黒いキューピット

平家星

#6 ラブ・パフューム(後編)(脚本)

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〇女の子の一人部屋
篠原香織「フンフンフ~ン♪」
篠原香織(やっぱり香水の力は、確かなものだった。私の毎日は変わった!)

〇開けた交差点
篠原香織(男たちが私を見る目が、明らかに今までと違う)
男性1「今の子、スゲー可愛い・・・」
男性2「あんな子、うちの学校にはいないよな・・・」
篠原香織(はいはい。聞こえてますよ~)
サラリーマン「・・・香織ちゃん。君は日に日に、魅力的になるね・・・」

〇教室
男子生徒A「香織~。修学旅行の自由行動、誰と回るか決めた?」
篠原香織「う~ん。どうしよっかなぁ」
篠原香織(今じゃ私が、クラスの一番人気・・・)
  香織がふと、ミサキの方を見ると、男子生徒に囲まれていた。
男子生徒B「ミサキちゃん、良かったら俺たちとどう?」
本庄ミサキ「そうねぇ・・・」
篠原香織(ミサキ! この期に及んでまだ男たちにチヤホヤされて・・・)
田辺志穂「ちょっとちょっと! 私とミサキと香織は、女子3人で回るって決めてるから!」
男子生徒B「え~。寂しいこと言うなよ~」
田辺志穂「ほら、男子は、散った散った!」
男子生徒A「なんだよぉ・・・」
田辺志穂「女子だけの方が楽しいもんねぇ~」
本庄ミサキ「ま、そうかもね」
篠原香織「・・・そうしよっか~」
篠原香織(・・・一番モテない志穂が、勝手に決めるなよって感じ)

〇女子トイレ
篠原香織「こっちが香水をつけても、ミサキにはまだ勝てない・・・」
篠原香織「もっと、たくさん使うしかないか・・・」

〇学校の昇降口
男子生徒A「香織~! 明日のこと、返事待ってるからなぁ~。バイバイ!」
篠原香織「オッケー! じゃあね~!」
田辺志穂「明日?」
篠原香織「なんか、映画行こうって誘われててさ」
田辺志穂「えっ? でも、明日は3人でカラオケ行こうって話してたよね?」
篠原香織「あ~、そうだった。ゴメン。でも、明日はアイツと映画を観に行こうかなぁ」
田辺志穂「・・・そんなのおかしいでしょ。もともと約束してたのに」
篠原香織「だから、ゴメンって言ってんじゃん」
田辺志穂「香織さぁ。・・・最近、調子乗りすぎ」
篠原香織「・・・は? なんでアンタにそんなこと言われなきゃいけないの?」
本庄ミサキ「ちょっと。二人とも、落ち着いて・・・」
田辺志穂「ミサキもさ、最近の香織はおかしいと思うでしょ? 男に色目使って」
篠原香織「色目なんて、使ってないし! モテないからって、僻むのやめてよね!」
田辺志穂「そ、そんなんじゃない!」
篠原香織「私たちのおこぼれで男子と話せるんだから、感謝してほしいくらいだよ」
本庄ミサキ「もう、いい加減にして!」
本庄ミサキ「・・・確かに、ここのところ香織はおかしいよ?」
本庄ミサキ「前まで、そんな酷いこと言わなかったでしょ?」
篠原香織「説教? いつも上から目線だね。私はもう、あんたの引き立て役じゃないよ」
本庄ミサキ「香織・・・私はただ仲良く・・・」
篠原香織「・・・今日は一人で帰る」

〇開けた交差点
篠原香織「なによ、二人して私ばっかり責めてさ」
篠原香織「ま、別にいいけど。私を慰めてくれる人なんて、いくらでも作れるんだから」
サラリーマン「・・・へへ・・・香織ちゃん」
篠原香織「え? お、おじさん誰?」
サラリーマン「忘れちゃった? 前に電車でハンカチを拾ってもらったんだけど」
篠原香織「そ、そうでしたっけ?」
篠原香織(この人、何か様子がおかしい・・・)
サラリーマン「ひどいなぁ。毎朝、僕は君を見つめてるのに。もう、我慢できない。 僕は君のことが、大好きなんだ・・・」
篠原香織「わ、私・・・もう帰るんで!」
サラリーマン「待ってよ!」

〇綺麗な一戸建て
篠原香織「ハァ・・・ハァ・・・」
  呼吸を整えて振り返ると、男の姿はない。
篠原香織「良かった・・・」
本庄ミサキ「香織?」
篠原香織「え、ミサキ?」
本庄ミサキ「あのままじゃ良くないと思って。話をしに来たの」
本庄ミサキ「汗すごいけど、大丈夫?」
篠原香織「ミサキ! とにかく家に入って!」

〇女の子の一人部屋
篠原香織「・・・と、いうわけなの」
篠原香織「この香水のせいで、変な人まで引き付けちゃってる・・・」
本庄ミサキ「・・・それが本当の話なら、その香水はむやみに使わない方がいいね」
篠原香織「怖い・・・。あの人、目がおかしかった」
本庄ミサキ「私も中学の時に、男の人に襲われそうになったことがあるから。 ・・・香織の辛さ、よくわかるよ」
篠原香織「・・・ミサキ。私、あなたにひどいこと言ったのに・・・どうしてそんなに優しくしてくれるの?」
本庄ミサキ「友達だからだよ。私たちの絆は、ちょっとしたケンカじゃ壊れないよ」
篠原香織「・・・ありがとう」
  ガチャ
本庄ミサキ「・・・今の音、なに?」
篠原香織「お父さんもお母さんも、まだ帰ってくる時間じゃないのに」
サラリーマンの声「香織ちゃ~ん。不用心だな。窓の鍵が開いてたよ~。 変質者が入ってきたらどうするの~?」
篠原香織「!?」
本庄ミサキ「うそ・・・入ってきた!?」
  とっさに香織は部屋の鍵をかける。

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