オーロラ姫よりオラオラ姫を選んだ王子の結論

ふゆ

5.建て直した幻想(脚本)

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〇牢獄
  オーロラ姫に、
  正体を知られてしまった
「・・・・・・・・・」
オーロラ姫「そ」
オーロラ姫「それでは失礼!」
ヴィクトル「あの!」
オーロラ姫「ごめんなさい。急いでいるので。鍵は開けておきますわね?」
オーロラ姫(ふふ、表向きは王女と執事だもの)
オーロラ姫(何事もなかったようにされたら、聞きにくいわよね?)
使い魔「バレましたかね?」
ヴィクトル「・・・執事の俺に、敬語で喋っていた」
ヴィクトル「俺の正体を知ってるってことだ」
使い魔「ワシ、追いかけます!」
使い魔「誰かに喋ろうとしたら、とりあえず眠らせますから!」
ヴィクトル「頼んだ!」

〇城の客室
オーロラ姫「お父様は夕方まで外出中ね」
オーロラ姫(ああ、早く言いたいなあ。楽しみ!)
オーロラ姫(さてと、他にも伝えたい人がいるのよね)
オーロラ姫(作家志望のルイーザ嬢!)
オーロラ姫(素敵な薄い本を書いてもらいたいから)
オーロラ姫(手紙には細かく書いておかなくちゃ)
オーロラ姫(えーと、経緯と)
オーロラ姫(分かんないところは想像で埋めて──)
オーロラ姫(お)
オーロラ姫(なんか筆がのってきた!)
オーロラ姫(私、才能あるかも!)
オーロラ姫(ルイーザ嬢との合作にしてもらおうかなっ)
使い魔「・・・・・・・・・・・・・・・」
使い魔「!?!?!?」

〇城の回廊
使い魔「ででで、殿下ぁ!」
ヴィクトル「どうした。他の誰かに知られたのか!?」
使い魔「いえ、その、そうじゃなくてオーロラ姫が、」
使い魔「国王への報告書をノートにまとめてまして」
使い魔「その内容が・・・」

〇水玉2
ヴィクトル「オラオラ姫・・・」
ヴィクトル「その低い声、引き締まった体格、」
ヴィクトル「まさに俺のお姫様そのものだ」
オラオラ姫「でも、私は男なんです・・・」
ヴィクトル「むしろ男の方が好きだ」
???「待てよ殿下!」
従者「俺の方が好きって言ってたじゃねえか!」
執事「私とのことは遊びだったんですね・・・殿下」
従者「で、殿下、俺とのことは?」
ヴィクトル「大丈夫!俺はみんな愛してる──」
ヴィクトル「いやいやいやちょっと待て!」

〇城の回廊
「・・・・・・・・・!!」
使い魔「『この城は全て制覇した』と高笑いして終わっていました」
ヴィクトル「制覇したのか・・・って、何を!?」
使い魔「ワシの口からはとても」
ヴィクトル「・・・・・・・・・」
ヴィクトル「オーロラ姫は、俺に何の恨みがあって・・・こんな嘘を」
ヴィクトル「は!」
ヴィクトル「敵意を持たれてるということは、 交渉も難しいってことか・・・」
ヴィクトル「こ、こんな形で、スパイクレット国王に伝わってしまったら・・・」
ヴィクトル「俺の父にも話が及んで・・・・・・」

?「『スパイクレット国に執事として潜入?』」
?「『しかも、城の男全員に手を出していただと!?』」
?「『一体どういうことなの・・・』」
?「『恐ろしい』」
?「『何を考えてるんだ・・・』」
?「『やはり妾腹の子は駄目だ』」
?「『阿呆な犬は粛清し、強き王の誕生を』」
マレフィセント国王「『やむをえん』」
マレフィセント国王「『ヴィクトル・・・所詮は兄の噛ませ犬だったか』」
???「『くくくっ』」
ヴァランタン「『さあ、姿の戻った美しいオーラ姫』」
ヴァランタン「『二人で統合国を盛り上げて参りましょう』」

〇城の回廊
「・・・・・・」
使い魔「オ、オーロラ姫の記憶を封じますか?」
ヴィクトル「いや」
ヴィクトル「オーラ姫が襲われた後、外壁まで含めて結界魔法をかけた」
ヴィクトル「これから兄二人を相手にするんだ」
ヴィクトル「しばらく回収を望めない以上、」
ヴィクトル「これ以上、魂のリソースは割けない」
ヴィクトル「く・・・」
使い魔「今までで一番のピンチかも」
ヴィクトル(これを知ったら、彼女はどう思うんだろう)

オーラ姫「『仕方ないですわ』」
オーラ姫「『政略結婚ですもの』」
  そうか
  彼女にとっては、この結末の方がいいんだ
  ・・・・・・・・・

  いや
  彼女の気持ちが俺になくても
  俺の方には確かにあった
  ここで諦めるような俺を、
  彼女に見せられるのか?
  それに俺は
  彼女に会って、その人となりを知って──

〇城の回廊
使い魔「帰りましょう!」
使い魔「今ならバラされても、オーロラ姫の妄想で片付けられます!」
ヴィクトル「いや」
ヴィクトル「どうせバレるなら、」
ヴィクトル「全てを失う可能性があるなら、俺は前に出る」

〇上官の部屋
  スパイクレット王自室
スパイクレット国王「・・・・・・・・・」
スパイクレット国王「ハッハッハ! おお、我が娘よ。ただいまあ!」
オラオラ姫「お帰りなさい。父上」
オーロラ姫「失礼しま──」
オーロラ姫(あ、先を越されちゃった!)
オラオラ姫「オーロラ、悪いが、私の用の後にしてくれ」
オラオラ姫「父上」
オラオラ姫「兼ねてからお話していた件ですが、正式に進めてください」
スパイクレット国王「婚約者変更の件か」
オラオラ姫「はい」
オラオラ姫(もっと早く正式に伝えるべきだった)
オーロラ姫「ちょ、ちょっと待ってよ。そのことだけど」
オラオラ姫「お前は黙っていなさい」
スパイクレット国王「我が愛娘の呪いを解くべく奔走してきたが、」
スパイクレット国王「・・・そろそろ腹を決める時期か」
スパイクレット国王「王妃になるべく厳しい帝王学を修めさせたのに・・・」
スパイクレット国王「泣き言ひとつ言わず応えてきたお前が不憫でならんぞぉ・・・オーラァ」
オラオラ姫「・・・・・・・・・」
オラオラ姫「私は騎士団に入ろうと思います」
オラオラ姫「せっかく男に生まれ変わったのですから、」
オラオラ姫「戦いの場にて国に貢献したく思います」
スパイクレット国王「それで良いのか」
オラオラ姫「良いのです」
オラオラ姫(私が残っては、妹夫婦の邪魔になるだろうし、)
オラオラ姫(・・・あいつとも、顔を合わせなくて済むようになるし)
オラオラ姫(いつか、似合いの妻でも見つけるだろうし・・・)
  そう思うとホッとするのは確かなのに
オーロラ姫「ちょ、ちょっと待ってよ!」
オーロラ姫「私の身の上まで勝手に決めないで!」
オーロラ姫「そもそも、統合国なんてやめればいいじゃない!」
「・・・・・・・・・はあ」
オーロラ姫「な、何よ」
オーロラ姫「ていうか、お姉さまはいいの!?」
オラオラ姫「結婚に、私たちの意志は関係ない」
オーロラ姫「なっ・・・」
オーロラ姫「偉そうなことばっかり言ってるけど!」
オーロラ姫「本当は、好きな人ができたからじゃないの!?」
オーロラ姫「婚約者に悪い、とかぐじぐじ悩んじゃったり!」
オーロラ姫「ふふっ」
オーロラ姫「そんなお姉さまに素敵なお知らせよ」
オーロラ姫「あのね!」
???「お待ちください!」
ヴィクトル「失礼します」
ヴィクトル「オーラ姫を、元の姿に戻す方法が見つかりました!」
オーロラ姫「ヴィ、ヴィクト・・・」
オーロラ姫「すやあ」
スパイクレット国王「・・・従者風情が。なんだそのふざけた格好は」
ヴィクトル「これが魔法を解くきっかけになるのです」
スパイクレット国王「ほう?申してみよ」
スパイクレット国王「内容によっては、その無礼許してやる」
オラオラ姫(あいつ、どうして突然)
オラオラ姫(・・・大丈夫なのか?)
  彼女の人となりを知って、
  もっと知りたくなったのに、
  全く振り向いてくれないって分かったら、
  かえって落としたくなってきた
  絶対に元に戻してみせる!!
  つづく

次のエピソード:6.最恐の協力者

コメント

  • ヴィクトルさん遠慮なく制覇しちゃってくださいw

  • オーロラ姫! お気を確かに!!www
    妄想ぶっとびすぎです!!www
    (いいぞもっとやれ!w)

  • ”薄い本での創作活動”=ヴィクトルへの敵意、という微妙な噛み合わなさに笑ってしまいました。創作にしても、城の男を全員制覇って、、、妄想がはかどりすぎですねw 緊張走るラストとの落差にやられました!

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