パンイチ冒険者ケンイチ

紅月桜

第六話 温泉回(脚本)

パンイチ冒険者ケンイチ

紅月桜

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〇児童養護施設
ニュクス「おはようみんな」
スノー「おはよー」
オータ「グンマァ」
ケンイチ「お、おはよう」
ニュクス「スノーは寒いの平気かな?」
スノー「うん、【氷耐性】持ちだよ」
ニュクス「問題は二人か」
オータ「一昨日採った魔猪の獣脂、全身に塗ル」
ケンイチ「えっ?なに? うわっ、ヌルヌルする!」
ケンイチ「何これ・・・肌テッカテカ・・・」
オータ「俺モ塗ル」
ニュクス「無いよりはマシか 極力短時間で三階層を抜けよう」
オータ「頼ム」
ニュクス「さぁ出発しよう 今日の目標は四階層到達だ」

〇薄暗い谷底
  第六話 温泉回
  一階層
ニュクス「まずは前回と同じ裂け目に飛び込む」

〇山中の川
  二階層
ニュクス「二階層は急流下りだ」
オータ「俺、伐採スキル、アル」
オータ「グンマァ!」
オータ「もやい綱で繋いダ」
ニュクス「ありがとう、川に浮かべよう」
ケンイチ「まさかこの丸太で川下り!?」
ニュクス「そのまさかさ」
ニュクス「隊列を決めよう。先頭は僕。 騎士だからね、盾役は任せてくれ」
ニュクス「二番手は斥候役にケンイチ」
ケンイチ「セッコー・・・?」
パンツくん「接敵をいち早く報せる役割じゃ」
ケンイチ「わ、わかった!」
ニュクス「三番手は後衛職のスノー」
スノー「はい!」
ニュクス「オータ、殿(しんがり)を頼む。特にスノーは耐久値が低いから流れ弾で死にかねない。かばってあげてほしい」
オータ「任せロ 殿、戦士の誉れ」
スノー「おねがいします!」
ニュクス「さぁ行こう 前の人にしっかり捕まって」
ケンイチ「ゆきちゃんが後ろから抱きついてくれる・・・俺が生まれてきたのは今この瞬間のためだったんだ」
ニュクス「オータ、もやい綱を斬ってくれ!」
オータ「グンマァ!」

〇渓谷
ケンイチ(流れが速い! まるでジェットコースターだ!)
ケンイチ「!! 今の水音は・・・ 左前方にワニ!!」
ニュクス「すれ違いざまに斬り飛ばす!」
ケンイチ「右手の張り出した枝の上に大蛇!」
ニュクス「スノー、氷魔法! 動きを鈍らせた隙にすり抜ける!」
スノー「【凍結】!」
ケンイチ「水の轟音・・・滝がある!」
ニュクス「そのまま突っ込む! 振り落とされるな!」

〇水中
ケンイチ「うぉおおおっ!?」

〇雪山
  三階層
ニュクス「三階層も丸太で滑り続ける!」
ケンイチ「猛吹雪・・・これが三階層!?」
オータ「三階層、極寒エリア。 グンマァの戦士、この寒さに勝てなかっタ」
ケンイチ「めっちゃ寒い!」
オータ「獣脂塗っただけマシ」
スノー「魔猪の毛皮を羽織ったほうが・・・」
オータ「できナイ 己の肉体を晒す、グンマァの戦士の誇り」
ケンイチ(俺は毛皮を着たい!)
ニュクス「丸太の勢いを殺さずに滑走し続ける!」
ケンイチ「滑走っていうか滑落って感じだけど!」
ケンイチ「地響き・・・いや足音? 右手になんかデカいのいる!」
ニュクス「雪男だ、相手にすると時間を食う」
ニュクス「スノー!丸太の進路を左に変えたい! 氷のカーブを作ってくれ!」
スノー「で、できるかな・・・【凍結】!」
スノー「わっ、すごい威力!」
ニュクス「地形効果だ 次は右・・・あの尾根を越えたら左へ!」
ケンイチ「連射したら魔力尽きない!?」
スノー「何発でも撃てそうだよ」
ニュクス「三階層は氷の魔素が濃いから自然回復も早い」
ケンイチ「獣の足音がたくさん! たぶん十匹以上!」
ニュクス「雪狼の群れだ!」
パンツくん「雪狼は三階層までなら敏捷最高値のモンスターじゃ」
スノー「氷魔法撃ってみる?」
ニュクス「いや、雪狼も氷耐性持ちだ」
ニュクス「オータ!追撃を振り払ってくれ!」
オータ「任せロ」
オータ「!!」
オータ「グンマァ!!」
ケンイチ「振り切ったけどオータのケガがひどい! ニュクス、回復魔法を!」
ニュクス「癒やすには直接触れる必要がある! この隊列じゃすぐには無理だ!」
ケンイチ「一旦止めて丸太から下りよう!」
ニュクス「もうすぐ回復ポイントがある 悪いけどそれまでこらえてくれ!」
オータ「心配ナイ 狼の牙、耐えた・・・うふふ・・・」
ケンイチ(なんで嬉しそうなの!?マゾなの!?)
ニュクス(レベルに見合わぬ高耐久。回避が得意な敏捷型のケンイチに対して、オータは身体を張って攻撃を受け止める耐久型だ)
ケンイチ「この地鳴りは・・・右の斜面から雪崩!!」
ニュクス「体勢を低く! 空気抵抗を減らして加速! 雪崩の先をギリギリ横切る!!」

〇雪山
ケンイチ「視界が・・・霧?」
スノー「変なにおい 卵が腐ったみたいな」
ケンイチ「気温も上がった?」
ニュクス「回復ポイントだ! 着水する!」

〇露天風呂
(気持ちよすぎだろ!)
スノー「温泉だー!」
ケンイチ「ゆきちゃんの水着! 俺が生まれたのは今この瞬間のためだったんだ」
パンツくん「さっきも聞いたぞい」
オータ「傷、治っタ」
ニュクス「この回復ポイントは僕の【治癒】より強力だからね。咬傷も凍傷も一瞬で癒える」
スノー「ニュクス君といっしょに温泉・・・」
ケンイチ「ニュクス! 女の子の前でその恰好はハレンチじゃないか!?」
パンツくん「おま言う」
ケンイチ「そういえばもう三十分経つけど 本当に一時間以内に地上へ戻れるの? 戻れなかったらログアウトしちゃうけど」
オータ「ダンジョン内でログアウト、まずい。 魂抜けのあいだ、無防備」
ケンイチ「タマヌケ?」
パンツくん「プレイヤーがログアウトして抜け殻状態のアバターだけ残ることじゃ。たいていはモンスターに襲われて死亡する」
ケンイチ「クソ仕様過ぎるだろ!」
ニュクス「大丈夫 四階層のゲートから一瞬で帰れるよ」
ケンイチ「ゲート?」
ニュクス「邪神討伐を助けるために聖光教会が配置した聖遺物の一つ。見た目は天使の彫像で、転送装置の役割を果たす」
ニュクス「全七階層のダンジョンの中間点、四階層にあることからミッドポイントとも呼ばれる」
ニュクス「像に触れて【開門】と唱えれば地上へ帰還できる。一度ゲートを使った者は、地上から四階層へ転移も可能だ」
ケンイチ「じゃあニュクスはいつも地上と四階層を一瞬で行き来してるの?」
ニュクス「まぁね 浅い階層にも未踏領域はあるからいつもってわけじゃないけど」
ケンイチ(四階層でようやく中間地点か・・・)
ケンイチ(いや今はそんなことよりもゆきちゃんウォッチングだ! 温泉回は最高だぜ!)
ケンイチ「!!」
ケンイチ(ま、まずい! ガン見してるのがバレる!)
ケンイチ(温泉回は危険が危ない! ごまかさなきゃ!)
ケンイチ「いやぁ本当にいい湯だなぁ 慢性的なつらい肩こり腰痛が遠のいていく (棒読み)」
スノー(ケンイチさんの中の人、 お父さんくらいの年齢なのかな?)
ケンイチ「そうだ この温泉を瓶に入れて持ち帰れば回復ポーションになるんじゃないか!?」
パンツくん「回復できるのはこの場所だけじゃ。 あくまで地形効果じゃからのう」
ケンイチ「ダメか・・・。 回復アイテムしょぼいんだよなぁ 店売りの薬草も止血だけでケガ治らないし」
パンツくん「現実のケガも一瞬で治らんじゃろ? 回復魔法でさえ莫大な魔力を消費する」
ケンイチ「ニュクスは連発してたけど」
パンツくん「全プレイヤーで一位の魔力量じゃからのう」
ケンイチ「チート過ぎる・・・!」
スノー「気持ちいい・・・ 極寒エリアなのに温泉なんて不思議」
ニュクス「四階層の入り口のすぐそばだから炎の魔素の影響だろうね」
ケンイチ「炎? じゃあ四階層はまさか・・・」
ニュクス「ああ、四階層は灼熱の溶岩エリアだ」

〇炎
  四階層
ケンイチ「あつっ!?」
スノー「溶けちゃうよ・・・」
ニュクス「この階層には炎系の魔物のほか ワイバーンといった竜種も棲息している」
ケンイチ「あの遠くにいる奴は!?」
ケンイチ「ヴォロ・・・何だっけ・・・ ヴォロえもん?が使ってた召喚獣か!?」
ニュクス「ヴォロドィームィルだ モンスターのほうはバルログ」
ニュクス「君達が前に見たのとは別個体だろう。 もともとバルログは四階層の魔物だ」
ニュクス「この階層では火勢がさらに増す。 君達が炎撃を受ければ即死だ。 ここは僕に任せてくれ」
ケンイチ「ま、待ってくれ!」
ケンイチ(ニュクスに頼りきりで、それで攻略したって言えるのか?トップを目指すにはいずれヴォロえもんにも勝たなきゃいけないのに)
ケンイチ「・・・決めた」
ケンイチ「あいつはニュクス抜きで倒す!」

次のエピソード:第七話 先っちょだけでいいから

コメント

  • パンイチで雪山は辛すぎますねー!
    どこの階層も地獄ですけど🤣
    ショートカットの演出が
    マリカーのタイムアタックみたいで
    シビアな感じが好きです☺️

  • オータの温泉シーン!!

  • パンイチで雪山地帯…寒そう…

    からの温泉はそりゃ気持ち良すぎですね!

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