ep1:妄想女子、大ピンチ!(脚本)
〇図書館
二人の間に広げた本の上に指を沿わせ、
静音は目を上げた。
視線がぶつかり、はっと身をすくませる。
吸い込まれそうな瞳がそこにあった。
川波静音「秋夜くん・・・?」
真っ直ぐに静音を映す瞳が大きく近くなり、
思わず目を閉じると、
柔らかい感触が唇を覆う。
川波静音「きゃーーー!!! やだもうっ!恥ずかしい!」
川波静音「はぁ、やっぱりいいなぁ、秋夜くん」
我が憧れの王子、須崎秋夜は図書委員の当番でカウンター内に座り、静かに読書している。
わたしは川波静音。勉強するふりをして趣味の夢小説を書き散らかしている。
こちらは妄想の中の自分。
めちゃくちゃ美化してます、スミマセン。
しょうもないことしてるってわかってるよ。
でも夢くらい見たっていいでしょ!
ん?
秋夜くんがこっち来る!
読み終わった本を戻すのかな。
なるべく自然な動作でノートのページを
めくって文章を隠す。
須崎秋夜「あれ、川波さん・・・」
川波静音「え? 何?」
急いで手元に目を走らせた。
見える場所に書いたものの痕跡はないはず。
王子がモブに一体何の用ですか?
まぶしいから。そこにいるとまぶしいから!
秋夜くんの腕が伸び、
長い指がそっと髪に触れた。
須崎秋夜「髪に糸屑がついてたよ」
川波静音「・・・・・・」
須崎秋夜「川波さん?どうしたの」
川波静音「・・・・・・」
須崎秋夜「川波さん?」
川波静音「あ、ああ!それはどうも、糸?なんで糸? いつからつけてたのかな、あっははは!」
川波静音「あっ、わたしもう行かなきゃ! 秋・・・須崎くん、じゃあね!」
須崎秋夜「あ、う、うん」
〇まっすぐの廊下
〇学校の廊下
〇教室
川波静音「ちょっとーーー!!!」
川波静音「髪に! あんなに! そっと! やさしく! むりでしょ!」
川波静音「心臓が爆発してしんじゃうでしょー!!!」
川波静音「や、やっぱり、妄想と実物では破壊力が違う ・・・あれ?」
教科書。ペンケース。下じき。参考書。
ノートは?
川波静音「・・・・・・」
どこだ、どこで落とした!?
〇学校の廊下
〇まっすぐの廊下
とうとう図書室の前まで来てしまった。
大丈夫・・・机の下とかに落ちて、
誰も気づいてない。大丈夫!
〇図書館
須崎秋夜「あっ・・・」
手元には見覚えのあるノート。
須崎秋夜「ええと、あの、これ・・・」
終 わ っ た ・・・
須崎秋夜「表に名前も書いてなかったから、その・・・ ごめん、中を・・・」
誰か今すぐわたしを殺せ。殺してくれ。
逃げたい!地球の果てまで逃げたい!
でも、あのノートを残していくわけには
川波静音「・・・返して」
須崎秋夜「あ、うん・・・」
川波静音「・・・?」
ノートを受け取ろうとしたが、取れない。
秋夜くんは、ノートの端を
しっかり握ったままだ。
川波静音「・・・い、いじわるしないで」
須崎秋夜「渡したら逃げるでしょ」
そんなの当たり前田のクラッカー。
須崎秋夜「確認したいことがあって」
何この拷問。
わかるでしょ?見たならわかるでしょ?
この上、『貴方で妄想デュフフしているキモい変態です』って自白しなきゃいけないの?
須崎秋夜「これに俺の願望が書いてあるって言ったら、 引く?」
川波静音「・・・?」
意味がよくわからない。
俺の?いやこれは、わたしの願望で・・・
須崎秋夜「俺は、川波さんと恋愛したいんだけど」
川波静音「・・・は!?!?」
わたし!?
現実のわたしと?
川波静音「そ・・・それは・・・・・・」
須崎秋夜「・・・・・・」
川波静音「解 釈 違 い で す ー っ !!!」
須崎秋夜「!?」
須崎秋夜「あっ、川波さん!」
〇まっすぐの廊下
〇学校の廊下
ありえない、ありえない、ありえない!
王子の隣に妄想補正のかからない、
モブ味溢れる現実のわたし?
そんなの、ありえない!!
〇女の子の一人部屋
川波静音「はぁ、はぁ、はぁ・・・あれ? あのまま全速力で家に帰っちゃった」
川波静音「ノートしか持って帰ってない。 宿題どうしよう・・・」
それより・・・わたしと恋愛したいって?
意味がわからない。
わたしが男だったら、わたしなんか選ばない。
からかわれてるとしか思えない。
何もかもがキャパを越えている。
明日はどんな顔で学校に行けばいいんだろう。
もう・・・このまま永遠に眠りたい。
次回へ続く
効果素材の使い方、上手すぎです!!
斬られてメテオ降ってきて燃やされてからの解釈違い~ww
綾さんのセンスが爆発してるラブコメ、続きが楽しみです😆🎵
解釈違いに大笑いしましたw
綾りんの新作! 続きが楽しみです(^^*
あたり前田のクラッカー!www
主人公ちゃん何年生まれ!?!?
夢小説ほど見られて恥ずかしいものはないですよね! 気持ち痛いほどわかります😅