第八話 魔法決戦(3)生贄の儀式(脚本)
〇荒野
古代の魔女「あたしゃ、古代の悪い魔女じゃ!!」
古代の魔法少女「わたしは古代の魔法少女よ、悪は許さない!」
古代の魔女「生意気な子だね! いいかげんにしないと体罰をくらわすよ!」
天羽春乃「ああっ!! 大先輩の魔法少女がおいしそうなお肉にー!!」
中世の魔女「あちきは中世の凶悪な魔女さね」
中世の魔法少女「わたしは中世の魔法少女よ、凶悪は許さない!」
中世の魔女「大人の言うことを素直に聞かない子は、児童虐待だよ!!」
天羽春乃「ああっ!! 先輩の魔法少女が春日屋のたい焼きにー!!」
天羽春乃「え!? 次はあたしの番なの?」
ディアナ「私は現代の魔女よ、とってもイケナイことが好きなの」
ディアナ「あなたみたいな世界でいちばん可愛い魔法少女には、厳しい折檻が必要ね」
春乃?「あれ・・・?」
春乃?「うわああ!! ガイコツにされちゃったー!!」
〇拷問部屋
天羽春乃「はっ!!」
天羽春乃「夢かぁ・・・」
天羽春乃「あれ? 体育倉庫?」
天羽春乃「寝ぼけてる場合じゃない!!」
目の前の床には、〈栄光の手〉がおいてある。
天羽春乃(やっぱり動けない・・・)
天羽春乃「ここ何の部屋? キョロキョロ・・・」
薄暗い部屋の中には、禍々しい拷問具がいくつもならんでいる。
天羽春乃「・・・あんまりカワイクない部屋だね」
天羽春乃「それより、どのくらい時間がたったんだろう?」
天羽春乃「すごくグッスリ寝てたような・・・」
天羽春乃「わっ!? なになに!? 地震!?」
〇養護施設の庭
その頃、前庭では──
ディアナ「地にまします、われらがサタン様!」
ディアナ「偉大なる地獄の主サタン様!」
ディアナは魔法陣の中に立ち、生贄の儀式を始めていた。
そばにある石のテーブルには、意識を失っている岩崎姉妹が横たえられている。
ディアナ「これより、呪文の詠唱に入らせていただきます!」
ディアナの呼びかけに応えるように、またも地響きが起こる。
ディアナ「ノバテ アッペラ フォラビッ!」
ディアナ「ノバテ アッペラ フォラビッ!」
同じ呪文を二度繰り返す。
ディアナ「ノバテ アッペラ フォラビッ!」
同じ呪文を三度繰り返す。
ディアナ「ノバテ アッペラ フォラビッ!」
同じ呪文を四度繰り返す。
ディアナが呪文を唱えるごとに、そばにいるアヤメがノートパソコンのキーを押してカウントする。
画面には、カウントした数字が大きく表示されている。
ディアナ「ノバテ アッペラ フォラビッ! ノバテ アッペラ フォラビッ! ノバテ アッペラ フォラビッ!」
ディアナ「ノバテ アッペラ フォラビッ! ノバテ アッペラ フォラビッ! ノバテ アッペラ フォラビッ!」
ディアナ「ノバテ アッペラ フォラビッ! ノバテ アッペラ フォラビッ! ノバテ アッペラ フォラビッ!」
ディアナ(この呪文を一万回・・・)
ディアナ(特別な魔法儀式なんだから当然よ)
ディアナ(魔力を高められるなら、このくらいなんてことないわ!!)
〇洋館の玄関ホール
天羽春乃「うおおおーっ!! 春乃、脱出に成功ーーっ!!」
〇養護施設の庭
天羽春乃「弥生ちゃん! 千尋ちゃん!」
天羽春乃「助けに来たよ!! もう安心して!!」
岩崎千尋「遅いよ、おねえちゃん」
岩崎千尋「千尋、もう魂を取られちゃった」
天羽春乃「え!?」
〇拷問部屋
天羽春乃「・・・はっ!!」
天羽春乃「また夢かぁ・・・」
天羽春乃「パーリル マクテク ポーナパルト♡ 体よ、動けーっ!!」
天羽春乃「・・・・・・」
天羽春乃「やっぱりダメかー・・・」
〇養護施設の庭
一方、前庭では──
ディアナの詠唱はやんでおり、静かになっている。
画面に表示されているのは、折り返し回数である〝5000〟
ディアナ「フゥ・・・」
ディアナ「いち、に! さん、し! 両脚屈伸!」
ディアナ「スゥーーハーー! スゥーーハーー! 深呼吸!」
ディアナ「よし、休憩終了」
ディアナは再び、呪文詠唱マラソンにもどる。
ディアナ「ノバテ アッペラ フォラビッ! ノバテ アッペラ フォラビッ!」
ディアナ(まだまだ余力はあるわ)
〇拷問部屋
天羽春乃「なんだか、すごーくせっぱつまった状況のような・・・」
天羽春乃「うお~! こんじょうーっ!!」
天羽春乃「ダメだ、どんなにもがいても・・・」
ラック「春乃ーーっ!!」
天羽春乃「ラックちゃん!!」
天羽春乃「よかった!! 生きてたんだね!!」
ラック「ちょっとばかり疲れたから、死んだように眠って回復を待ってたんだ」
ラック「それより急がないと、生贄の儀式は終わっちまうぞ!」
天羽春乃「そんなこといっても、ぬぐぐ・・・!!」
ラック「〈栄光の手〉か。こいつはミルクでしか消せないんだ」
天羽春乃「ミルクなんてないよ」
ラック「心配するな、おれの腹の中にたっぷり入ってる!」
ラックはゲロのようなものを飛ばして、〈栄光の手〉の炎を消す。
天羽春乃「やった! 動けるよ!!」
ラック「ところで春乃、腕輪はどうした?」
天羽春乃「え~とね、取られちゃった」
ラック「あれがないと、絶対にディアナは倒せないぞ」
ラック「このまま、おれたちだけでこっそり逃げ出すか?」
天羽春乃「ダメだよ、弥生ちゃんたちを助けないと」
天羽春乃「とにかく、むかわなきゃ!!」
〇黒
つづく!
次回予告
第九話 魔法決戦(4)対決
またみてね!