16話:赤くただれた渋谷での決断(脚本)
〇一軒家の玄関扉
国乃景「一本取られたな」
威流 楓「さすがになめすぎじゃない?」
威流 楓「あんたらとは付き合いが長いんだ。 こっちも出方くらい想像つくよ」
威流 楓「それに、俺、言ったよね?」
威流 楓「彼の為ならとっても真面目だって」
国乃景「そんなに2人目が大事か」
威流 楓「ま、それもあるけど。 あんたには教えな~い♪」
威流 楓「そうだよ。 こっちは腐るほど人手がある」
威流 楓「君がちゃんと身につけておいてくれて、本当に良かったよ」
団員「威流様、2人目はいかがですか?」
威流 楓「大丈夫。 帰還するようみんなに伝えて」
団員「かしこまりました」
威流 楓「ごめんね、緋雨」
〇城の救護室
すべては
この病院がはじまり
マッテオ「心配しないで、シャーロット。 明日には帰れるんだから」
シャーロット「あなたがちゃんと退院するまで心配よ」
マッテオ「俺も、たかが風邪をこじらせて、」
マッテオ「まさか入院するとは思わなかったよ」
マッテオ「笑って、シャーロット」
シャーロット「ごめんなさい! 駄目よね!私がそんな顔してたら・・・」
シャーロット「ベッドの番号、25番なんて。 キリスト様がきっと守ってくださるわ」
シャーロット「また明日ね!マッテオ!」
マッテオ(そうだね、シャーロット。 明日になれば、きっと退院できるよね・・・)
しかし、その晩、容体が急変したと言われ、緊急手術になった。
そして、目が覚めると、キリスト再臨の1人目として、崇められるように。
やはり25番は奇跡の数字だ!!
と、皆が口を揃えて言っていた。
〇男の子の一人部屋
威流 楓「良かった。初めてだからさすがに心配した」
威流 楓「飄々としてるけど腕は本物。 一発で即死だよ」
威流 緋雨「そうだ!俺はあいつに撃たれて」
威流 緋雨「死んだと思ったが」
威流 楓「これが奇跡の復活。 おれたちは神に生かされている、ってわけ」
威流 楓「不死身のおれたちだけど、」
威流 楓「もう君を一人にしておくことはできない」
威流 緋雨「逃げるのか?」
威流 楓「それは無理だって!」
威流 楓「暗殺集団よりも影が深い。 うちの教会もすごいけどね」
威流 楓「向こうは国の許可さえ下りれば、いつでもおれたちを壊滅にできるんだよ」
威流 緋雨「それなら、俺たちは、もう・・・」
威流 楓「でもまぁ、それには、」
威流 楓「もっと世界がめちゃくちゃにならないと」
威流 楓「おれたちにとって唯一の救いは、この国の決断の遅さ、だよ♪」
威流 緋雨「それまでは、狙われることもない、ってことか」
威流 緋雨「それで、世界はどうなってる?」
威流 緋雨「俺たちが離れたら、世界は元に戻るんじゃなかったのか?」
威流 楓「おれもそう思ったんだけどね~」
威流 楓「虹架かる世界は、キリスト再臨を待ち望んでいる」
威流 緋雨「それって、世界が、この流れをつくっているのか!?」
威流 楓「そう。たぶん、これはもう、止まらない」
威流 緋雨「そしたら栗木田は・・・」
威流 楓「覚悟しておいた方がいいよ」
威流 楓「むかつくでしょ~」
威流 楓「こんな世界。 いくら虹架けたって」
威流 楓「おれたちは神の思うまま」
威流 緋雨「どうする事もできないのか?」
威流 楓「おれは、そう思っている」
〇おしゃれなリビングダイニング
─12月23日─
楓と二人でテレビを観る。
小麦が国産のみになりつぶれるケーキ屋。
西側の不穏な動き。
〇教室
さすがに食料規制がこの国にもかかったことは、学生をもざわめかせていた。
明日から冬休みだってのにしけてんな~。
そうだ!せっかくだから今日渋谷行こうぜ!
クリスマスケーキもない・・・
〇センター街
栗木田 真衣「イブイブなのにみんな予定ないなんてね~」
栗木田 真衣「そうだ!そしたらみんなでご飯」
岸野 俊介「くくく、く、栗ちゃん!!! 俺と・・・」
威流 緋雨「静かに!何の音だっ!?」
岸野 俊介「!?空みてみろ!!」
〇空
夕焼け雲の向こうから
飛行機の群れ
〇荒廃したセンター街
威流 緋雨「栗木田!!しっかりしろ!!」
岸野 俊介「緋雨!!血がっ!!やばいよっ!!」
威流 緋雨「分かってる!!救急車を!!早く!!」
岸野 俊介「わ、わかった!!」
威流 緋雨(応急措置じゃ間に合わない!!)
威流 緋雨(これは、もう・・・)
〇男の子の一人部屋
威流 楓「覚悟しておいた方がいいよ」
〇荒廃したセンター街
威流 緋雨(しっかりしろ!! 何を弱気になっている!!)
岸野 俊介「ひっさー!!駄目だ!! 全然つながらない!!」
威流 緋雨「俺がかける!!栗木田を頼んだ!!」
威流 緋雨(頼む!!頼む!!出てくれ!!)
緋雨っ!?だいじょ
威流 緋雨「助けて!!兄さん!!!」