〇教室
　　─文化祭・翌日─
　　─昼休み─
岸野　俊介「栗ちゃーん！お昼食べよー！」
栗木田　真衣「ご、ごめん！ 今日はよっちゃんと外で食べるんだ！」
栗木田　真衣「ま、またねー！」
岸野　俊介「なぁ、ひっさ、」
岸野　俊介「俺、栗ちゃんから避けられている気がする！」
威流　緋雨「何かしたのか？」
岸野　俊介「そ、それは、」
岸野　俊介「文化祭で、告白しようとした」
岸野　俊介「誰かさんに邪魔されたけど～」
威流　緋雨「ごめん、岸野。 たぶん俺だ」
岸野　俊介「な、何かあったのか!?」
威流　緋雨「いや、何ってほどでもないが」
威流　緋雨「どんな人が好きなのか聞いたら、逃げられた」
岸野　俊介「お、お前も、栗ちゃんのこと好きだったのか!!?」
威流　緋雨「ち、違う！」
岸野　俊介「なんだよー。 前は好きじゃないって言ってたのに」
威流　緋雨「だから違う!! さっきのは成り行きで!!」
威流　緋雨「ま、待て!!岸野!!」
威流　緋雨（あー。何でこんなことに・・・）

〇学園内のベンチ
田中　よしこ「あたしとご飯なんてめずらしいね～」
田中　よしこ「何かあったん？」
栗木田　真衣「えー、っと・・・」
栗木田　真衣「よっちゃんはさ、今まで友達だと思ってた人が、」
栗木田　真衣「好きな人に、急になってたらどうする？」
田中　よしこ「それってひっさのこと？」
栗木田　真衣「ち、ちがっ、」
栗木田　真衣「うそ。そう・・・」
田中　よしこ「えぇやん。 好きな人で、友達」
田中　よしこ「一石二鳥や！」
栗木田　真衣「そっか！好きな人だからって！ 友達じゃなくなるわけないもんね！」
田中　よしこ「くりちーはむずかしく考えることあるからな」
栗木田　真衣「うん。好きな人、って思ったら」
栗木田　真衣「どう接していいのか分かんなくなって・・・」
栗木田　真衣「でも、よっちゃんのおかげ！」
栗木田　真衣「友達関係のまま！ 好きだってありだよね！」
田中　よしこ「くりちーは、そうやって笑ってるのが一番よ！」

〇住宅街の道
　　─部活帰り─
「・・・」
岸野　俊介「ひっさ、昼休み、」
岸野　俊介「ごめん」
岸野　俊介「なんか嘘つかれてる気がしてさ」
岸野　俊介「ちょっとムッとしちゃった！」
威流　緋雨「嘘、って・・・」
岸野　俊介「ひっさも栗ちゃんのこと好きだろ？」
威流　緋雨「・・・」
岸野　俊介「ほんと素直じゃねーなー」
岸野　俊介「あんなに好意よせられて、好きにならないわけないだろ？」
威流　緋雨「正直、」
威流　緋雨「困ってる」
岸野　俊介「はぁ!?どういうことだよ!?」
威流　緋雨「岸野は栗木田が好きだろ？」
岸野　俊介「俺のこと気にしてんのか!? そんな心せまくねぇよ!!」
威流　緋雨「そうか、じゃぁ・・・」
威流　緋雨「そういうことにしといてくれ」
岸野　俊介「じゃぁ、改めて」
岸野　俊介「負けないからな！ どっちが栗ちゃんと付き合えるか！」
威流　緋雨（好きだ、なんて言葉にする資格）
威流　緋雨（俺にはない・・・）

〇おしゃれなリビングダイニング
　　─威流楓が転校して─
　　─１ヶ月─
　　─11月中旬─
アナウンサー「東諸国と西諸国の一部地域で始まった戦争は、今現在も続いております」
アナウンサー「それにより、輸入している食品の価格にも、影響が出てきています」

〇渋谷駅前
　　─その頃の渋谷─
　　食料自給率を上げろー!!!
　　今にこの国にも!!
　　食料規制がかかるぞー!!
「・・・」

〇おしゃれなリビングダイニング
　　─さらに１か月後─
　　─12月17日─
アナウンサー「東諸国と西諸国の、戦争被害地域は、さらに拡大する一方です」
アナウンサー「抗議活動は、今もなお、渋谷で行われていますが、」
アナウンサー「抗議活動の禁止が、法令となっておりますのでご注意ください」

〇渋谷駅前
　　この国も東に加担しろ!!
　　でなきゃ孤立するぞ!!
　　もう戦争は始まってんだぞ!!!
警察「デモ行為は11月から禁止された!!」
警察「抗議声明は直ちに控えるように!!!」
「言論の自由はどうなってる!!!?」
「そうやってこの国もまた戦争を始めるのか!!!」
警察「いい加減にしろ!!!」
「そ、そんな物を国民に向けるのかっ!!!」
デモ隊「撃ったぞ!!こいつ!! 国民に向かって!!」
警察「牽制だ!! デモ抗議による発砲の許可は下りてる!!」

〇おしゃれなリビングダイニング
威流　緋雨（俺とあいつが離れても。 世界は止まらない）
アナウンサー「っ、ただいま、速報が入りました」
アナウンサー「これまで中立を維持してきたこの国に対して、東諸国が、食料規制をかけることが決まりました」
アナウンサー「繰り返します、これまで中立を」
威流　緋雨（それどころか・・・ 世界はますます悪くなるばかりだ）

〇一軒家の玄関扉
威流　緋雨「何の用だ!?」
国乃景「なぁ。どうして世界の悪化は止まらない？」
威流　緋雨「そんなの！こっちが知りたい！」
国乃景「もしかして・・・ もう３人目と接触してるとか？」
威流　緋雨「・・・」
国乃景「まぁ、いいや」
国乃景「ごめんね」
国乃景「さて、こいつもバケモノだから、さっさと運んで・・・」
威流　楓「どうも～♪」