君と桜の樹の下で

ちぇのあ

待望の逸品を探し求めて(脚本)

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〇けもの道
  ・・・着いたようだ。
桜花 「前回頑張って奥の転移陣まで冒険したから、目的地は近いねっ」
優樹「まだフィールドとは言え一日変われば別物だから、くれぐれも油断しないように」
桜花 「はーい!」
  ここは精霊跡地と艶霧の境目だ
  時折規模の大きい清浄な空気と妖魔の強い空気が衝突し、希少性の高い魔石や魔物が生み出される
優樹「お手柄だね桜花、この土の変質と陥没は魔石が埋没してる証拠だよ」
桜花 「えへへ、どんなもんだい♪」
  地層内の物質を測定する使い捨ての道具を起動する、やはり鉱石が埋まっている
桜花 「早めに冒険終わらせたいから土魔法で掘りだすね?」
  地面に手をかざし頷くと土が隆起し人間の胴体分はある魔石が黒い輝きを放ち姿を現す
  これ程の魔導の高みへ行くまでどれだけの歳月を費やしたのだろうか
  ギルドから配布された所有権と輸送を兼任する葉のシールを貼れば魔石はギルドまで転移されていく
優樹「幸先が良いね、この調子で進もうか」
桜花 「強い魔物が出たら守ってね?」

〇密林の中
  頷いて艶霧へ踏み入る
  遠吠えがどこかから聞こえる
  鬱蒼とした森には近く通った足跡は見受けられない
優樹「もっと魔物が頻繁に出てくると思ったけど・・・全然居ないね」
  念の為に簡易の索敵する魔導具で周囲に危険が無いか確認する
  ・・・たまに近づく個体が急に遠ざかっていくのが繰り返される
優樹「おかしいな、魔物避けの匂い袋は使っていないし・・・そもそも魔物が冒険者を避けるなんて有り得ない」
桜花 「な、なんでだろうね~?」
優樹「素材の採集が主で来てるから助かるよ」
桜花 「あの樹は香木じゃない?」
優樹「おお、珍しいね」
優樹「よっと」
  幹をめくり木目を確認してから刃を添わせて伐採する
  豊かな香りは魔力と豊穣がもたらす恩恵か
桜花 「良い匂いする~♪」
優樹「順調に採れてるね、幻艶はさすがに無理かな~」
桜花 「あ、次の大木を右に曲がって?」
優樹「あ、うん」
桜花 「しばらく真っ直ぐ行って・・・」
桜花 「あっ、風で帽子が飛んじゃった」
  拾いに行くと濃密な空気が辺りを包む
  数多の白と化した骸が放置されている
  恐らく何かを守護する者にやられたように見える
優樹「見渡した限り何も無いね・・・」
桜花 「あれ~?ここに置いといた・・・いや、ある気がするのに~」
優樹「あ・・・」

〇木の上
  大きな樹には梯子が掛けられ、その先には先住者のであろう木組みの家がある
桜花 「鳥人族・・・こんな所に居るなんて」
  玄関の藁などで編み込んだ暖簾から顔を伺わせる者が居る
  僕達の姿を確認するとスルスルとこちらへ降りてくる
  話しかけられるが僕には彼等の言葉がわからない
  桜花は理解しているようで頷いている
桜花 「こんな所まで来て目当てはこの幻艶か? 欲しかったら上質な香木を取ってこい・・・だって」
  先程伐採した香木を見せる
  満足して交換に応じてくれた
桜花 「交換も何も、元々あたしのなのに・・・」
優樹「それにしても、鳥人族の言葉に精通しているなんて・・・彼等と取引してた頃もあったの?」
桜花 「あ~・・・旅するのが好きだから」
桜花 「そのおかげで優樹君と楽しく過ごしてるし♪」
優樹「桜花のおかげで希少な逸品が一瞬で手に入っちゃったよ、ありがとう」
桜花 「お礼は美味しいごはんね?♪」
優樹「任せて!」

〇小さい滝
  採水地を見つけて簡易な濾過をしてから喉を潤す

〇けもの道
  道標に樹に巻いた青い紐を回収しながら来た道を往復していく
桜花 「誰も来ないから、二人きりだね」
優樹「うん、そうだね・・・ふぁっ!?」
優樹「ここって、別に暑く無い所なのに・・・なんでボタン外してるの?」
桜花 「もちろん優樹くんを誘惑・・・じゃなくって!」
桜花 「自然の風を直に感じたくなって~」
優樹「そ、そうなんだ・・・」
  枝や倒木も多いのに、いつの間に足の地肌も多く晒している
  できるだけ歩き易い道を選んでいるが怪我が心配だ

〇林道
桜花 「あ~もう着いちゃった」
優樹「無事に済んで何よりだよ」
桜花 「これで品揃えが豊富になるね♪」
  希少品も獲得して収穫は上々と言えるだろう
  魔法陣まで歩き二人で転移する

次のエピソード:生きている事は当たり前じゃなくて、安心感は大切で

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