ナオさん(脚本)
〇女の子の一人部屋
私はあの時の感覚を思い出していた。
〇競馬場の座席
11番ピンクレディオ!
ピンクレディオが勝利しました!
〇女の子の一人部屋
私は、あの時の感覚が忘れられずにいた。
こんなにも興奮したのは久しぶりかもしれない。
私は気になって、競馬場のことを調べてみた。
──明日は日曜日。明日もまた競馬はやっている。
明日はカズマも友達と遊ぶようだから、明日は一人で見に行ってみようかな。
と、私は密かに思いながら眠りについた。
〇競馬場の座席
日曜日。東京競馬場。
午後1時。
私は驚いた。
昨日よりも人が明らかに多い。
多くの人が行き交う中で、私は戸惑いながら場内を歩き回った。
ドン!!!!
肩に思いっきりぶつかってしまって、私は直ぐに頭を下げて謝罪した。すると──。
???「こちらこそ、ごめんなさい! よそ見しちゃってて・・・」
私「い、いえ、私のほうこそ! 慣れない場所だったので・・・」
???「あれ、ここに来るのは初めて?」
私「あ、いや・・・昨日、初めて彼氏に連れてこられて・・・。でも、今日は一人で来てみようかな・・・と・・・あはは・・・」
???「じゃあ、あまり詳しくないんだ。折角足を運んだんだし、私が教えてあげようか?」
私「え、いいんですか?」
???「勿論!女同士仲良くしましょ♪」
私「あ、ありがとうございます!」
小田 ナオ「私は、小田 ナオ。 あなたのお名前は?」
山川 早希「山川 早希です!」
小田 ナオ「ふふ、よろしくね。早希ちゃん♪」
こうして、私はナオさんに色々と教えてもらうこととなった。
〇パドック
小田 ナオ「ここがパドックで馬が周回するところよ」
私「パドック・・・?」
【パドック】・・・・・・レース前の競走馬が歩いて周回するミニトラック。ここで、馬の体調や体のコンディションを確認する。
私「へ~。ここで、お馬さんの調子を見るんですね」
小田 ナオ「そうよ。それに生のサラブレッドを間近で見るチャンスよ。 ほらほら、次のレースのパドックが始まるよ! 前の方に行きましょ!」
そう言って、ナオさんは私の手を握り階段式の前段まで引っ張っていってくれた。
私「す、すごい・・・」
目の前の大きな馬に圧倒された。
今までは遠目にしか見てなかったから分からなかったが、なんと逞しい姿なのか。
小田 ナオ「でしょ~♪カッコいいよね! ほらほら、見てみて! あの子の顔なんて可愛くない?♪」
正直、顔の違いなんて分からなかった。どれも似たような馬だが、よく見れば個々で顔立ちが違う。
ナオさんが指差した馬は、確かに目が円らに見えて可愛らしかった。
小田 ナオ「綺麗な栗毛よね♪ 私、栗毛の馬が好きなのよ♪」
私「栗毛・・・」
【毛色】・・・・・・馬には、鹿毛・黒鹿毛・青鹿毛・青毛・芦毛・栗毛など、他にも毛色が何種類もある。
私「へー、馬にも色々とあるんですね~」
小田 ナオ「そうよ。早希ちゃんは女の子だから、もしかしたら白毛の馬なんか好きになるんじゃないかな?」
私「白毛ですか?」
小田 ナオ「そう♪ 真っ白な毛色の馬なんだけど、あまり産まれてこないのよ♪」
私「見てみたいな~♪」
小田 ナオ「さ、どの子が勝つのか予想してみる?」
私「あ、はい!」
私「・・・えっと、どうやって予想するんでしょうか?」
小田 ナオ「私のこれ見てみる?」
ナオさんから新聞紙を受け取った。
そこには各レースの情報が載っており、どれが人気のある馬なのかが記されていた。
小田 ナオ「予想するには、様々な情報が必要なの♪ 勿論、今ここで行われているパドックをチェックすることも大事なことよ♪」
小田 ナオ「──あ、そうだ! 知り合いを待たせちゃってるんだった!」
小田 ナオ「早希ちゃんも来ない? 私の競馬仲間なの♪」
私「え、大丈夫ですか? 知らない人が行っちゃって・・・」
小田 ナオ「ふふ、大丈夫! 競馬を知らない人ほど、競馬にハマらせたい人達だから♪」
私「では、お言葉に甘えて!」