、」
オラオラ姫「全て無駄だった」
オラオラ姫「・・・今度余計なことをしたら、」
オラオラ姫「私の判断でお前を処分する」
オラオラ姫「いいな?」
オラオラ姫(ああ)
オラオラ姫(完全に嫌われたな・・・)
オラオラ姫「お!」
オラオラ姫「よし、お前たち、訓練に付き合え!」
「え」
「はい!喜んで!」
「ははは」
ヴィクトル(・・・そうは言っても、宣言した手前、 国王陛下は見過ごしてはくれまい)
ヴィクトル(オーラ姫の目をかい潜りつつ、 準備するしかないか)
オーロラ姫「なにあのお姉さまの態度!」
オーロラ姫「ねえ?」
ヴィクトル「オーロラ姫、あの」
ヴィクトル「すまなかった!」
ヴィクトル「廊下であなたを悪く言ったのは、悪かった」
オーロラ姫(なんか言われたっけ?)
ヴィクトル「だから、国王陛下に嘘の報告をするのはやめてほしい!」
オーロラ姫「はあ?」
〇城の客室
オーロラ姫 自室
ヴィクトル「はあ・・・ったく、紛らわしい」
オーロラ姫「ごめんなさい・・・」
ヴィクトル「同人誌なんて論外だからな」
ヴィクトル「俺の正体は、誰にも口外するなよ」
オーロラ姫「・・・・・・」
オーロラ姫「ねえ、正体がバレたからって、」
オーロラ姫「急になんか偉そうじゃない?」
ヴィクトル「そうか?」
使い魔「ま、まあまあまあ!」
使い魔「お二人は利害が一致してるんですから、 協力し合うことにしたんでしょ?ね?」
「う・・・・・・」
オーロラ姫「分かったわよ」
オーロラ姫「それはそうと・・・」
オーロラ姫「喋る小鳥さんって、本当に素敵!」
使い魔「え、え?」
オーロラ姫「ね、名前なんて言うの?」
使い魔「ありません」
オーロラ姫「え」
ヴィクトル「五年の契約だからな 下手に情がわきすぎないようにしてる」
使い魔「ひどいでしょう?こんなに可愛いのに」
使い魔「契約が終わったら、 ワシ冥界に帰らなきゃいけないんですよ?」
使い魔「もう一年くらい寿命くれてもいいと思いません?」
ヴィクトル「断る」
使い魔「ちっ」
ヴィクトル(隙あらば延長を求めてくるな・・・)
オーロラ姫「じゃあ、私がつけてあげる!」
オーロラ姫「えーと、小鳥さんだから・・・」
オーロラ姫「ロースト!」
使い魔「え、ロースト・・・って」
オーロラ姫「情よりも食欲がわく素敵な名前でしょ?」
「・・・!!!!」
〇城門の下
オーロラ姫「ね、私ひとつ思いついたんだけど!」
オーロラ姫「変異魔法っていうやつを、もう一度姉にかけてみるのはどうかしら?」
オーロラ姫「元の姿に変異させるの!」
「・・・・・・」
使い魔「お嬢さん、変異魔法の重ねがけは不可能なんです」
使い魔「先にかけられていた魔法・・・つまり術者の魂に弾かれてしまうのです」
オーロラ姫「まあ」
ヴィクトル「いや、いきなり核心をつかれて、驚いている」
ヴィクトル(俺の正体を見破った、 その行動力と直感力も侮れない)
ヴィクトル(これはいい人材かも)
ヴィクトル「実は図書室でこんな伝承を見つけた」
北国から醜い老婆がやってきた
みんなで老婆をもてなすと、
老婆は若い女に姿を変えた
夜が明けるまで、みんな踊って楽しんだ
ヴィクトル「他にも似たような伝承はいくつかあった」
ヴィクトル「変異魔法をかけられた北国人を意味しているとは思わないか?」
オーロラ姫「素敵!」
オーロラ姫「北国の方を楽しくおもてなしして救ったってお話なのね!」
オーロラ姫「そっか、その方法なら姉も──」
ヴィクトル「いや、逆だ」
ヴィクトル「老婆は多分」
ヴィクトル「苛立ったんだ」
オーロラ姫「ん?」
ヴィクトル「この国の人間ははっきり言って、」
ヴィクトル「良くいえば、おおらか」
ヴィクトル「悪くいえば、大雑把」
オーロラ姫「んん?」
ヴィクトル「仕事は緩くて、すぐに帰りたがる」
ヴィクトル「楽しいことが大好きで、目新しいものにすぐ飛びつく」
ヴィクトル「保守的で勤勉なマレフィセント人には、 耐え難いストレスだったと推測される」
オーロラ姫「・・・・・・」
ヴィクトル「だから老婆は楽しく踊りだしたんじゃなくて」
ヴィクトル「怒って暴れてたのではないかと俺は思う」
使い魔「なるほど」
オーロラ姫「へえ、ずいぶん実感こもってるのね?」
オーロラ姫「そんっなに、この国の空気は合わなかったかしら?」
ヴィクトル「いや、俺は好きだ。最初こそ戸惑ったが・・・」
ヴィクトル(俺に、飲み物のトラウマを克服させた)
ヴィクトル(その凄まじい陽の力を信じての作戦だ)
ヴィクトル「これを応用して」
〇黒背景
「変異魔法は、 術者の魂の一部を使った自律型の魔法だ」
ヴィクトル「盛大に祭りを起こし、」
ヴィクトル「ヴァランタンの魂を極限まで揺さぶる」
ヴィクトル「そのタイミングで、俺が変異魔法をかけて、」
ヴィクトル「俺の魂と、戦わせるんだ」
〇城門の下
使い魔「なんという・・・」
使い魔(魂の分身同士を戦わせる作戦か)
使い魔(殿下らしい作戦だ・・・)
オーロラ姫「よく分かんないけど、変異魔法の人はうるさいのが苦手なのね?」
オーロラ姫「んー、賑やかなお祭りねえ・・・」
〇ヨーロッパの街並み
オーロラ姫「果物投げ祭りとか?」
オーロラ姫「広場中果物まみれになって、 みんなすっごい楽しみにしてるの」
ヴィクトル「いいぞ、食べこぼしに異常に怒る奴だからな 苛立つだろう」
オーロラ姫(・・・子供の時に怒られたりしたのかしら?)
〇芸術
オーロラ姫「戦う男たちの裸祭りとか」
ヴィクトル「おお、これはいいな! 神経質だからな。絶対怒り狂う」
〇炎
オーロラ姫「炎の料理対決とか」
ヴィクトル「これは面白そ・・・え、料理?」
ヴィクトル「猛獣が・・・?」
ヴィクトル「一体・・・どうやって」
ヴィクトル「駄目だ、駄目だ! これは俺が見たいけど、あいつも喜びそうだ」
〇城門の下
オーロラ姫「大体決まってきたわね」
オーロラ姫「・・・・・・それにしても」
オーロラ姫「殿下って、お兄さんのこと、すごく理解してるのね」
オーロラ姫「お兄さんの方だって、ヴィクトルの王子のこと良く知ってるから、」
オーロラ姫「お姉さまのこと狙ったんじゃない?」
ヴィクトル「そんなことは──!」
〇西洋の城
絶対にありえない
ヴィクトル(誰があんな奴と理解し合ってなんか・・・!)
はっきり言って俺は
兄に勝ちたい気持ちが強すぎた
本当に、魔法を解ける方法は、
もっと身近にあったのに
ヴィクトル(それにしても、暑い)
ヴィクトル(注文した果物は、まだ届かないのか)
ヴィクトル(この国の時間がルーズな点は、どうにも)
ヴィクトル(日差しが、今日は特に・・・)
マレフィセント城が森の奥にある理由は
太陽光が、魔力をもつ者の体を蝕むから
〇荷馬車の中
ヴィクトル「ん?ここは・・・」
オラオラ姫「起きたか」
オラオラ姫「城の前で倒れてたぞ 医者に連れてってやろうと思ったが、」
オラオラ姫「大丈夫そうだな」
オラオラ姫「なら、目的は変更だ」
ヴィクトル「・・・何ですか、これ。お金?」
オラオラ姫「退職金だ」
オラオラ姫「お前、私に隠れて何か準備をしているらしいな」
オラオラ姫「オーロラまで巻き込んで、」
オラオラ姫「二人でこそこそと・・・」
ヴィクトル「いや、それは・・・!」
オラオラ姫「黙れ」
オラオラ姫「とにかく、忠告はしたはずだ」
オラオラ姫「街の外れで下ろす。二度と顔を見せるな」
ヴィクトル(どうする・・・)
ヴィクトル(というか、結界魔法の範囲外に出てるじゃないか)
ヴィクトル(大丈夫か、これ・・・)
〇けもの道
ヴィクトル「あ・・・」
ヴィクトル(今のは事故か?攻撃か?)
ヴィクトル「大丈夫ですか!?」
ヴィクトル「・・・良かった。気を失ってるだけか」
ヴィクトル(魔法を使えば、崖は登れるが・・・)
ヴィクトル(馬車の御者が無事なら、城に救援を求めてるはず)
オラオラ姫「ん・・・」
オラオラ姫「悪かった。逃げろ・・・」
オラオラ姫「お前にだけは・・・」
オラオラ姫「もう、見られたくない」
ヴィクトル(寝言?)
オラオラ姫「オーロラと二人で何を話し──」
オラオラ姫「私は、お前のとこが・・・」
ヴィクトル(ん?)
ヴィクトル(・・・誰に、何を話してる夢だろう?)
つづく
オラオラ姫、あの顔でもかわいく見えます!
バナナにロースト! 料理対決!
今回はお腹が空きそうな飯テロ回でしたね🤣
ロースト…香ばしくて良い名前ですね、おかげさまで今夜のメニューも決まりました♪
ちょっと公園で捕獲してきます!