エピソード18 氷の遺跡(脚本)
〇要塞の廊下
フレイムセイバーを制御できずに、大きな攻撃を仕掛けてしまった紅蓮。
遺跡は大きく揺れ、崩壊してしまう。
3人は、かろうじて丈夫な支柱の傍に退避できた。座り込むなり、吹雪が紅蓮の胸倉を掴んだ。
吹雪「おまえなぁ、 ちょっとは考えて行動しろ!」
紅蓮「悪かった悪かった。 それより、静かにしないと、 また魔物に見つかっちまうぜ?」
吹雪「ったく・・・」
まだ建物の崩壊が続いているのか、遠くの方で重い音が響き、こちらにまで小さな揺れが届いた。
先へ進もうにも、先程の紅蓮の暴走で行く手はほとんど遮られ、限られた道しか残っていなかった。
隙間という隙間を抜けていったが、どこも壁や瓦礫で行き止まりになっていた。
これでは、神具を手に入れても脱出できるかどうかさえ怪しいところだ。
吹雪「ぐ~れ~ん~~~~」
紅蓮「ま、まあ、ちょっと考えようぜ」
影利「ねぇ・・・ 何か、変な音しない・・・?」
紅蓮「変な音・・・?」
吹雪「ヤバい! 床にヒビが・・・!!」
紅蓮「逃げろ・・・!」
影利「逃げるって、どこに・・・!!」
吹雪「ダメだ、逃げ場が・・・!!」
「うわあああああああああっ!!」
〇要塞の廊下
紅蓮「いってててて・・・」
落ちた先はそれほど地下深くはなく、
3人はかろうじて軽傷で済んだ。
それでもよじ登るには少々無理がある高さだった。幸い道が続いていたので、この地下道を進んで行く事にした。
宝玉のほのかな輝きが、松明の代わりになった。
〇神殿の広間
しばらく進むと、広い場所に出た。
そこには、石で作られた棺らしきものが
あった。
吹雪「おい、これ・・・。 ビンゴじゃねぇか?」
吹雪は期待を胸に膨らませ、なんとかして紅蓮と石の蓋を開けた。
すると、そこにはミイラと化した当時の王らしき亡骸と、ボロボロの槍が入っていた。
ミイラは、今にも襲い掛かってきそうで気味が悪かった。
紅蓮「なんだ・・・、ハズレじゃん。 この槍が神具なんて言わないよなぁ?」
当時はかなり価値のある槍だったのだろう。錆付いてはいるが、竜を象った装飾があった。
吹雪はこの古代の武器に魅入られていた。
すると、柄の部分に窪みがあることに気づいた。
吹雪「待て、紅蓮。 こいつはひょっとすると・・・。 かなり古いが、本当に神具かもしれん」
吹雪は、その窪みの部分に、自分の宝玉を入れてみた。
信じられない事に、今まで錆付いていた槍が、新品同様に輝き出し、ミイラが立ち上がった。
影利「きゃああああああっ!!」
吹雪「お? なんだ、やるか?」
ミイラ「・・・汝は、この槍を奪いに来たのか?」
吹雪「そうだったら、 楽しかっただろうなぁ・・・」
吹雪「生憎だが、俺たちは奪いに来たんじゃない。もらいに来たんだ。 そいつが必要になるみたいでよ」
ミイラ「この槍は主人を選ぶ。 手にしてみるが良い」
ミイラ「触れる事さえできなければ、汝は 選ばれし者ではない。早々に立ち去れよ」
言われて吹雪は、自身満々に槍の柄を握った。
そしてミイラの前で、軽々と振り回して見せた。一瞬、ミイラが微笑んだように見えた。
ミイラ「我が子孫よ・・・。 この《エデン》を頼んだぞ・・・」
ミイラはそう言って、再び静かな眠りに着いた。
もう起き上がってこない事を確認すると、
影利はゆっくりと物影から顔を出した。
影利「はああああ、 どうなることかと思ったわ・・・。 話のわかるミイラで良かったわね」
???「おぉ~い・・・・・・」
影利「ひいっ!? ミ、ミイラが喋ったの!?」
紅蓮「いや・・・ 今のは、人の声だ!」
どうやら、自分たち以外にもこの遺跡に入り込んでいた人間がいたらしい。
声のした方向へ行くと、線の細い少年がいた。
色時「ああ、良かった! 人がいた! 先程の地震で足をくじいてしまったんです。ちょっと肩を貸してもらえませんか?」
先程の地震が紅蓮のせいであるが故、
紅蓮は黙って少年に肩を貸した。
出口がわからないため、とりあえず広い場所で休憩することにした。
〇神殿の広間
色時「ありがとうございます。 僕は色時《しきと》と言います。 考古学者をやってます」
紅蓮「考古学・・・。ああ、なるほど、 それでこの遺跡に?」
色時「はい、棺を見つけたまでは 良かったんですが、地震で 足を滑らせてしまってそのまま・・・」
色時「あなたたちが来てくれなかったら、 あのまま飢え死にしていたかもしれません」
紅蓮「あー、そ、そうだったんだ・・・ ははは、良かったー」
その後、紅蓮たちも簡単に自己紹介した。
もちろん、アイ=リーンの子孫であることや、宝玉、神具のことは伏せてだ。
しかし色時は、吹雪が持っている槍を見て、目を輝かせた。
色時「ちょ、ちょっとそれを見せてください! これはもしかして、この地に眠る古代武器では・・・?」
色時「あなた方が手に入れてたんですね! いや、しかしこれは・・・? 古代武器にしては随分と新しいような・・・?」
吹雪「お、おい・・・・・・」
大人しそうな風貌をして、興味のある物を見ると性格が変わるようだ。
色時「ああっ、こんなところに宝玉が!」
槍の柄にはめ込まれていた銀色の宝玉を見て、色時が叫んだ。
一同は、ぎょっとして色時の方を見る。
たしかに球状のものを一般的に宝玉と呼ぶことはあるが、紅蓮たちが言うものとは意味が違う。
色時「なるほど~、そういうことですか」
色時は勝手に独りで喋り、勝手に納得して頷いている。その瞳には、強い光が見えた。
色時「あなた、 女神アイ=リーン様の子孫ですね!?」
吹雪「お、おまえ、何モンだ!?」
色時「ああ、すみません。警戒しないで下さい。 僕も多分お仲間なんですよ」
時の使い手の考古学者 色時《しきと》
色時「ほら、よく似た宝玉を持っています。 古代武器も」
色時は、荷物の中から紫色の宝玉と、
神具らしき細剣を見せた。
吹雪「神具を持っているから仲間とは限らねぇが・・・。宝玉は本物らしいな」
色時「なるほど、これは神具というんですね」
宝玉は、ほのかに輝いている。持つべき者が持っていなければ、宝玉は輝かない。
影利「でも、多分・・・ってどういうこと?」
色時「僕は、親族から自分がアイ=リーン様の 子孫だと言う事を聞いた事がありません」
色時「神具と宝玉の意味を知ったのは、 僕が考古学を専攻していたからで・・・。 この古代武器も、旅の途中で見つけたんですよ」
色時「本来なら、 こういったものは動かさないか、 しかるべき所に預けるんですけど・・・」
色時「もし本当に、僕がアイ=リーン様の子孫 なら、必要になる時が来るかもしれないと 思って、これだけは持っていたんです」
紅蓮「おまえ、すっげえ機転が利くじゃんか!」
紅蓮は、色時の背中を強く叩いた。
影利「じゃあ・・・。私たちの使命も、 知っているのよね?」
色時「そうですね。でも・・・」
色時「僕としては もう少し考古学の勉強がしたかったなぁ」
紅蓮「何言ってるんだ? そんなもの、 俺たちと旅してれば遺跡なんていくらでも 出てくるだろうよ」
紅蓮「それにほら、俺も他の仲間も神具を 持ってるんだぜー。着いてきてくれれば、 いくらでも見せてやるのに」
色時「行きます!!」
これで、すべてのアイ=リーンの子孫と対面した。
後は氷河、風華と地季を迎えに行き、雷火を探し出し、残りの神具二つを手に入れるだけとなった。
しかし、肝心のカートの居場所は、未だ闇に包まれたままだった。
どんどん仲間が集まっていきますね!!✨やはり宝玉を持つもの同士は集まる運命にあると言うことなのでしようか!!✨
魅力的なキャラたちで良いですね!!旅も楽しそうです!!✨
ヲタク気質の人は、ツボをくすぐれば話が早くて助かりますねw
話のわかるミイラw
タップノベルさんの素材が相変わらずすごいですね。
仲間はこれで全員集合?
雷火思ったより大きいんですね!