使い捨て怪人

りるか

悪者は誰?(脚本)

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りるか

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〇荒野
グレー「喰らえ悪めっ!!!」
怪人467467「ぐわぁあああああっ!!!!!!」
グレー「今日もやはり、正義は勝つ!」

〇魔界
「わぁああああっ!!!!!!」
怪人87397「いーなーアイツ!ヒーロー様にやっつけられて!」
怪人1182「俺も早く会いてー!!!」
怪人0101797「次のオーディションは明日だからな!お前ら勿論申し込んだろ?」
怪人87397「当たり前だっ!」
怪人1182「次会う時はヒーロー様に命を差し出す座を狙う敵同士だな」
怪人0101797「ふっ。誰も譲る気は無いようだな」
怪人118724「・・・」
怪人51288782「またお前だけ浮いてるぞ」
怪人118724「あっ、悪いっ!」
怪人51288782「お前だけだぞ。ヒーロー様にやられたいとか会いたいとか思わないやつ」
怪人118724「・・・うん」
怪人51288782「そんなに嫌なのか?」
怪人118724「嫌っていうか、不思議なだけだよ」
怪人51288782「不思議?」

〇黒
  俺たちは怪人だ
  ヒーローにやられるだけの存在。
  悪役。ヒーローがいて、やっと価値がある。

〇荒野
  この世界は、みんなヒーローに会いたがる
  理由は様々
怪人88182「キャーッ!!!グレー様!!!顔面優勝過ぎグレー様にやられるなんて幸せすぎる」
  単純に顔面が好みだった奴
怪人24184「その鎧と俺の剣どっちが強いか勝負だ!!!手合わせできるなんて光栄だぜ!!」
  無謀にも力比べがしたい奴
怪人96021「俺は・・・あんたのお陰で・・・自分の価値が分かったんだ・・・ゔぅっ・・・ありがとう・・・」
  崇拝してる奴

〇魔界
怪人118724(それぞれの理由で、ヒーローに会いたいと言う奴しかいない)
怪人118724(だけど俺は・・・)
怪人51288782「そういえば今度のオーディションだが」
怪人118724「明日行われるんだってな。今回も参加だろ?ガンバれよ」
怪人51288782「お前の分も応募しといたから」
怪人118724「へーそうなん・・・」
怪人118724「えっ!!!!!!??????」
怪人118724「何言ってんだ俺は出たいなんて一言も言ってないぞ!?」
怪人51288782「出てみたら価値観が変わるかも知れないじゃん」
怪人51288782「やっぱ見てるだけなのと実際に出るのとじゃ違うし」
怪人118724「万が一にでも優勝したらヒーローにやられちゃうんだぞ!?」
怪人51288782「うーん。まぁ、それもまた名誉なことじゃん?」
怪人118724(ダメだ、話が通じない)
怪人118724(ヒーローは凄くて、敬うべき奴。それがこの世界の掟。奴らがいるから俺らの価値がある)
怪人118724(俺が、異常なんだ)
怪人51288782「まぁ明日も参加者多いだろうし、受からないだろうから気軽に行けよ。俺も頑張るし」
怪人51288782「じゃーなー」
怪人118724「・・・何で、みんな他人に自分の生きる意味を求めてしまうのだろう」

〇魔界
  翌日
怪人0101797「俺は手から炎が出せるぜ!!!」
怪人87397「俺はワープが使える」
怪人0101797「大した距離じゃないじゃねーか!!!!!!」
怪人87397「お前の炎こそ目玉焼きでも焼くのかと思ったぞ」
怪人0101797「なんだとーっ!!???」
怪人118724(またいつものパターンか)
怪人118724(このオーディションにはヒーロー界からの派遣審査員が来る)
怪人118724(そして自分の強みをアピールし、審査員により勝敗が決まる)
怪人118724(こっちはヒーローにやられたい。あっちはやられる怪人が欲しい)
怪人118724「WIN-WINの関係といえば聞こえがいいかも知れないが・・・」
派遣審査員「勝ち残り 怪人87397」
怪人87397「よしっ!!!!!!」
怪人0101797「チキショーっ・・・」
怪人118724(決まったか。毎度ながら随分と軽く決まるもんだ)
怪人51288782「おい。もうそろそろお前だぞ」
怪人118724「うわっ!もうそんなに進んだのか!?」
怪人51288782「おう。頑張ってこい」
怪人118724「・・・」

〇魔界
怪人118724(アイツには悪いが、俺は勝ちたくない)
怪人118724(戦わない意思を伝えよう)
怪人8814「相手はお前か!よろしくな!」
怪人118724「あっ、あぁ」
怪人8814「よし、早速行くぞ!!俺の特技は──」
怪人118724「ま、待ってくれ!!」
怪人8814「?どうした?」
怪人118724「アンタが審査員だよな。・・・俺、このオーディションを辞退するよ」
怪人8814「えっ!?」
派遣審査員「──どうして?」
怪人118724「元々これも無理やり参加した様なもんさ。俺は選ばれたくない。ヒーローとやらに興味もない」
怪人0101797「オイなんだアイツ!馬鹿にしてんのか!?」
怪人87397「何と奇特な・・・」
怪人51288782「・・・」
怪人118724「だから俺は戦わない。不戦敗で奴の勝ちだ。それでいいだろ」
怪人8814「そっか!!!!!!よっし──」
派遣審査員「気に入った」
「えっ」
派遣審査員「今回のオーディションは君が優勝だ!」
怪人118724「なぜそうなる!?俺はそもそも勝ちたくなんてないし出たくもないんだ!!」
派遣審査員「だからこそ面白いんじゃないか。今まで君みたいな怪人見たことないよ」
派遣審査員「みんな大した技も出せないし、すぐやられるし。マンネリ気味だったんだよね」
派遣審査員「だから君みたいな怪人を待ってたんだ」
派遣審査員「オーディションの途中で優勝者が決まるなんて異例だよ。君は優秀だ」
怪人8814「そんな・・・」
怪人118724(──コイツらは俺たちのことなんて、最初から使い捨てのゴミ位にしか思ってない)
怪人118724(そっか。そうだよな)
怪人118724(じゃあ)

〇黒
  その【当たり前】に風穴を開けてやる

〇荒野
  ヒーローとの対決日
怪人118724「・・・ここがヒーローの世界」
怪人118724(ここで本来やることは一つ)
怪人118724(【ヒーローにやられること】だ)
怪人118724(でも、俺は──)
緋色「今回の怪人はお前か」
怪人118724「!!」
怪人118724「ヒーロー・・・」
緋色「おや、君は俺らのことを様付けしたり、崇拝しないのか」
緋色「あぁっ。もしかして君が例の優秀な怪人だな。確かに今までに例を見ないな」
怪人118724(・・・コイツ。当たり前の様に今日も勝てる気で、それを疑うことすら知らない)
怪人118724(そのシナリオを、俺がぶっ壊してやる)
怪人118724「行くぞ、ヒーロー!!!!!!」
緋色「!?」
怪人118724(この日のために、勉強して目眩しを作っておいたんだ)
怪人118724「喰らえっ!!!」
緋色「ぐあっ!!!」
怪人118724(よしっ!効いてるぞ!!これも1発喰らったら暫く動けなくなる効果があるんだ)

〇魔界
怪人0101797「おい汚ねーぞ!!!!!!」
怪人87397「ヒーロー様に何してるんだっ!!!!!!」
「怪人ならやられろーっ!!!!!!」
怪人51288782「・・・」
怪人51288782「もしもここで勝ったら、俺らどうなっちゃうんだろう」

〇荒野
緋色「っ・・・!はぁ・・・はぁっ・・・ぐっ!!!」
怪人118724(やった・・・!!もう少しで倒せる)
怪人118724(俺たちはただのやられ役じゃない。一人一人にちゃんとした命の重さがあるんだ!!)
緋色「・・・まさか、怪人がこんなに反撃してくるなんてね」
緋色「いつもなら喜んでやられてくれるのに」
怪人118724「──最期に一つ聞きたい」
緋色「何だい」
怪人118724「お前たちにとって、俺たち怪人ってなんだ」
緋色「そんなの決まってる」
緋色「【倒さなきゃいけない敵】だ」
怪人118724(・・・何で、俺らはいつだって【倒されなきゃ】いけないんだろう)
怪人118724(俺らだって毎日生きてる)
怪人118724(倒されるのは俺らじゃなく、お前らでも良いんじゃないか?)
怪人118724(だから)
怪人118724「終わりだ、ヒーロー」

〇魔界
「えっ」
怪人87397「あいつ、勝ちやがった」
怪人8814「嘘だろ・・・?」
怪人0101797「ヒーロー様が負けた・・・?」
怪人87397「おい、どうなってんだ!?何で勝ってんだ!?」
怪人0101797「ふざけんな!お前のせいで俺らはこれからどうなると思ってんだ!」
怪人8814「これから会わせてもらえなくなったら!?俺らの価値は!?」
怪人51288782「・・・」

〇荒野
怪人118724「勝った・・・勝ったんだ俺は・・・!!」
怪人118724「俺らの命の重さを知ってもらいたくて・・・倒そうと色々と勉強してきてよかった・・・」
怪人118724「これでやっと」
「待てっ!!!!!!」
怪人118724「なんだ!?」
グレー「この世の悪は許さない!グレー登場!!」
シルバー「怪人は倒す。シルバー登場」
怪人118724(ここに来て他のヒーロー!?)

〇魔界
怪人0101797「他のヒーロー様の登場だ!!」
怪人87397「待ってたぞーっ!!!!!!」
怪人8814「早くあいつをやっつけてくれーっ!!」

〇荒野
グレー「お前が俺たちの仲間を倒したやつか」
シルバー「許せない」
怪人118724(何を戯言を・・・お前らは今まで俺らの仲間を数え切りやらないくらいやっつけて来ただろ)
グレー「ヒーローの名の下、絶対にお前をやっつける!!」
シルバー「覚悟しろ」
怪人118724(1人倒すだけでもやっとなのに、これじゃあもうキリがない)
怪人118724(・・・そうか。そうだった)

〇魔界
「やっつけろー!!!!!!!」

〇荒野
怪人118724(いつだって怪人は)

〇魔界
怪人51288782(いつだってヒーローは)

〇黒
  どうしようにもなく誰かの悪だった

コメント

  • 最後の戦いは手に汗を握りながら応援していました。ですが、1人がやられても平気な顔をしてすぐに別の戦士が出てきたヒーロー側を見て、実は同じような存在で、向こうサイドでも実は、オーディション(これも実際の特撮番組のメタぽいですよね)を行っているのではないかと考えてしまいました。名前も色を割り振られているだけで台詞も個性がないですから。

  • 鋭い切り口の作品ですね!1つのコミュニティの中で、当たり前・当然・異論は認めないといった慣習や価値観であっても、実は根拠理由が皆無なものは数多くありますよね。異論を挟むと生きていけないことも含めて、考えさせられる物語ですね。

  • いつも鋭い切口を楽しく見てまーす。最後の方では、スガシカオの曲が聴こえてきて、勘当、いや、感動でした。なんだか画面が不思議な感じ、一人一人? がよく見えて、ゆっくりした流れなのかなー、幻想かなー?

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