私立桜田高校演劇部 ~春は舞台で青く色づく~

YO-SUKE

第十三話「海だ! 合宿だ! 青春だ!」(脚本)

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〇海岸線の道路
  沙也加たちを乗せたマイクロバスは、海の見える駐車場に停車した。
海東三鈴「海だ! 合宿だ! 青春だー!」
小山内陽菜「バカ三鈴。声大きいっつーの」
摂津亜衣「海だー!」
小山内陽菜「ちょっ! 亜衣まで同じことしないでよ!」
平井智治「皆さん、行きましょう!」
海東三鈴「走れ~!」
  三鈴と亜衣と智治が一斉に走り出す。
小山内陽菜「な、なんなのよ~! あんたたち!」
  陽菜も三人の後を追って走り出した。
青野沙也加「・・・・・・」
青野沙也加(お母さんにあんなこと言っちゃったし、いい舞台にしなくちゃ)
二階堂護「ふわぁ~。ようやく着いたか・・・」
二階堂護「っておい! 勝手に行くなぁ~!」

〇花模様
  第十三話「海だ! 合宿だ! 青春だ!」

〇神社の石段
  部員たちは、お寺の長い階段で走り込みをした。
海東三鈴「うおぉぉぉぉ!!!」
平井智治「三鈴さん。その調子!」
  智治がストップウォッチでタイムを計る。
海東三鈴「打倒! 安曇西~!!!」
二階堂護「な、なんだこりゃ! 何かの修行か!?」
平井智治「芝居は身体が資本ですから」
小山内陽菜「も、もうダメ・・・! 限界!」
青野沙也加「しっかりしてよ、ヒロイン」
小山内陽菜「ヒ、ヒロインって私のこと!?」
青野沙也加「他にいる?」
小山内陽菜「うおぉぉぉ! やるしかない~!」
青野沙也加「そうこなくちゃ!」
二階堂護「す、すごい・・・! お前たち、こんなにマジだったのか!」

〇合宿所の稽古場
平井智治「ごめんなさい。一回止めます」
小山内陽菜「また? さっきから多くない」
平井智治「ごめんなさい」
青野沙也加「あなたは演出担当なんだから、そんなに何度も謝らなくていいよ」
平井智治「ごめ・・・あ、うん」
海東三鈴「私のせいだよね?」
平井智治「はい・・・三鈴さんの演じているサワコは、一見明るい性格ですが、心に闇を抱えている女の子です」
海東三鈴「・・・うん」
平井智治「サワコの闇が明らかになるのは後半からですが、前半の明るい言葉や表情にも、少し影が欲しいんです」
平井智治「それが伏線にもなっているので」
青野沙也加「要するに、三鈴の演技は、工夫が少なくて一直線すぎるってことね」
平井智治「あ、いや・・・そこまでは──」
海東三鈴「も~! そこまでは・・・って、どっちなの!?」
海東三鈴「ダメならダメってハッキリ言ってくれた方が私も楽だよ」
平井智治「す、すみません・・・」
摂津亜衣「三鈴。そういう言い方はないだろ」
海東三鈴「だって・・・」
  部員たちの中に沈黙が流れる。
  そこに沢山のスイカを持った二階堂がやってきた。
二階堂護「おー! みんな、休憩タイムか」
二階堂護「近くでうまそうなスイカが売ってたから大量に・・・ってあれ?」

〇寂れた旅館

〇旅館の受付
  陽菜がソファで台本を読んでいると、亜衣がやってきた。
摂津亜衣「陽菜。練習してるのか?」
小山内陽菜「まあね。みんなに迷惑かけたくないし。 お風呂どうだった?」
摂津亜衣「いいお湯だった。陽菜も入れば?」
小山内陽菜「うん。もうちょい練習してからね」
摂津亜衣「・・・・・・」
摂津亜衣「あれ、その台本のカバー・・・」
  陽菜の手にはビニールカバーのかかった台本が握られている。
小山内陽菜「作ったんだ。 これがあればお風呂でも台本が読める」
摂津亜衣「へー。亜衣って案外器用なんだね」
小山内陽菜「案外とか言うな」
摂津亜衣「はは。ごめんごめん」
摂津亜衣「・・・陽菜。読み合わせ付き合うよ」
小山内陽菜「いいの?」
摂津亜衣「私たちも、三鈴みたいに智治にダメ出しもらいたいもんな」
小山内陽菜「うん・・・亜衣も同じ気持ちだったか。 私たち、やっぱり気を遣われているよね」
摂津亜衣「ああ。だからこそ、初心者の私たちが頑張って底上げしないと」
小山内陽菜「だね。頑張ろう、亜衣!」

〇海辺
  智治が海に向かって体育座りをしていると、沙也加がやってきた。
青野沙也加「休まないの?」
平井智治「うん。波の音聞きながら、色々考えたいなって」
青野沙也加「昼間のことなら、あまり気にしなくていいよ。間違ったことは言ってない」
平井智治「うん。でも、なんだか自信が持てないというか、不安になっちゃうんだ」
青野沙也加「・・・・・・」
平井智治「もし青野さんが演出だったら、三鈴さんをもっと活かせるのかなって、考えちゃったりするんだよね」
青野沙也加「そんなことないよ。 それに、私だって不安だらけ」
平井智治「青野さんが不安だらけ?」
青野沙也加「おかしい?」
平井智治「ううん。そんなんじゃないけど」
  智治は浜辺の石を持って立ち上がると、海に向かって投げた。
平井智治「・・・僕さ、一年生なのに演出なんて大役任せてもらっちゃったから、なんとかしてみんなの力になりたいんだ」
  沙也加も石を持って立ち上がると、海に向かって投げる。
  しかし、海の手前で落ちてしまった。

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