平凡

神社巡り

エピソード1(脚本)

平凡

神社巡り

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〇渋谷の雑踏
  私は容子。
  特に目立った取柄もなく普通に生きる16才の高校生だ。
  家庭では家族との目立ったトラブルはなく良い子でも悪い子でもない。
  至って普通・・・
  学校の中では目立つ事は一切せず、大勢の中に埋もれている・・・
  それが賢い生き方だとずっと思っていた・・・
  私の生き方に私の存在理由はあるのだろうか・・・?
  疑問を感じ始めた時に彼女に出会った。
容子「遅いわね・・・ここで間違い無いわよね・・・!?」
  知人と待ち合わせの最中・・・大勢の人混みに光るものが見えた。
容子「あれは・・・!?」
康子「きょろきょろ・・・」
康子「うわぁ!!」
一般市民A「邪魔だよ!!ガキが!!」
康子「うぅっ・・・」
  私の眼には何故だか彼女が光って見えた。
容子「どうしました?」
康子「あ~っ・・・」
一般市民A「そのガキがぶつかって来たんだよ!! お前の妹か!?」
容子「いいえ・・・赤の他人です・・・」
  私は目立つ事が嫌いだ・・・
  本来はこんな事をするキャラじゃない。
  だたこの時は考える間もなく行動していた。
一般市民A「だったら何だよ!?難癖付けようとしてるのか!?」
容子「この子のしでかした事は私が代わりに謝ります・・・ですので許して頂けませんか?」
一般市民A「お前が代わりに謝るのか・・・? だったら少し付き合えよ・・・!!」
容子「きゃ!!」
康子「このぉ~キッ~ク!!」
一般市民A「うわぁ~!!」
  目の前で小柄な少女が飛び蹴りをした!!
  信じられない事に大柄な男が少女の蹴りに崩れ落ちた・・・
康子「行こう!お姉ちゃん・・・」

〇川沿いの公園
容子「はぁはぁ・・・ここまで来たら大丈夫ね・・・」
容子「ところであなたは迷子かなぁ?」
康子「うんん・・・探していたんだよ・・・」
容子「探していたって・・・何を・・・!?」
康子「お姉ちゃんを・・・」
  お姉ちゃんを・・・そう呟いた少女の真っ直ぐに向けられた瞳には私が映っていた・・・
容子「わ、私・・・!? 私、あなたの事知らないわよ・・・」
康子「私は知ってるもん・・・」
容子「お父さんやお母さんはどこかなぁ?」
康子「お空の彼方だよ・・・」
  少女の言葉が私は理解できなかった・・・
容子「(亡くなっているって事・・・?)」
容子「あなたをこの街に連れてきた大人の人は誰かなぁ?」
康子「一人で来たんだよ・・・歩いてきたの・・・」
容子「(この近所の子供なのか・・・?警察に連れて行くしかないのかなぁ?)」
容子「あなたの家はこの近く?」
康子「うんん・・・ずっと遠くだよ」
  この少女は何を言っているのだろうか・・・?遠くの街に大人の付き添いもなく一人で歩いて来たと言っているのだろうか・・・?
  厄介なもめ事に巻き込まれるのは嫌だったので、私は少女を警察に連れて行こうと決めた!!
容子「ちょっとお姉ちゃんに付いてきて・・・」
康子「どこに行くのぉ~?」
  少女の私を見つめる真っ直ぐな眼差しが私の決断を鈍らせていく・・・
容子「う、うん・・・ちょっとね・・・」
康子「どこに行くのぉ・・・」
  少女の不安な眼差しに私の決意は崩壊した・・・
容子「どこかでアイスでも食べようかぁ?」
康子「アイス・・・それは何だろぉ・・・?」
  私は愕然とした・・・少女はアイスがわからなかったのだ・・・いったいどんな境遇で育ったのだろうか・・・
容子「甘くて冷たくてとっても美味しいものよ・・・」
康子「甘くて美味しいの・・・だったら行く!!」

〇商店街の飲食店
康子「わぁ~冷たくておいし~い!! (ガツガツガツ・・・)」
容子「そんなに慌てて食べると頭がキィーンと痛くなるわよ・・・」
康子「(キィーン!) 痛ったたっ・・・」
容子「わははは・・・ほら見なさい・・・」
  アイスクリームを無邪気に食べる少女の姿に私は少女が何者なのか?という考えをすっかり忘れていた・・・
謎の男A「見つけたぞ!!」
康子「あっ!」
  黒服の男が現れると少女はいきなり逃げ出した・・・私は考える間もなく彼女の後を追った・・・

〇狭い裏通り
  少女を追いかけてどのくらい走り回っただろうか・・・?気が付くと見慣れない路地裏に迷い込んでいた。
容子「はぁはぁはぁはぁはぁはぁ・・・ 今日はよく走り回る日ね・・・はぁはぁ」
康子「はぁはぁはぁはぁ・・・」
  頭の中で渦巻く少女に関する数々の疑問・・・生半可な覚悟では、また訳の分からない返答で振り回されるだろう・・・
  私は腰を据えて彼女に質問する事にした。
  状況を整理してみよう・・・少女は何者なのだろうか・・・?
容子「あなたのお名前はなんて言うのかな・・・?」
康子「私は・・・康子、康子っていうの・・・」
容子「康子ちゃんね・・・お姉ちゃん、康子ちゃんがどこから来たのかちゃんと教えて欲しいなぁ・・・?」
康子「お姉ちゃんの知らない所だよ・・・山の中にある大きな建物・・・そこに閉じ込められていたの・・・」
  山の中・・・閉じ込められていた・・・そして黒服の追っ手・・・康子ちゃんは普通の子では無い事がわかった・・・
容子「いつから・・・そこにはいつからいたのかな?」
康子「ずっと前からだよ・・・金属でできたお部屋の中でで頭にヘルメットを付けて居たんだよ」
  それって監禁じゃん・・・心の中でその言葉がリピートしていた・・・
  しかし、私の手には負えない・・・康子ちゃんを監禁していたのは国家の秘密機関とか又は大きな犯罪組織の類だろう・・・
  もしかすると世界的に力のある組織かも知れない・・・警察に連れってても決してあてにはならないだろう・・・
  頭の中がごちゃごちゃして整理がつかない・・・私は考える事を一切辞めた!!
容子「為せば成る!!」
康子「ん?お姉ちゃん・・・どうしたの?」
容子「康子ちゃん・・・行きたいところはあるかなぁ?」
康子「お姉ちゃんのところ・・・」
容子「う、家・・・!? 家に来たいって事!?」
康子「うん・・・」
  家に来たいってどうゆう事だろう・・・そういえば最初に会った時に私を探していたと言っていた・・・
  私に記憶が無いだけで康子ちゃんとは何処かで会っているのだろうか・・・?
容子「私に会った事があるって言ってたけど何処で会ったかなぁ・・・?」
康子「多分、お姉ちゃんは気が付かなかったと思うよ・・・私が光を見つけただけだから・・・」
  どういう事だろう・・・?
  私が康子ちゃんを最初に見かけた時も光が見えた・・・
  康子ちゃんには私が光って見えていたのだろうか・・・?
容子「康子ちゃんは家に来て何をするのかな?」
康子「お姉ちゃんの家に大切なものがあるはずなのぉ・・・」
容子「大切なもの!?」
康子「うん・・・」
  大切なものが何か気になったが私は聞かなかった・・・康子ちゃんは教えてはくれないだろう・・・
容子「行こうか・・・」
康子「うん・・・」

〇ファンシーな部屋
容子「どうぞぉ~」
康子「わぁ~ありがとう・・・」
康子「(ぐびぃぐびぃ・・・) わぁ~美味しいぃ~」
容子「またそんなに慌ててぇ・・・」
  たわいのないやり取りを何故だか懐かしく感じていた・・・そんな時、康子ちゃんの顔色が急に変わった。
康子「あっ!!」
  康子ちゃんはベットの下のクローゼットを血相を変えて探し始めた・・・
康子「あった~!!」
  クローゼットから出てきたもの・・・私には見覚えがあった。
  中学の終わりごろ見ず知らずの初老の女性から預かってくれと渡されたものだった。捨てるに捨てられず持っていたのだ・・・
  単なる玩具だと思っていたが何を意味するものだろうか・・・?
容子「それは・・・何なのかな?」
康子「これね・・・お父さんの居場所がわかるんだよ!!」
容子「お父さんとお母さんはお空の彼方って・・・」
康子「うん!!お空の彼方だよ・・・」
  康子ちゃんの言葉は理解に苦しむ・・・私の思考が追い付かないだけなのだろうか?
容子「康子ちゃんはこれからお父さんを探しに行くの?」
康子「うん・・・探しに行く!!」
  そう・・・気を付けてね・・・
  そんな選択肢もあったが私には康子ちゃんをほっておくことは出来なかった。
容子「お姉ちゃんも一緒に行くわ!!」
  私のキャラが何故だかおかしい・・・
  面倒事を極力避ける目立たない自分はどこに行ったのだろうか?
康子「わぁー本当にぃ~」
容子「行きましょうか・・・?」

〇菜の花畑
  康子ちゃん見つけた謎の機械・・・
  その機械が指し示す場所は街からかなり離れていた・・・
容子「かなり遠くまで来たわね・・・」
康子「もう少しだよ・・・」
  辺り一面の菜の花畑・・・こんなところに
  康子ちゃんのお父さんがいるのだろうか?
康子「ん~」
容子「どうしたの?」
康子「点滅してるのはこの辺なんだけどなぁ~」
容子「見せてみて」
  確かに機械はこの辺りを示していた・・・
  しかし周りには何もない。
  地中という事だろうか?
  何かの光が見えた。
  その瞬間、空の色が変わった・・・

〇菜の花畑
容子「いきなり夜になったわ・・・どういう事・・・!?」
康子「あっ・・・お父さんが現れるよ・・・」
康子「あっ!!お父さ~ん」
  目の前に現れたのは龍だった・・・私は現状が理解できず混乱していた・・・
容子の父「娘を助けて頂きありがとうございます・・・」
容子の父「ずいぶん前に娘は人間に捕まってしまい囚われの身になっていました」
容子の父「助け出そうにも強固な建物に私の力は及ばず・・・見守る以外なかったのです」
容子の父「そんな時にあなたを見つけた!! 私たちはあなたの力を借りようと私のセンサーを妻に託しあなたへと手渡しました・・・」
  龍が何を言っているのか私には、ほぼ理解できなかった。
  康子ちゃんの持っていた機械が龍のセンサーで、その機械を私に渡したのが龍の奥さんだという事は理解できた。
  そして康子ちゃんは龍の娘で人間に捕まり監禁されていた・・・
  しかし何故、私の力を借りようと思ったのか・・・?現実離れした状況に理解が追い付かない。
容子「この後、康子ちゃんはどうなるんですか?」
容子の父「普通に家に連れて帰りますよ・・・ ありがとうございました・・・」
  間の抜けた質問だった・・・龍の娘の康子ちゃんが何故人間みたいな容姿なのか?とか聞きたいことはいくらでもあった・・・
康子「お姉ちゃん、ありがとう・・・私、お家帰るね・・・」
容子「う、うん・・・こちらこそありがとう・・・また遊びに来てね・・・」
  思考がまったく追い付かない・・・私は空しく康子ちゃんに手を振っていた・・・
康子「うん!また遊びに行く!! バイバ~イ」

〇菜の花畑
  何事もなかったかの様に辺りは静かだった
  私は今日起こった事は忘れる事にした・・・あまりにも現実離れした体験など誰も信じてはくれない
  そして私のキャラは通常から逸脱していた・・・夢だったとしても何もおかしくはない・・・
  私は帰路を急ぎ日常へと戻った・・・
  目立つ事のない普通の日常へと・・・

〇ファンシーな部屋
  1週間後
容子「今日は学校、お休みだわ・・・ 何をして過ごそうかしら・・・」
  相変わらず面白味の無い日常を過ごしていた・・・

〇ファンシーな部屋
容子「うわぁ!」
康子「お姉ちゃん、こんにちわぁ~」
  あの日の事は奇麗さっぱり忘れようとしていた・・・しかし遊びに来ると言っていた康子ちゃんは本当にやってきた・・・
容子「こ、こんにちは・・・康子ちゃん!どうしたの・・・?」
康子「それが困った事になって・・・お姉ちゃんの力をまた貸して欲しいんだぁ・・・」
  私の力!?
  疑問符が頭の中でリピートする・・・私は何の取柄もない面倒事が嫌いな16才だ・・・
  しかし康子ちゃんの前でそのキャラクターは崩壊する!
容子「わかったわ!何でも言って御覧なさい!」
  今日はワクワクした日になりそうね!!
  
  
  
  
  
  END

次のエピソード:エピソード2

コメント

  • 平凡でありたいと思う気持ちとはうらはらの彼女の行動力に新鮮な風を感じました。私は平凡を嫌うタイプの人間ですが、たまにありふれたタイプの女性に憧れることはあります。少し違う自分を演出するのも悪くないですね!

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