私立桜田高校演劇部 ~春は舞台で青く色づく~

YO-SUKE

第十四話「キャラクターが芽吹くとき」(脚本)

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〇学校の裏門
  演劇部の一同は、校門前で生徒たちにチラシを配った。
平井智治「次の日曜日、演劇部の校外発表会があります! 良かったら是非!」
  通行人の反応は鈍い。
小山内陽菜「はぁ・・・こんなやり方でお客さん来るのかなぁ」
摂津亜衣「何もやらないよりはマシじゃないか」
海東三鈴「ま、大丈夫っしょ!」
海東三鈴「私、家族にも話したし、近所の仲良しさんにもチラシ配ったしさ」
小山内陽菜「そもそも私たちの芝居、日曜日までに仕上がるのかなぁ」
青野沙也加「間に合わせる。必ず」

〇花模様
  第十四話「キャラクターが芽吹くとき」

〇生徒会室
  放課後。部員たちは部室に集まって、ピンクの用紙にハサミを入れていた。
海東三鈴「ひぃ・・・地味な作業だわ、これ」
摂津亜衣「文句言うな。予算が限られてるんだ」
小山内陽菜「ラストシーンで使う桜の花びら、少なかったらカッコ悪いでしょ?」
平井智治「あの・・・皆さん。ここは僕に任せて、自主練習してください」
海東三鈴「へ? でもこれ一人でやるのは──」
平井智治「大丈夫です。ヘルプも呼んでるので」
平井智治「少しでも時間あるなら、芝居の確認をしてほしいです」
海東三鈴「でも小道具作りだって──」
平井智治「これは演出命令です!」
海東三鈴「は、はい!」
青野沙也加「智治、本当に大丈夫なの?」
平井智治「うん。任せて!」

〇教室
  陽菜と亜衣は、空き教室で向かい合って芝居の練習をした。
小山内陽菜「私、イチカのことが好き」
摂津亜衣「ヒナタ・・・」
小山内陽菜「最後に面と向かって、きちんと伝えておきたかった」
  陽菜は心を落ち着けるように、大きく息を吐いた。
小山内陽菜「ふぅ・・・今の芝居、ダメだった?」
摂津亜衣「うーん。ちょっと告白が軽く感じた」
小山内陽菜「あぁ・・・そうかも」
摂津亜衣「同性に、しかも同じ部活の仲間に告白するってすごい覚悟だと思うから」
小山内陽菜「そうだよね・・・」
摂津亜衣「逆に、私のリアクションはどうだった?」
小山内陽菜「私のせいなのかもしれないけど・・・告白をまっすぐ受け止めすぎてるのかも」
小山内陽菜「なんか男らしいっていうか、それは亜衣らしいとは思うんだけど、イチカらしくないっていうか」
摂津亜衣「そっか・・・そこは私がイチカになりきれてないのかもしれない」
小山内陽菜「ねえ、もう一回やってみない?」
摂津亜衣「もちろん!」

〇教室
  三鈴が一人で台本を読み込んでいると、沙也加がやってきた。
青野沙也加「読み合わせ、付き合うよ」
海東三鈴「ん・・・大丈夫。 今、一人で整理したいからさ」
青野沙也加「ふーん」
海東三鈴「え? 何、そのリアクション」
青野沙也加「いつもの三鈴なら、やろうやろうって言いそうだなと思って」
海東三鈴「・・・・・・」
青野沙也加「最近、妙に一人になりたがるよね・・・合宿のときも」
海東三鈴「バレてたか」
青野沙也加「芝居で悩んでることでもあるの?」
海東三鈴「・・・ラストシーンかな。 サワコが桜の見える丘に来るところ」
青野沙也加「難しいところだよね」
海東三鈴「うん。だって仲間はそれぞれ望み通りの進路を決めているのに、自分だけ結果が伴ってないって・・・私だったらキツいな」
海東三鈴「自分で脚本を書いたくせに、なんかサワコのことがわかんなくなってきちゃった」
青野沙也加「それっていいことじゃないかな」
青野沙也加「書き手の意図を超えて、キャラクターが動き出していることだと思うから」
海東三鈴「そうかな?」
青野沙也加「私はそういう状態のときは、キャラクターが芽吹くときだって思ってる」
海東三鈴「芽吹くかぁ・・・いい響きだね」
青野沙也加「三鈴の中には、ちゃんといい花を咲かせる種があると思うよ」
海東三鈴「そっか・・・ありがとう」
青野沙也加「よし。練習しよう、付き合うよ」
海東三鈴「・・・うん!」

〇生徒会室
平井智治(ふう・・・あと二十枚かぁ。 一時間以内には終わるかな)
  辺り一杯に積み上げられた段ボールを見て、智治は思わず微笑んだ。

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