黒いキューピット

平家星

#7 ステップアップ・サイリウム(前編)(脚本)

黒いキューピット

平家星

今すぐ読む

黒いキューピット
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇ライブハウスのステージ
加藤光輝(バイトばかりのつまらない毎日・・・。 それでも俺が生きる希望を失わないのは、 彼女がいるからだ)
金子ハル「みんな~! 全力で行くよ~ッ!」
加藤光輝(金子ハル。通称・コハル。3年前のデビュー以来、俺はずっと応援してきた)
金子ハル「1曲目は、『夢のサイリウム』!」
加藤光輝(歌とダンスがうまいだけじゃない。コハルの本当の推しポイントは、他のアイドルにはない、ストイックさ)
加藤光輝(トレーニングや食事制限も徹底している・・・)
金子ハル「ラララ~♪ 夢の続きが弧を描く♪」
加藤光輝「コハルゥ~ッ!」
加藤光輝(俺は、彼女の奇跡を見守り続ける!)

〇ライブハウスの入口
  ライブ後、ファンたちはコハルと写真を撮るため、列を作っている。
加藤光輝(2ショット撮影・・・。毎回ドキドキするな。今回こそは・・・)
金子ハル「初めてですよね? 今日は来てくれて、ありがとうございます!」
加藤光輝「俺・・・光輝。初めてじゃなくって・・・」
スタッフ「はーい、撮れました」
  撮影が済むと、スタッフによってすぐにコハルからはがされてしまった。
加藤光輝「コ、コハル、今日も良かったよッ!」
加藤光輝(ハァ。毎回握手も撮影も参加してる んだし、そろそろ、俺を覚えてくれてもい いのにな・・・)
テツオ「コハル~! 最高だったぜぇ! 新曲、俺のために歌ってくれたんだろ?」
金子ハル「ありがと、テツオさん。うん、そういうことにしておくよ!」
テツオ「やったぁ~。次も絶対、歌えよな」
加藤光輝(・・・迷惑ファン・テツオ。コハルにしつこいので、悪名高いファン)
加藤光輝「コハル、あんな奴にまで、サービスすることないのに・・・」

〇狭い裏通り
加藤光輝「いくら認知されても、テツオみたいにはなりたくない!」
加藤光輝「でも、名前を呼んでもらえて、正直、羨ましいな・・・」

〇リサイクルショップ
加藤光輝「あれ、ここに店なんてあったっけ・・・?」

〇リサイクルショップの中
加藤光輝(リサイクルショップか・・・。特に欲しいものは・・・ん?)
加藤光輝「ハート形のサイリウム・・・。これ振ったら、コハルは俺のこと覚えてくれるか な?」
加藤光輝「・・・なんてね」
天海愛「そうなるかもしれません」
天海愛「あなたが手に取ったその商品、きっと役 に立つと思いますよ」
加藤光輝「えっ・・・?」

〇リサイクルショップの中
ピーチ「今の客、アイドルファンかね」
天海愛「そうみたい。好きなことに一生懸命になれるっていいわね」
天海愛「・・・ねぇ、ピーチ。もしも私がアイドルになったら、けっこうイケると思わない?」
ピーチ「無理に決まってんだろ。愛は堅苦しくて、笑顔なんて振りまけないんだから」
天海愛「・・・あんたに何が分かるのよ」
  愛はピーチに、蛇のオモチャを投げた。
ピーチ「へっ・・・へびぃぃぃ!」

〇ライブハウスのステージ
加藤光輝「せっかくだし・・・使ってみるかな」
  ライブが始まり、ステージにはコハルが登場する。
金子ハル「ラララ~♪ 夢の続きが弧を描く♪」
加藤光輝「コハル~!」
金子ハル「!」
加藤光輝「ん? コハル、こっちを見た・・・?」

〇ライブハウスの入口
金子ハル「あっ! 光輝さん!」
加藤光輝「えっ!?」
加藤光輝(お、俺の名前、憶えてくれてる!?)
金子ハル「さっき、ステージの上から見えましたよ。光輝さんのサイリウム! 今日も来てくれたんだって、嬉しくなりました」
加藤光輝「ついに、コハルに覚えられた・・・! このサイリウム、目立つみたいだし・・・次のライブにも、持っていこうっ!」

〇ライブハウスのステージ
  数日後──
加藤光輝(ん? 前は緑だったけど、今日は黄色か。どんな構造になってるんだろう?)
加藤光輝「コハルー!」
金子ハル「!」
加藤光輝「・・・今、確実に目が合ったぞ!」

〇ライブハウスの入口
金子ハル「光輝さん! ステージから、また光輝さんのサイリウムが見えたの!」
加藤光輝「や、やっぱり! よかった!」
金子ハル「あの・・・ちなみに光輝さんって、SNS、やってる?」

このエピソードを読むには
会員登録/ログインが必要です!
会員登録する(無料)

すでに登録済みの方はログイン

次のエピソード:#8 ステップアップ・サイリウム(後編)

ページTOPへ