パンイチ冒険者ケンイチ

紅月桜

第五話 手をつないでいい?(脚本)

パンイチ冒険者ケンイチ

紅月桜

今すぐ読む

パンイチ冒険者ケンイチ
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇児童養護施設
  第五話 手をつないでいい?
ニュクス「改めて自己紹介しよう。僕は聖騎士ニュクス。冒険者パーティ「三天」のリーダーだ」
ニュクス「スノーさん、オータさん、そしてケンイチさん、今日は僕のわがままに付き合ってくれてありがとう」
ケンイチ「ど、どうも・・・」
ケンイチ(シンの奴、俺達とダンジョン探索したいだなんて、一体何を企んでるんだ・・・?)
オータ「敬称、要らナイ グンマァの戦士、敬う心、行動で示ス」
ニュクス「わかった、呼び捨てにさせてもらうよ スノー、オータ、ケンイチ、今日はよろしく」
ケンイチ「よ、よろしく」
スノー「呼び捨てされるのはいいけど、するのはちょっと恥ずかしいかな」
オータ「構わナイ、好きに呼べばイイ」
ニュクス「スノーはレベル一、二人はレベル三だね 到達階層は?」
スノー「私は一階層だけだよ」
ケンイチ「俺も」
オータ「三階層の入り口マデ 耐えられずスグ引き返しタ」
ニュクス「なら今日はとりあえず二階層探索でいいかな?」
ケンイチ「あの・・・俺、一時間しかいられないんだけど」
ニュクス「大丈夫、近道を使うから」

〇薄暗い谷底
ニュクス「そこに裂け目があるだろ? 飛び降りれば二階層だよ」
ケンイチ「落ちたら死なない!?」
ニュクス「地面に激突すれば死ぬ」
ケンイチ「ダメじゃん!」
ニュクス「着地の瞬間に【浮遊】の魔法をかける 帰りは【跳躍】の魔法で戻れるよ」
ニュクス「手をつないでいい?」
スノー「え・・・」
ニュクス「【浮遊】をかけるには触れる必要があるんだ」
スノー「う、うん!」
ケンイチ(おのれシン!それが目的か!!)
スノー「みんなも手をつなぎましょう」
ケンイチ「つなぐつなぐ~!」
オータ「グンマァ」
ニュクス「さぁ飛び込もう、せーのっ!」

〇黒背景

〇山中の川
ケンイチ「ここが二階層? 明るいし木も生えてる!」
ニュクス「二階層は森林エリアだ 上を見てごらん、天井の水晶が太陽代わりさ」
スノー「きれい・・・」
ケンイチ(ゆきちゃんのほうがきれいだよ)
ケンイチ「何か近づいてくる! 四足獣の足音だ」
ニュクス(索敵は僕より早いな)
ニュクス「あれはレベル二の魔猪 二階層では標準的な強さだ」
ニュクス「スノー、あれを一人で倒せばレベルアップするはずだよ」
スノー「私一人で!?」
ケンイチ「危険じゃないか!?」
ニュクス「ああ、魔猪の攻撃を受けたら一撃で即死だろう」
ニュクス「でもダンジョンに危険はつきものさ 大丈夫、いざとなれば僕が助ける」
ケンイチ「突進してきた!」
スノー「ど、どうすれば・・・!?」
ニュクス「足関節を凍らせるんだ 突進力が裏目に出て勝手に転ぶ」
スノー「足関節、足関節・・・!」
ニュクス「まだだ、充分ひきつけてから」
ニュクス「あと三秒・・・二・・・一・・・今だ!」
スノー「【凍結】!」
ニュクス「避けろ!横に跳べ!」
ケンイチ「岩に突っ込んだ!」
ニュクス「頭を打って絶命してるね」
スノー「わっ、レベル二になったよ! 初めてのレベルアップ!」
ニュクス「おめでとう、金星だ」
スノー「ニュクス君のおかげだよ」
ケンイチ(またシンにゆきちゃんポイント稼がれた!)
ケンイチ(絶対にシンよりも・・・誰よりも先にダンジョンをクリアしてみせる! そして・・・!)
ケンイチ(一番になったら・・・ ゆきちゃんに告白する!!)
オータ「コノ猪、解体していいカ? 俺、解体スキル、持ってル 毛皮、獣脂、猪肉、獲得できル」
スノー「魔猪って食べられるんだよね」
ニュクス「いいね、みんなで食事にしよう 魔猪の肉は筋力アップにつながるよ」
オータ「急いで血抜きスル 早いホド、臭み、少ナイ」
ケンイチ(解体シーンが生々しい・・・ 妙なところまでリアルだなこのゲーム)
ケンイチ「今、変な水音が・・・」
ケンイチ「川から巨大ワニ!?」
オータ「血の臭いに寄ってきたカ」
ニュクス「ワニの相手はケンイチに頼めるかな 魔猪より少し強い程度だよ 僕は薪や山菜を集めてくるよ」
ケンイチ(このデカいワニを俺一人で!? 無茶だろ!)
スノー「ケンイチさんがんばって! ワニ肉はコラーゲンたっぷりなんだよ!」
ケンイチ「お任せあれ♡」
ケンイチ「グンマァーー!」
ケンイチ「こんな本格的な料理に!」
ケンイチ「うまい・・・!」
スノー「おいしー!」
オータ「グンマァ」
ニュクス「心にしみる味だね スノーの【調理】スキルのおかげだ」
スノー「ニュクス君が山菜やキノコ集めてくれたからだよ」
ケンイチ(なんかいい雰囲気になってる・・・!)
ケンイチ「ニュクスはのんびりしてていいのか? トップ争いしてるんだろ」
ニュクス「攻略にはキーアイテムが必要なんだ 次の獲得チャンスは三日後だよ それまでのんびりするさ」
オータ「三日後・・・満月を待っているのカ?」
ニュクス「鋭いね そう、満月の夜が聖剣獲得のチャンスだ」
ケンイチ「聖剣・・・?」
ニュクス「ああ、どこから話せばいいかな・・・」
ニュクス「聖光教会に伝わる古文書によれば、大昔この辺境の地では・・・」
ケンイチ(オータがおもむろに魔猪の頭骨を打楽器みたくリズミカルに叩き始めた!?)
オータ「話、続けてクレ 焚き火を囲んで伝承を語ル、音楽、必要」
ケンイチ(何そのこだわり!?裸族の慣わし!?)
(オータのテンポ気持ちよすぎだろ!)
ニュクス「では改めて──」

〇魔法陣
ニュクス「教会の古文書によれば、かつてこの辺境では邪神が人々を支配していた」
ニュクス「四百年前、教会から一人の聖騎士が遣わされた。彼の剣こそが聖剣、またの名を裁定の剣。邪悪なるものを見定める聖なる剣だ」
ニュクス「聖騎士は邪神を打ち倒し、岩と化した邪神の亡骸に聖剣を突き立てて墓標とし、この地に封じた」
ニュクス「ここまでが古文書の内容だ。そして二年前・・・GFがリリースされた年だね。東方からやってきた怪物が聖剣を奪った」
ニュクス「聖剣の抜けた穴はみるみる広がってダンジョン化し、最下層では復活した邪神が魔力を蓄えている・・・この邪神がラスボスさ」
ニュクス「失われた聖剣を取り戻し、邪神を再び封印する。それがこのダンジョンのクリア条件だ」

〇山中の川
ニュクス「聖剣が今どこにあるかは・・・それは企業秘密ってことで」
スノー「ニュクス君の邪魔なんてしないよ! 私でよければ手伝うよ」
ニュクス「ありがとう。でも聖剣の獲得条件はかなり特殊なようだ。おそらく一人で挑む必要がある。気持ちだけ受け取っておくよ」
スノー「うん、応援してるね」
ケンイチ(シンにはもうラスボス攻略までの道すじが見えている・・・それに比べて俺はようやく二階層に来たばかり)
ニュクス「明後日の日曜、みんなの都合どうかな? よければ四階層まで行ってみない?」
オータ「四階層マデ行けるのカ? 三階層の地獄を突破シテ?」
ニュクス「うん、みんなを連れて一時間で往復できると思うよ」
ケンイチ(シンに頼ってダンジョン攻略だって?俺はシンに勝たなきゃいけないのに、それじゃ何の意味もない!冗談きついぜ!)
スノー「私は賛成だよ」
ケンイチ「俺も♡」
ケンイチ「行こう、四階層へ!!」

次のエピソード:第六話 温泉回

コメント

  • こりゃーシン君、モテるわけだわ

  • 必ずオータが存在感を出してきますね。
    サブキャラが面白さを出すエリートヤンキー三郎を思い出しました。

  • シンに勝たなきゃいけないも相まってff10感が笑

コメントをもっと見る(5件)

成分キーワード

ページTOPへ