竜と夜明けの彼方まで

白星ナガレ

ep.5 救済の道(脚本)

竜と夜明けの彼方まで

白星ナガレ

今すぐ読む

竜と夜明けの彼方まで
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇謎の施設の中枢
ラノ「な、何、これ・・・」
  ラノ・・・私はここだ
ラノ「ルディ! ここって──・・・」
ラノ(この剣・・・ここからルディの声がする)
ラノ「ルディ、この剣は・・・?」
  ・・・その剣は、私の半身だ
  今はそれを通して話している
ラノ「よくわからないけど、無事なの? 本当のルディはどこにいるの?」
  帝国といえば伝わるか・・・
  私はそこで──と──に──
ラノ「よく聞こえないよ!」
  離れ──力が届かな──
ラノ「ルディ!」
  剣を──れ、ラノ
  私はいつも──の傍に──
  ・・・
ラノ「ルディ・・・!」
ラノ「何が起きてるのかわからないけど──」
ラノ「・・・これが、ルディの半分なんだね?」
ラノ「君を連れて行くよ、ルディ」
ラノ「君の半分と一緒に 本当の君を迎えに行くよ・・・!」
ラノ「だからルディ、無事でいてね」
ラノ(まずは、ここから地上に出なきゃ・・・)

〇黒
(階段があったけど真っ暗だ・・・ どこに繋がってるんだろう)
(ん・・・天井に突き当たった・・・? この天井、なんか押せそうだな・・・)

〇謁見の間
ラノ「こ、ここは──?」
「おぬし・・・」
国王「今、どこから出てきた?」
ラノ(ま、まずい・・・なんか偉そうな部屋の 偉そうな人に見つかった・・・!)
国王「答えによっては この場で即刻処刑となるが・・・」
ラノ「えっと、僕、迷子で・・・」
国王「ちなみに余に向かって嘘を述べたら 罪人と見なすが──言葉を撤回するか?」
ラノ「て、撤回する! 撤回します!」
国王「もうよい、おぬしが 剣の間から来たことは明白だ・・・」
国王「ときに、その腰の剣はどうやって手にした?」
ラノ「これは、えーと・・・」
ラノ(ルディのことは言いたくない・・・ きっと問いただされる!)
ラノ(だからといって嘘はバレるし──)
ラノ「・・・剣に、呼ばれたんです」
国王「剣が話したとでも?」
ラノ「そうだけど、 多分そうじゃなくて・・・」
国王「歯切れの悪い奴よのう・・・」
王国兵「国王陛下! 何やら不審な声が聞こえましたが──」
王国兵「貴様! 先ほど捕らえた罪人ではないか!」
国王「罪人? クレムの件か」
ラノ「クレムは無事?」
王国兵「白々しい! クレム様のお怪我は貴様の仕業だろう!」
国王「・・・クレムは無事だ、今はな おぬしがクレムを攻撃したと聞いたが?」
ラノ「僕がクレムに攻撃したわけじゃない・・・」
王国兵「往生際の悪い奴め・・・次は 身動きを封じて牢へぶちこんでやろう」
国王「待て、もうよい 下がっておれ」
王国兵「し、しかし!」
国王「・・・」
王国兵「わ、わかりました! 何かありましたらなんなりと!」
国王「おぬし、クレムを気にかける 素振りをしていたが──何故だ?」
ラノ「クレムは、僕を助けてくれたんだ 僕を庇って、あんな怪我を・・・」
国王「なるほど、クレムの件は冤罪だと申すか されどおぬしが盗人なのは変わりなかろう」
ラノ「あ──この剣は・・・」
国王「剣に呼ばれたと言うならば、おぬしには それに値する器があると?」
ラノ(・・・器がどうとは思わない── けど僕は、確かにルディに呼ばれたんだ)
ラノ「この剣は、僕のだ」
ラノ「勝手なことを言うけど、譲れないんだ」
国王「・・・こちらとしては おぬしの言葉を鵜呑みにはできぬ」
国王「──証明してみせよ」
ラノ「証明?」
国王「・・・クレムは今、危険な状態なのだ 毒に侵されているようでな」
ラノ「そんな・・・」
国王「それも珍しい毒だ・・・ 薬を探しているがその存在も危うい」
国王「ただ、解毒に使う主成分が含まれる植物が 生息しているとされる場所がある」
国王「危険な地ではあるが──」
国王「おぬしがクレムに救われたのならば 次はおぬしがクレムを救ってくれまいか」
国王「その植物を持ち帰ったならば それこそが証明となろう」
国王「おぬしがクレムに救われたこと、 それに報いようとしていること、」
国王「その剣を扱える器であるということ・・・」
国王「どうだ、やるかね」
ラノ「やるよ」
ラノ「僕にできるなら・・・クレムを助けたい」
ラノ「僕は二度も助けられたんだ・・・ 今度こそ、僕の番だ」
国王「そうか・・・では行け 外に付き人を用意しておく」

〇城門の下
ラノ(危険な地・・・どんな場所なんだろう)
ラノ(大丈夫、僕にはルディがついてる)
ラノ(何があっても 次こそ僕がクレムを助けるんだ)
ラノ(一緒に行ってくれる人にも 守られてばかりじゃいられないよね)
ラノ(一体どんな人なんだろう──)
「おっそーーい!」
チューニャ「クレム様が大変なのわかってる? さっさと来なさいよね!」
ラノ「ご、ごめん、中で迷っちゃって・・・ 君が一緒に行ってくれるの?」
チューニャ「チューニャ!」
ラノ「ちゅ、ちゅーにゃ?」
チューニャ「君じゃなくてチューニャ! あんたの名前は?」
ラノ「ぼ、僕はラノだ」
チューニャ「ラノ、さっさと行くわよ! 早くクレム様を治さなきゃ!」
ラノ「ま、待ってよ!」
「待たない! 早く!」
ラノ(忙しい人だ・・・)

〇草原の道
ラノ「チューニャ、 これから向かう場所は一体どんな──」
チューニャ「ちょーー危ないところ!」
ラノ「・・・どんな風に危ないの?」
チューニャ「行けばわかるんじゃない?」
ラノ「君は、そんなところに行って大丈夫なの?」
ラノ(チューニャ、力があるようには 見えないけど・・・)
チューニャ「どういう意味? 少なくともラノよりは大丈夫だと思うよ」
チューニャ「てか、私はラノのこと信用してないから 馴れ馴れしくしないでよね!」
ラノ「そ、そんなつもりは・・・」
チューニャ「・・・ラノ、クレム様に助けられたって 本当なの?」
ラノ「うん、本当だよ」
チューニャ「いつ? なんで? どうやって?」
ラノ「え、えっと、記憶喪失の僕を お城に連れてきてくれたんだよ」
チューニャ「ふーん・・・ ラノはその剣が何か知ってるの?」
ラノ「え、い、いや・・・」
ラノ(ルディの半身、なんて言っても 伝わらないよね)
チューニャ「なーんだ、ラノも知らないんだ それなのに、その剣使えるの?」
ラノ「それは・・・きっと── いや、絶対に、使いこなしてみせるよ」
チューニャ「・・・まだ使ったことないんだ」
チューニャ「ラノはさ、クレム様の何なの?」
ラノ「何って・・・えーと・・・知り合い?」
チューニャ「クレム様のことどれくらい知ってるの?」
ラノ「いや、ほとんど何も知らない・・・」
チューニャ「へぇ、そうなんだ」
チューニャ「私は知ってるよ 昔からずっと、クレム様のこと見てたから」
ラノ「そ、そうなんだ・・・」
チューニャ「クレム様の夢、知らないでしょ?」
ラノ「うん、知らない クレム、何かやりたいことがあるの?」
チューニャ「クレム様はね・・・」
チューニャ「死にたいんだよ」

次のエピソード:ep.6 忘却の地

成分キーワード

ページTOPへ