恩暮呂堂の 貧乏絵師

福山 詩(フクヤマ ウタ)

6大江戸噂物語(脚本)

恩暮呂堂の 貧乏絵師

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〇城下町
  猫のヤマブキを摺師に迎えた 惣七
  
  それはさておき なんだか焦っている男が一人
兼巻さん「はぁ、はぁ! あの容姿はまさしく小豆洗い!」
兼巻さん「いやいや冷静になれ 妖怪など、いるはずが」
化け蜘蛛「シャー!!! (いやぁ~ やっと縁の絵から出られたわ!)」
河童「浮世最高じゃんな! もう絵には戻れない的な!?」
兼巻さん「・・・・・・・・・・・・」
「ぎゃあーーーーー! でたーーー!やっぱり妖怪だー!」

〇屋敷の門
兼巻さん「これは 夢か 幻か それとも誰かに呪われたか??」
兼巻さん「誰が 私を呪う? ・・・惣七君か!?」
兼巻さん「しかしあれは仕様がなかった! 絵の金額の取り分を私が決めることも、惣七君は納得していた!」
兼巻さん「何を今更・・・わ!」
兼巻さん「何に躓いたんだ? これは・・・三両!?」
  兼巻の脳裏によぎったのは
  縁の絵を三両で売り、三文を惣七へ
  渡したことだった
兼巻さん「どうしてこんな所に三両が? まさか・・・惣七君の呪い?」
惣七「うおお~縁~ 眠いし、早く帰ろうぜ~」
兼巻さん「ぎゃー----!」
惣七「誰かいんの?」
惣七「あれぇ! 兼巻さん!?」
縁(えにし)「惣七、ここはヤマブキが崋山先生の本を盗んだ家の前だ まだアンタの 三両が転がってるよ」
惣七「あ! まだ金を道端に!」
縁(えにし)「アンタが受け取ればいいじゃないか」
惣七「いいの! この金は受け取らないんだよ! それより兼巻さんが気絶してる」
ヤマブキ「くんくん こいつ 生きてるよ」
惣七「当たり前だろ ほら 恩暮呂堂に運ぶぞ ほっておけないだろ」

〇祈祷場
  私は惣七君から三両を奪ったのではない
  
  商売とはこうゆうものだ、
  ということを教えようとしただけだ
惣七「兼巻さん しっかり!」
兼巻さん「うーん、惣七君!? 良かった!君を探していたんですよ!」
惣七「落ち着けよ! あんた道端に倒れてたんだぞ」
兼巻さん「小豆洗いや河童の幻覚が見えたんだよ 恐ろしかったなぁ」
惣七「縁!お前の描いた妖怪画なんじゃないのか?」
縁(えにし)「あ〜思い出した 描いたね そういや」
兼巻さん「そんなことより、大変なんだ! 縁の絵を売ってくれ 金はいくらでも払う」
惣七「な、なんだよいきなり (縁の絵の妖怪はみんな逃げ出したから) 譲れる絵はないよ」
兼巻さん「そんな切傷な! あの時の分配方法を怒っているのか? 絵がだめなら 縁を連れてきてくれ!」
惣七「え?縁は (ずっと兼巻さんの目の前にいるのに見えていないんだ)」
縁(えにし)「ああ 残念だねぇ この旦那はアタシが見えないらしい」
惣七「兼巻さん 言いにくいんだけど 縁には会えないと思う (というか見えてないから)」
兼巻さん「そんな あの時の仕返しか!悪かったよ!惣七君! お願いだから許してくれ!」
兼巻さん「君の好きな額でいいから 縁と合わせてくれ! 絵を譲ってくれぇ!頼む でないと私は・・・」
惣七「ちょちょ 落ち着きなよ! 一体なにがあったんだよ!」
兼巻さん「先日 お客様に売った縁の絵を見た方が 買いたいと言い出してね」
兼巻さん「その期限が明日までなんだよ」
兼巻さん「明日までにもし絵を用意できなければ 私は命がないかもしれない」
惣七「え? 何でそんなことに」
兼巻さん「お客様と約束したのです 明日までに縁を連れて来ると」
惣七「なんでまたそんな 出来るかわからない約束を」
兼巻さん「私だって 弁明しようとしたが 全く話を聞いてくれなかったんだよ!」
兼巻さん「ああ、もう終わりだ」
惣七「・・・」
惣七「その人のところに会わせてくれ」
兼巻さん「え?まさか惣七君ついてきてくれるのか」
惣七「せめて 縁の絵を紹介した 俺が行かないと 兼巻さんひどい目にあわされそうだからな」
兼巻さん「ありがとう!恩に着るよ 明日店に来てください」
縁(えにし)「惣七アンタ、商売人には向いてないよ」
惣七「五月蠅せぇな、いいんだよ それより縁、絵から逃げた妖怪達 どうするんだよ」
縁(えにし)「ああ あの子達ね 時期戻ってくるさ」
惣七「ほんとかよ」

〇畳敷きの大広間
兼巻さん「惣七君、一緒についてきてくれるだけでも 心強いよ」
惣七「あ! 来たぞ!」
異国の民「して 縁の絵はどこだ? 早く見せよ」
惣七「実は縁の絵は用意がありません」
異国の民「なに? ないと申すか! 私との約束を破り追って! 私を侮辱する気か?」
惣七「いえ! もっと凄い絵を制作中でございます」
異国の民「ふむ 凄い絵か」
異国の民「よかろう そうゆうことなら致し方ない」
惣七「ええ、お待たせしてしまったので 無料でお渡しします」
異国の民「出来上がったらすぐにこちらへ届けるように 私は気が長い方ではない」
惣七「はい!わかりました!」
兼巻さん(良かった、惣七君が丸く収めてくれた)
異国の民「しかし 秀仙堂よ! 約束を破ったな」
兼巻さん「ひええ! なんでもします! どうか命だけはお許しください」
異国の民「なんでも ふん、ならばうちの雑用をさせてやろう」
兼巻さん「はい!」
異国の民「私は自国の茶器で商売をしている 取り扱っている種類は数千に上る」
異国の民「この茶器を一つずつ磨き上げ 梱包をしておけ よいな」
兼巻さん「はは!」

〇畳敷きの大広間
兼巻さん「惣七君 どうやら命は免れたようだ ありがとう」
惣七「良かったですね それにしても この茶器の量 凄いな これを全て梱包か」
兼巻さん「ちょっとした 嫌がらせくらいなら 可愛いもんさ」
惣七「・・・」
惣七「兼巻さん! さっき俺に礼がしたいと言ってましたね!」
兼巻さん「ああ、なんだい? 報酬でも出そうか?」
惣七「金じゃねぇよ! 俺も茶器の梱包手伝いますから! じゃあ明日!」

〇畳敷きの大広間
  次の日
兼巻さん「さて 茶器は一通り磨き終わりました 次は梱包を」
惣七「お待たせ!」
兼巻さん「惣七君!」
惣七「兼巻さん!茶器なんだが うちで用意した紙で梱包させてくれよ」
兼巻さん「ああ、いいですけど ?」
「じゃあ よろしく!」
兼巻さん「梱包の紙・・・ 何か描いてある?」
兼巻さん「これは!」

〇祈祷場
  それは 昨日の出来事
小豆とぎ「よ!縁、戻ったぞい」
「ただいまー」
縁(えにし)「アンタたち もう帰って来たのかい」
化け蜘蛛「そうそう やっぱアンタの絵の中が居心地よくてさ」
縁(えにし)「出たり入ったり いつも忙しい子達だね」
惣七「縁! 頼みがある!」
惣七「あ!絵から逃げた妖怪達! 自分で戻ってきたのか?」
縁(えにし)「そうさなんだかんだ アタシの絵の中は居心地が良いらしくてね」
惣七「自分で戻ってこれるなら 初めからそう言ってくれよ!」
縁(えにし)「いや~惣ちゃん必死に探そうとしてたから 言い出せなくなってね」
惣七「なんだよそれ まあ でもこれで あのお客さんに絵を渡せそうだな」
縁(えにし)「それで? 頼みってなんだい?」
惣七「そうだ縁! 街から恩墓呂堂までの地図を描いてくれ!」
惣七「ヤマブキ!仕事だ! 彫も少しは出来るか?」
ヤマブキ「んーまあ 簡単なものなら」
ヤマブキ「で 何を彫る?」
惣七「地図だ! 街から恩暮呂堂までの! 勿論、縁の絵付きで!」
惣七「茶器の梱包紙に地図を描いて 恩墓呂堂を宣伝するんだよ!」
惣七「茶器を買った人達が 包み紙を見て 恩暮呂堂に来てくれるかも!」
縁(えにし)「ふぅん」
縁(えにし)「そんなにうまくいくもんかね」
惣七「やってみないと分からないだろ! ほら、早く!」
ヤマブキ「あの この際 彫師の募集でもしたらどう?」
惣七「・・・」
惣七「それ良いな! ヤマブキ、凄いぞ!」
ヤマブキ「うん やっぱ 彫師いないと ヤマブキだけじゃ無理ある」
惣七「よーし 早速取り掛かるぞ!」

〇畳敷きの大広間
兼巻さん「恩暮呂堂 〇月×日 開店 天才絵師 石鎚 縁による 「妖怪画 浮世絵専門店」 至急 腕の立つ彫師来られたし」
兼巻さん「・・・」
兼巻さん「フッ 恩暮呂堂か、縁起の悪い名前だ」
兼巻さん「確か 妖怪の絵を集めているお客さんが 数名いたなぁ 声をかけてみるか」
  茶器の梱包紙を広告にするとは
  
  考えたね 惣七
  彫師の募集もしてたみたいだけど
  
  そんなにうまくいくもんかね
  続きはまたのお楽しみ

次のエピソード:7千羽の恩返し

コメント

  • 兼巻さんが程々に懲らしめられて好い感じ。
    んで、惣七覚醒モード。
    きっとこれは「どえらい」何かと触れたのでは?
    (個人の感想です)

    さてさて、続きは?

  • 浮世最高~⤴️妖怪達可愛い😂

  • おおー、アイデア!😆
    茶器の包み紙、基本道楽好きの金持ちの家に行きますもんね!
    彫師は誰が加わるのかな?
    ヤマブキちゃんは相変わらず可愛い💕

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