《エデン》

草加奈呼

エピソード19 水の神具(脚本)

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草加奈呼

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〇森の中
  ホンカルトの村
  
  近くの森
雷火「だあああああありゃあああああ!!」
師匠「まだまだぁ!! どうした、そんなもんか!?」
雷火「くっそー! 全然師匠に届かねぇ!!」
雷火(オレは、みんなよりリーチが短い! それを補うには・・・)
雷火(相手の懐に入っていくしかない。 そのためには、素早く動くしかないんだ・・・!)
師匠「おっ・・・!?」
雷火「せやっ!!」
雷火「・・・取った!!」
雷火「はあああああああっ!!」
師匠「くっ・・・!! 片手では防ぎきれん・・・!!」
雷火「でえりゃあああああああああ!!」
師匠「ぐおっ!?」
雷火「やった! 師匠に膝をつかせたぞ!」
師匠「この俺に、両手を使わせるとは・・・ やるじゃないか・・・」
雷火「へへん!」
師匠「驕るのはまだ早い! マグレじゃない事を証明してみせろ! もう一度だ!」
雷火「お、オッス!!」

〇武術の訓練場
  ガイアの里
  遺跡を後にした紅蓮たちは、氷河と風華を迎えに行き、再びシルヴィに乗ってガイアの里へ地季を迎えに戻った。
  予定より少々遅れてしまったが、新たな神具と仲間である色時に出会えたのは大きな収穫だった。
地季「みんな・・・、 考える時間をくれてありがとう」
地季「俺も、覚悟を決めたよ。 このまま、みんなについて行く!」
地季「改めて、よろしく!」
  地の使い手の薬師 地季《ちき》
紅蓮「おーっ! これであと、雷火だけだな!」
風華「影利、占いで何かわからないかしら?」
影利「うーん・・・ サンダーブレードでは、断片的な 結果しか映し出せなかったのよね・・・」
影利「もっと、力を増幅できるような、 集中できる場所があればいいんだけど・・・」
氷河「それなら、丁度いい。 モステア城に行かないか?」
風華「あっ、お兄様の神具ね!? でも、丁度いいって・・・?」
氷河「モステア城の礼拝堂はどうだろうかと 思ってな」
影利「それ、いいかも! ぜひ行きたいわ!」
紅蓮「風華」
風華「どうしたの、紅蓮? そんな小声で・・・」
紅蓮「氷河とは、ちゃんと話はできたのか?」
風華「紅蓮・・・心配してくれてたの?」
紅蓮「いや、まあ、氷河は俺の親友だしな」
風華「ありがとう。おかげさまで、 お兄様のことがとてもよくわかったわ」
紅蓮「そっか。それは良かった」
紅蓮「しかし、氷河が兄貴か・・・。 こいつは手強いな」
風華「え? なんて?」
紅蓮「いやあ、なんでもない!」
氷河「なるほど、そういうことか・・・」
紅蓮「ちょ、氷河、おまえ地獄耳・・・!」
風華「お兄様?」
氷河「いくら親友のおまえでも、こればかりは 簡単に承諾する事はできないな」
紅蓮「ははは・・・なんのことやら」
風華「???」
吹雪「じゃあ、まあ、行ってくるわ」
竜盗団頭領「おう、 しっかり《エデン》を救って来い!」
吹雪「シルヴィ、モステア城まで頼むぞ!」
シルヴィ「キュキュイ!」
色時「わああ、ラジェンダから飛竜に 乗った時も感激したけど、まさか 飛竜の里にまで来れるなんて・・・」
吹雪「はいはい、見学なら全部終わった後に ゆっくりさせてやるから、さっさと 乗った乗った」
色時「本当ですか!? 約束ですよ!!」
  一行は、シルヴィに乗ってモステア城へと
  向かった。

〇雲の上
吹雪「そういえば、 シルヴィはどこに着地すればいい?」
風華「城の屋上に、直接着地しましょう」
吹雪「城に直接!? いや、それはちょっと・・・」
風華「大丈夫。 モステアの状態を、以前見たでしょう? みんな、指名手配犯どころではないはずよ」
風華「それに、何かあっても私がきちんと 説明します。言ったでしょう? 仲間として、あなたを守ると」
吹雪「そりゃ、そうなんだが・・・」
風華「ほら、もうモステア城が見えてきたわ」
吹雪「ああもう! 腹を括るか!!」

〇城壁
兵士「うおっ!? あれはなんだ!?」
  シルヴィの姿を見た兵士が、こちらに向かって武器を構えた。
兵士「へ、兵士長! 得体の知れない飛竜が、こちらに 向かってきます!」
兵士長「敵襲か!? 竜盗団か!?」
「兵士長! 私です!」
「ふっ・・・」
「風華様!!」
風華「ただいま、みんな!」

〇謁見の間
グリス大臣「おお、風華様・・・!」
風華「グリス大臣、戻っていたのですね!」
氷河「・・・・・・・・・・・・」
グリス大臣「そちらの方は・・・?」
グリス大臣「まさか、氷河様・・・!?」
氷河「久しぶりだな、グリス大臣・・・」
グリス大臣「氷河様・・・申し訳ございません。 あの時は・・・ 私の力が及ばなかったばかりに・・・」
氷河「・・・大臣のせいじゃない。 それに、過去を悔いている場合では ないだろう・・・?」
氷河「神具を、取りに来た」
グリス大臣「は、はっ・・・! どうぞこちらへ・・・!」

〇皇后の御殿
  モステア城 神具の間
風華「私の神具とは、 別の部屋にあったのですね・・・」
グリス大臣「この部屋は、陛下と氷河様、そして 私にしか知らされておりません」
グリス大臣「願わくば、この部屋は閉じられたままで いてほしかったですな・・・」
風華「ええ。私の神具のあった部屋も。 それが、一番平和だったでしょうね・・・」
グリス大臣「氷河様、こちらへ。 これが、水の神具『ヴァーテルルーク』 でございます」
氷河「これが・・・」
  氷河は、神具に水の宝玉をはめた。
氷河「・・・初めて手にするのに、 しっかりと手に馴染むようだ。 これが神具なのか・・・」
氷河「グリス大臣、今まで神具を丁重に 保管してくれていた事、感謝する」
グリス大臣「有り難きお言葉・・・」
氷河「大臣、今の俺は王子ではない。 そんなに畏まらなくてもいいぞ」
グリス大臣「いえ、そんな滅相もない!」
グリス大臣「このグリス、氷河様がお戻りになられる のを、どれだけ待ち侘びた事か・・・」
風華「そうよ、お兄様。 みんな、待っていたのよ」
氷河「そうか・・・ ありがとう・・・」
氷河(俺も、覚悟を決めないとな・・・)

〇大聖堂
  風華と氷河が戻ると、影利が礼拝堂で
  雷火の事を占っていた。
影利「・・・えっ!?」
紅蓮「どうしたんだ?」
影利「雷火って子のことを占ってたら、神具の 反応を感じたわ。どういうこと?」
色時「残りの神具って・・・。 影利のだけでしたよね・・・?」
色時「ということは、彼が持っているのは、 それなのでは?」
影利「でも、どうして? このサンダーブレードのように 持ってこれたとしても・・・。 偶然、見つけたのかしら・・・?」
吹雪「まあ、いいじゃねぇか。最後の仲間も 神具も見つかったんだからよ。 そいつに聞けば早い話だ」
吹雪「で、どこにいるんだ、そいつは?」
影利「たしかこの子、 ホンカルトから来たのよね? 一旦、そこに戻ったみたいね」
風華「ホンカルトなら、ここから近いわ!」
  風華の言葉で、全員が一斉に旅立つ準備を
  始めた。
  占いの結果が確かならば、これでアイ=リーンの子孫が全員と、神具が全て揃ったことになる。
  カートの居場所は依然としてわからないが、その後は最終決戦になることは間違いない。
  全員が、自分の神具や宝玉を強く握り締めた。

次のエピソード:エピソード20 集結

コメント

  • 雷火と師匠の戦闘シーンいいですね!
    これからだいぶ賑やかなことになりそう。

  • ここまで来たかぁ!って感じですね(^▽^ 彼らと共に旅をしてきた気分なので。

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