1.初めての男(ひと)(脚本)
〇セルリアンタワー東急ホテル
12月22日
前嶋琴美 21歳
女性アナウンサー「次に芸能ニュースです」
女性アナウンサー「人気俳優、東野信二さんの不倫疑惑が週刊△△で報じられました」
女性アナウンサー「東野さんは、こちらのホテルでファンの女性と──」
〇黒背景
・・・バッカみたい
〇綺麗な部屋
前嶋琴美「はぁ」
前嶋琴美(不倫や浮気のニュースばっかり)
前嶋琴美(結婚してるのに、なんで他の女性を求めるの?)
前嶋琴美(誰も、幸せになれないのに)
前嶋琴美(『不倫』なんて言葉、耳にするだけで反吐が出る)
私がここまで『不倫』を嫌悪するのは
父のせい
〇クリスマスツリーのある広場
父は中小企業のサラリーマン
母は専業主婦
私は周りの女の子たちと同じ、普通の家庭で普通の人生を送れると思っていた
父が不倫相手にのめりこんで、母と私を捨てるまでは
〇事務所
大学に行く学力はあった
でも
学費の問題で
高校を卒業後
私は、観葉植物を
レンタルする会社の
事務員として就職した
〇アパートのダイニング
母とは離れて暮らしているが
頻繁に連絡を取っている
いつも私のことを気にかけてくれる母
心配しすぎなところもあるけど
優しい母が私は大好きだ
〇モヤモヤ
前嶋琴美「そんな母を裏切り悲しませた父を、私は一生許さない」
〇綺麗な部屋
父への憎しみを胸に秘め
絶対に幸せになってやる、と
今まで必死に頑張ってきた
そんな私にも、やっと──
前嶋琴美「あ」
前嶋琴美「はーい♪」
〇玄関内
前嶋琴美「いらっしゃい、勇次さん♡」
白鳥勇次「琴、会いたかったよ♡」
勇次が琴美をハグし、耳元でささやく
〇大企業のオフィスビル
白鳥勇次 29歳
一流商社で働く営業マン
〇高層ビルの出入口
彼との出会いは昨年の10月
植物搬入の人手が足りなくて
私に声がかかった。
観葉植物を運んでいると──
前嶋琴美「あ!」
前嶋琴美「やっちゃった」
白鳥勇次「あ~あ~、倒しちゃって」
前嶋琴美「あ! すみません! すぐに片付けます!」
白鳥勇次「君、いつもの搬入の人じゃないね」
前嶋琴美「はい、人手が足りなくて急遽」
白鳥勇次「ああ、そうなんだ。慣れてないんだろ? 手伝うよ」
前嶋琴美「い、いえ! お手を煩わせるわけには!」
白鳥勇次「いいんだよ! こういう力仕事は男に任せれば!」
前嶋琴美「え! でも あ・・・」
白鳥勇次「いいからいいから!」
〇街中の道路
それ以来──
〇コンビニ
いろんな場所で偶然出会い
〇テラス席
大人でスマートな彼に
私は自然と惹かれていった
〇キラキラ
前嶋琴美(恋愛の初めては、彼がすべて教えてくれた)
前嶋琴美(私は愛されることの幸せを知って──)
前嶋琴美(彼に愛されていると思うだけで、毎日が充実していたし、心が満たされていた)
前嶋琴美(私は彼と・・・幸せに、なる)
〇綺麗な部屋
前嶋琴美「クリスマスの料理、頑張っちゃった!」
前嶋琴美「イブは仕事で無理だけど、 今夜は、ずっと一緒にいられるんでしょ?」
白鳥勇次「ああ、接待もないから明日までずっと一緒だ」
白鳥勇次「ごめんな、いつもたまにしか会えなくて。我慢させてるよな」
勇次が、琴美の腰に手を回し引き寄せる
前嶋琴美「ううん、仕方ないよ。土日も仕事で忙しいんだし」
白鳥勇次「ホントに琴は・・・いい子だな、最高。 琴が一番だよ」
白鳥勇次「琴の作る料理、めちゃくちゃ旨かった!」
白鳥勇次「ホント料理上手だよな」
前嶋琴美「ふふっ、嬉しい♡」
白鳥勇次「片付け終わったら、タブレットで映画でも見ない?」
前嶋琴美「うん、いいね♪」
前嶋琴美「恋愛映画でもいい?」
白鳥勇次「恋愛ものかぁ」
白鳥勇次「いいよ、琴の見たいやつで」
前嶋琴美「やった♪」
白鳥勇次「・・・」
白鳥勇次「・・・」
白鳥勇次「・・・(チラリ)」
白鳥勇次「チュ♡」
前嶋琴美「きゃ!」
前嶋琴美「こ、こら、ダメだってば。映画見るんでしょ?」
白鳥勇次「うん・・・でも、映画見てる琴のかわいい横顔見てたら、我慢できなくなって」
前嶋琴美「あ、ダメだって」
琴美の言葉なんてお構いなしに、頬に耳に首元にキスをする勇次
口づけながら、勇次の手が琴美の太腿をなぞる
勇次を受け入れた琴美は──
タブレットから手を離した
〇綺麗な部屋
〇綺麗な部屋
前嶋琴美「朝ごはん、で~きた♪」
白鳥勇次「琴、シャワー、サンキュ~♪」
前嶋琴美「きゃ! ちょっと勇次さん!」
前嶋琴美「服・・・服、着てよ!」
白鳥勇次「なんだよ、今さら~ 俺の裸なんて何度も見てるだろ?」
前嶋琴美「そ、そういう問題じゃないの!」
白鳥勇次「はいは~い」
前嶋琴美「ん、もう♪」
白鳥勇次「ん? 知らない番号」
白鳥勇次「ごめん、仕事の電話かもしれないからちょっと出るな」
前嶋琴美「あ、うん」
白鳥勇次「はい・・・はい。 ええ、白鳥勇次は私です」
白鳥勇次「え、病院? 里香? ええ、妻です」
前嶋琴美(え・・・妻? 今、妻って言った?)
白鳥勇次「は!? 救急車で運ばれた!? 里香が!?」
白鳥勇次「ちょ、えっと・・・どこの病院? すみません、もう一度──」
白鳥勇次「ごめん、琴!」
白鳥勇次「急ぎの電話で、俺行かなきゃ また、連絡する!」
前嶋琴美「・・・なんなの? どういう、こと?」
〇綺麗な部屋
ひとり部屋に残された琴美は
ぺたりと床に座り込んでいた
前嶋琴美(もうこんな時間。雨、降ってる)
前嶋琴美「・・・はぁ」
前嶋琴美「・・・私、騙されてたんだ」
前嶋琴美「はは・・・バカみたい。 何ひとつ疑いもせず」
前嶋琴美(・・・勇次さんから)
前嶋琴美(・・・)
前嶋琴美「・・・はい」
白鳥勇次「琴! ごめん今日。あのさ──」
前嶋琴美「勇次さん」
前嶋琴美「朝の電話、聞こえて・・・ 結婚、してたの?」
白鳥勇次「・・・ああ。 そうだけど、俺! 琴のこと──」
前嶋琴美「私ね、知らなかったとはいえ、不倫をしていた自分が許せない」
白鳥勇次「琴! 俺は本気で琴のことが! 琴が一番なんだよ!」
前嶋琴美「やめて! 一番だなんて全然嬉しくない」
前嶋琴美「結婚してるのに、そんな言葉が出てくる勇次さんを・・・軽蔑する」
白鳥勇次「・・・琴!」
前嶋琴美「もう、会わない。 ・・・さよなら」
前嶋琴美(・・・また)
前嶋琴美(やめて・・・ もう掛けてこないで)
我慢しても
涙が止まらない
騙されていたけど
私は彼を愛していた
一番じゃなくて
あなたの特別に
なりたかった
幸せになれると
思ってたのに・・・
〇物置のある屋上
前嶋琴美「はぁ」
???「琴ちゃん、み~つけた!」
前嶋琴美「あ、真樹さん」
竜崎真樹「まだ元カレに悩まされてるの?」
〇物置のある屋上
竜崎真樹 25歳 社長の姪
なんでも相談できる
頼りになる琴美の先輩で友人
〇物置のある屋上
竜崎真樹「えっと・・・」
竜崎真樹「元カレの着信もLINEも無視してたら」
竜崎真樹「家の前で待ち伏せされてて、昨日はネットカフェに泊まったって?」
竜崎真樹「ヤバいね、元カレ」
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遅ればせながら読ませて頂きました。
う〜苦しい!ここまでは現実にありそうなお話ですね。
元カレの狂気がラインのスチル演出でよりヤバさ倍増です。ドキドキしながら読んでいこうと思っています。
勇次が典型的にアレな感じでラブラブシーン見ててもハラハラしましたが、やっぱり!からの、まさかのストーカー変化😱酷すぎるでしょー!となっていたところへ、少年…… 少年っ!😳
キャラ紹介見ても過去なのだろうと思ってましたが、えっ、今少年と出会うのですか!?ギャー!先が楽しみです!
琴美の過去からも不倫は絶対有り得ない!と、キッパリ断っても追いかけてくる勇次のストーカー行為は更にエスカレートしていくのでしょうか?次回が気になります!