万引きおばさん(脚本)
〇一人部屋
中野(結局あの後、瑠璃に連絡先を教えた。だがそれから数日経っても何の連絡も来ない)
中野(ロリにからかわれただけで雇う気なんてないんじゃ・・・?)
中野(まあどっちでもいいけど)
中野はテレビの電源を入れた。
グルメ番組でアイドルがお好み焼きを食べて美味しい!!とリアクションしている。
中野「美味そうだな。お好み焼き」
中野「今日の晩飯は、お好み焼きにするか」
中野は買い物に出かけた。
〇スーパーの店内
中野(えーと・・・)
中野「キャベツ」
中野「それから青ねぎ」
中野「豚バラ薄切り肉」
中野「紅しょうが」
中野「揚げ玉」
中野「おろし長いも」
中野「薄力粉」
中野「あっ、お好み焼きソースあったっけな。一応買っておくか」
中野「マヨネーズ。やっぱりマヨがないとな」
中野「青のり」
中野「・・・まあこんなもんか」
選択屋・瑠璃「焼きそば!!」
中野「うわぁああああ!!!!」
選択屋・瑠璃「私、モダン焼きがいいです。焼きそば入れてください」
中野(ま、またいつの間にか後ろに・・・!! 背後を取られた!!)
中野「お、脅かすな!!」
選択屋・瑠璃「テレビで見た物が欲しくなるんですよね。美味しそうでしたもんね」
中野「・・・お前もテレビ見てたのか?」
選択屋・瑠璃「いえ、中野さんの心の扉から、覗き見してました。私、人間観察が趣味なんです」
中野「俺は自分の部屋でくつろいでたんだぞ。心の扉から見るのはやめろ!!悪趣味な奴だな」
選択屋・瑠璃「いえ。別に中野さんがアイドルの斎藤アリアちゃん可愛いな。あんな子とお好み焼きデートしたいな」
選択屋・瑠璃「ほら、青のり口元に付いてるよ。取ってあげるよ。って言って顔を触ってる妄想を否定したりはしませんよ」
中野「やめろやめろ!!こんなスーパーの店内で大声で人の妄想を公表するな!!」
中野「それで何の用だよ」
選択屋・瑠璃「だから私はモダン焼きがいいという事を伝えに来たんです」
中野「なんでお前も食う事前提になってんだよ」
選択屋・瑠璃「いいじゃないですか。どうせ寂しい男子大学生の一人暮らし。彼女もなし」
選択屋・瑠璃「私のようなセクシーな美女が、たまには一緒にご飯食べてあげようというんですから感謝してください」
中野「どこがセクシーなんだよ。お前と程遠い言葉だろ。ロリなんだから」
選択屋・瑠璃「私はロリじゃない!!瑠璃です!!まだ絶賛成長期の最中なんです!!」
選択屋・瑠璃「そのうちボンキュッボンになるんです!!」
中野「はいはい・・・」
選択屋・瑠璃「後、これも忘れてます」
中野「ん?なんだ、これ?牛乳ときなこ?」
中野「・・・っておい!! 勝手にカゴに入れるな!!」
中野「何やってんだよ」
中野「・・・って。あれ?」
万引きおばさん「・・・・・・」
中野「あっ・・・」
選択屋・瑠璃「気付きましたか。今回の選択は、あのおばさんです」
中野「ああ。あのおばさん。心が汚れてるな。でもどうして?」
選択屋・瑠璃「もう少し様子を見ましょう」
おばさんは、自分の鞄の中に商品を入れた。
中野「万引きだ」
選択屋・瑠璃「慣れた手つきですね」
中野「常習犯か。よし、声をかけて・・・」
選択屋・瑠璃「待ってください」
中野「どうして?」
選択屋・瑠璃「まだ店の中です。商品を持ったまま外に出て万引きが確定してから捕まえましょう」
中野「わかった」
万引きおばさん「・・・・・・」
〇スーパーマーケット
万引きおばさん「・・・・・・」
中野「ねえ、おばさん。お金、払ってないのあるよね?」
万引きおばさん「な、なにあんた。さあ?何のこと?」
中野「とぼけないで。俺バッチリ見てたんだからね」
中野「どうする?店の人呼ぼうか?それとも警察がいいかな?」
万引きおばさん「・・・チッ」
選択屋・瑠璃「逃げないでください」
中野「おばさん。選択物が溜まってるぜ?」
万引きおばさん「はぁ?洗濯物?何の話?」
中野「心の汚れの事さ。瑠璃!!」
瑠璃は素早く万引きおばさんの頭に選剤をふりかけた。
そして息を吹きかけた。
万引きおばさん「な、何!?今のキラキラしたものは!?」
万引きおばさん「わ、私・・・。なんてことを・・・」
中野「忘れてたんだろ? 早く会計してきなよ、おばさん」
万引きおばさん「そうね。ちゃんとお店の人に謝らなきゃ・・・」
中野「・・・上手くいったな」
選択屋・瑠璃「はい。上手くいきました」
中野「良い事すると気持ちいいな」
選択屋・瑠璃「中野さん。私、おなか空きました」
中野「ったく。仕方ないな。 帰ってお好み焼きパーティーだ」
選択屋・瑠璃「私、モダン焼きでお願いしますね」
〇一人部屋
選択屋・瑠璃「ここが中野さんの部屋ですか」
中野(やべえ。女の子を部屋にあげちまった。・・・ってのに全然緊張しねえ)
中野(ロリだもんな)
選択屋・瑠璃「ロリじゃない。瑠璃です」
中野「だから人の心の中を読むなぁあ!!」
選択屋・瑠璃「そんな事より早くお好み焼き焼いてください」
中野「わかったよ、うるせえなー」
それから中野と瑠璃は、お好み焼きを楽しんだ。
中野「ふぅー、食った食った。満足だ」
選択屋・瑠璃「美味しかったですね」
選択屋・瑠璃「では、デザートのきなこ団子を」
中野「おっ、作ってくれるのか。サンキュー」
選択屋・瑠璃「作って下さい」
中野「えー、俺が作るのかよ。自分で作れよ」
選択屋・瑠璃「そうですね。やっぱりいいです。自分好みに作る方がいいです。きなこ団子はコツがいるので、素人には難しいんです」
中野「素人って・・・。きなこ団子くらい簡単だ。作ってやるよ」
選択屋・瑠璃「はい、お願いします。私はくつろがせてもらいますので」
中野(あれ?俺、もしかしてうまく乗せられた?)
中野さんと瑠璃ちゃんの会話に笑ってしまいます。心を読めることがこんなアドバンテージになろうとは!それと、無性にお好み焼きが食べたくなってしまいましたw