姫様は冷徹王子の溺愛をご所望です

朝永ゆうり

第10話 “氷王子”の秘密(脚本)

姫様は冷徹王子の溺愛をご所望です

朝永ゆうり

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〇屋敷の書斎
カレン「ジークの心を受け止めるのは──」
カレン「私じゃ、ダメかな・・・?」
  ジークの一人抱えるものを知り──
  苦しみを共に背負わせて欲しいと
  願い出たカレン。
カレン「一人で抱えてるジークを、 一人で泣いているジークを、」
カレン「全部、受け止めたい」
カレン「ジークを、一人ぼっちにしたくないよ・・・」
ジーク王子「カレン・・・」
  ジークは徐ろに立ち上がると──
  静かに涙を流しながら、カレンを抱きしめた。
カレン「ジーク、私はね、」
カレン「もちろんプリンセスとして、この国を良くしたい。でも、それ以前に──」
カレン「妻として、ジークを幸せにしたいの」
カレン「だから──」
ジーク王子「俺は・・・俺は・・・」

〇西洋の円卓会議
ジーク王子(幼少期)「父上! 何故カレンに会ってはならぬのですか!」
ジーク王子(幼少期)「もう二度とあの場所には行きません!」
ジーク王子(幼少期)「ですから、どうか・・・」
ルシャード国王「ジーク、王国の幸せを守るために、必要なものはなんだ?」
ジーク王子(幼少期)「え?」
ジーク王子(幼少期)「それは──」
ジーク王子(幼少期)「それは、もちろん愛です!」
ジーク王子(幼少期)「愛があれば、皆が争うことなく幸せに暮らし・・・」
ルシャード国王「では、なぜ争いが起きるんだ?」
ジーク王子(幼少期)「それは・・・」
ルシャード国王「ジーク、我がイデアル王国の国境付近では──」
ルシャード国王「グロース帝国と我が国の兵士が、今日も戦っている」
ジーク王子(幼少期)「どうしてですか──?」
ルシャード国王「王国の平和を守るため、だ」
ジーク王子(幼少期)「平和のために、争うのですか──?」
ルシャード国王「そうだ。グロース帝国は、我が国を自分の領土にしようと目論んでいる」
ルシャード国王「帝国兵を我が国に入れてしまったら──」
ルシャード国王「イデアル王国は侵略され、滅んでしまうのだよ」
ジーク王子(幼少期)「・・・争いは、絶えぬのですか?」
ルシャード国王「覚悟があれば、争いは終わるさ」
ジーク王子(幼少期)「・・・覚悟?」
ルシャード国王「この国を、失う覚悟だ」
ジーク王子(幼少期)「国を、失う・・・」
ルシャード国王「我が国がグロース帝国の一部になることを許せば、争いは終わるんだ」
ジーク王子(幼少期)「それは・・・」
ルシャード国王「帝国からの降伏の条件は、一番若い王族の命を突き出すこと」
ジーク王子(幼少期)「え・・・」
ルシャード国王「王族を絶やすことにより、王国を放棄するという意思を見せなくてはならない」
ジーク王子(幼少期)(最初から、幸せな王国なんか作れなかったんだ)
ルシャード国王「我々王室には、国民を守る責務がある」
ルシャード国王「守るために、失わなくてはいけないものがあるんだよ」
ルシャード国王「ジーク、お前は私の息子であり、誇り高きイデアル王国の王子だ」
ルシャード国王「カレンと共に夢物語を描くより──」
ルシャード国王「──そろそろ現実と向き合う時期だと、判断した」
ジーク王子(幼少期)(僕は──この国を、守るんだ!)
ジーク王子(幼少期)(守るために、強くならなきゃ)
ジーク王子(幼少期)(心を、気持ちを、強く持たなきゃダメなんだ)
ジーク王子(幼少期)「分かりました、父上」
ジーク王子(幼少期)「僕は──」

〇屋敷の書斎
カレン「ジーク・・・」
ジーク王子「俺は・・・強くなきゃいけないんだ」
ジーク王子「強くなきゃ、守れないんだ!」
カレン「でも、どうして──」
カレン「どうして、冷徹なフリをするの?」
ジーク王子「それは・・・」

〇西洋の円卓会議
元大佐「ジーク王子の策は見事でした」
元大佐「敵味方なく焼いてしまえば、敵陣は撤退を余儀なくされる」
元大佐「窮地に陥ったと見せかけて、逆をとるとは、」
元大佐「実に冷徹なご判断だったと」
ジーク王子「違う、俺は・・・!」
ジーク王子「俺は・・・」
ルシャード国王「ジーク」
ジーク王子「・・・・・・」
ルシャード国王「後悔ばかりでは、先には進めぬ」
ルシャード国王「今回の策にて、帝国側が怯んだのは事実」
ルシャード国王「今後、お前には軍の統帥を任せる」
ジーク王子「え・・・」
ルシャード国王「王国の平和のために、お前ができることだ」
ルシャード国王「小さな我がイデアル王国を守るため──」
ルシャード国王「お前の力が必要だ」
ジーク王子「俺の、力・・・」
元大佐「冷徹非道な王子のご判断のことですよ」
元大佐「事実、帝国は王子に怯えているようで──」
元大佐「あれ以降、一向に策を仕掛けてこないです から」

〇黒
国王「小さな我が国を守るために、お前ができることだ」
元大佐「冷徹非道な王子のご判断のことですよ」
国王「お前が、王国の幸せを守るのだ、ジーク」
ジーク王子「俺は・・・冷徹非道・・・」

〇屋敷の書斎
カレン「ジーク・・・」
カレン「でも、私には・・・」
カレン「私には、ありのままのジークで良かったのに!」
カレン「どうせ、昔を知っているんだから──」
カレン「私には、本当のことを話してくれても良かったのに!!」
ジーク王子「お前を守るためだ!」
カレン「え・・・?」
ジーク王子「実際、帝国は俺の存在に怯えている」
ジーク王子「国民からも、それを匂わせ──」
ジーク王子「お前を、“氷王子”に嫁がされた“可哀相なプリンセス”に仕立て上げる」
ジーク王子「そうすれば、お前は王宮で守られていられる」
カレン「どういうこと?」
ジーク王子「お前は、俺の妻であり、プリンセス。 つまり──」
ジーク王子「何かあった時に、帝国に一番に狙われるのがお前だ」
カレン「え・・・?」
ジーク王子「帝国にさらわれ、人質にされる可能性があるってことだ」
ジーク王子「帝国側の立場に立ってみろ」
ジーク王子「俺がお前に冷たい態度を取っていれば、そこに愛などないと──」
ジーク王子「お前をさらうのも馬鹿らしいと思うだろう?」
ジーク王子「それに、たとえ誘拐され人質にされたとして──」
ジーク王子「お前が俺からの愛を感じなければ、お前はせいせいするだろう」
ジーク王子「冷徹非道な王子のところから引き離してくれてありがとう、と」
ジーク王子「だから、俺は・・・」
ジーク王子「・・・」
カレン(私、知らないうちに、守られてたんだ・・・)
カレン「ジーク、私、やっぱり──」
カレン「ジークが、好きだよ」
カレン「誰よりも、この国を想ってる」
カレン「誰よりも、愛に溢れてる」
カレン「そんなジークが、大好き」
ジーク王子「カレン・・・」
ジーク王子「俺だって、本当は、」
ジーク王子「誰より、お前を──」
  二人の顔が徐々に近づく。
  まるで離れていた時間を埋めるように、
  二人の唇が触れ合──
ウェルナー「お取り込み中失礼します」
ウェルナー(専属護衛)「グロース帝国が動き出しました」
ウェルナー(専属護衛)「ブルートを目指した援軍が、後ろから──」
カレン(ブルートって、4年前と同じ場所・・・)
カレン「まさか、帝国は復讐を?」
ウェルナー(専属護衛)「ええ、おそらく」
ジーク王子「ウェルナー、ここでその話はなしだ」
ジーク王子「すぐに会議を開く」
ウェルナー(専属護衛)「はっ」
カレン「ジーク・・・」
ジーク王子「大丈夫だ、お前は笑っていろ」
ジーク王子「それから──」
ジーク王子「今夜、共に過ごそう」
  カレンはジークの去っていった扉をしばらく見つめていた。
カレン(神様、これ以上──)
カレン(ジークから、何も奪わないで・・・)

次のエピソード:第11話 戦況悪化

コメント

  • 今回のジークの話を聞く限りは、ジーク及び父親の判断・考えは正しい…ということになるんでしょうか。国民のため、カレンのため…誰よりも自分に厳しいジークは素晴らしい王子だと思います。

  • あーっ😂
    キスの手前でお邪魔が入るお約束!!
    わかっていてももどかしい!w
    でもでも、夜のお誘いにドキドキです!💕

  • えっえっえっ
    ちょっと待ってください
    シリアス展開の不穏な引きですが、

    夜のお誘い!?

    色々あったのに全部吹っ飛びましたすみません、わー!

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