ダブル・フェイカー

R・S・ムスカリ

エピソード3 ─聖域─(脚本)

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〇小型船の上
神城聖太「今日もいい天気だなぁ」
シスター・マーダ「そうですね。 聖域まであともう少しです」
  ──次のニュースです
  先日、収容先の病棟から脱走した男児連続誘拐殺人犯ですが、現在も足取りがつかめていない状態です
  警視庁は都内から関東全域にまで捜査の範囲を拡げ──
船頭「・・・やれやれ。 東京は怖い事件が多いねぇ」
  これを受けてPTAから──
  専門家による──
  犯人の女を全国指名手配に──
シスター・マーダ「船頭さん。 島まであとどのくらいでしょうか?」
船頭「んあ? なんだって、お嬢さん」
  続いてのニュースは、最近小学生の間で話題になっているテラーマンについてです
  なんとこのテラーマン、ある港町で住人に目撃されており──
シスター・マーダ「・・・ラジオを消していただけますか」
船頭「ああ! ちょっと音量うるさかったかね」
シスター・マーダ「島まであとどのくらいでしょうか?」
船頭「んん~、そうだなぁ。 あと30分もすれば港に着くと思うよ」
シスター・マーダ「ありがとうございます」
船頭「ところでお嬢さん。 お名前、マーダさんつったっけ」
シスター・マーダ「はい」
船頭「外国人さん? にしては、日本語うまいねぇ」
シスター・マーダ「・・・」
神城聖太「あっ! カモメだぁ~!」

〇島
神城聖太「あれが聖域のある王弩島(おうどしま)?」
シスター・マーダ「そうです。 あの島こそが私たちの目的地です」
神城聖太「長かったなぁ。 二週間くらい掛かったよね」
シスター・マーダ「・・・テラーマンを警戒して、いろいろ遠回りしてきましたから」
神城聖太「あの島にいれば、テラーマンはもう追ってこないんだよね?」
シスター・マーダ「・・・そのはずです」
神城聖太「そ、そのはずって・・・!? そんなぁ!」
神城聖太「本当に大丈夫? シスター・マーダは僕の傍にはいてくれないんだよね?」
シスター・マーダ「・・・」
シスター・マーダ「心配はいりません。 私がきみの傍にいますから」
神城聖太「でも、シスター・マーダはテラーマンをやっつけに戻るんじゃ・・・」
シスター・マーダ「本州にも仲間はいますから、テラーマン討伐は彼らに任せてしまいましょう」
神城聖太「それって──」
シスター・マーダ「きみの傍にいます。 いつまでもずっとずっと」
神城聖太「本当っ!?」
シスター・マーダ「本当です。 だから安心してください」
神城聖太「よかったぁ~!」

〇白
船頭「──久しぶりに上陸したが、相変わらずつまらない島だなここは」
シスター・マーダ「船頭さん。 急遽送っていただき、助かりました」
船頭「ああ、まぁ、船が空いてたしな。 それに・・・」
シスター・マーダ「少し気が早いのでは?」
船頭「あの子は街の方に行っちまったし、別にいいじゃないか。なぁ?」
シスター・マーダ「・・・そうですね」
船頭「へへっ。 あんたみたいな美人に頼まれたら、断れる奴なんていやしねぇよ」
シスター・マーダ「でしょうね。助かりました」
船頭「おまけにこんな報酬を──」
船頭「え?」
シスター・マーダ「汚らわしい手で私に触れるな」
船頭「お、お前、いったい・・・」
シスター・マーダ「私の肌に。私の心に。触れることが許されるのは、純粋で心の澄んだあの子だけ」
神城聖太「シスター・マーダーッ!! 早く来なよ~~っ!!」
シスター・マーダ「はい。 すぐに行きます、聖太くん」
シスター・マーダ「すぐに・・・」

〇閑静な住宅街
神城聖太「静かでホッとする街だね。 東京とはぜんぜん違うや」
シスター・マーダ「ええ。 潜伏するには都合がいい」
神城聖太「え?」
シスター・マーダ「なんでもありません」
神城聖太「ところでシスター・マーダ。 聖域ってこの島のどこにあるの?」
シスター・マーダ「・・・えぇと。 この島そのものが聖域なのです」
神城聖太「普通の日本と変わりないけど、ここで暮らしてる人たちって異世界と関係あるの?」
シスター・マーダ「・・・」
神城聖太「シスター・マーダ?」
シスター・マーダ「この地の人間には、アガルタ・マルダとの繋がりは秘密にされているのです」
神城聖太「へぇ~。しばらく島から出られないなら、調べてみようかな」
シスター・マーダ「・・・私がいろいろ教えてあげますよ」

〇荒廃したビル
シスター・マーダ「こちらです、聖太くん」
神城聖太「シスター・マーダ。 こんなところに何かあるの?」
シスター・マーダ「あのビルが聖域の中心なのです。 街を歩いているより安全ですよ」
神城聖太「そうなんだ~」
シスター・マーダ「草が伸びきっていますね。 転ばないように気を付けて」
神城聖太「うん!」
シスター・マーダ「・・・」
シスター・マーダ「ふ・・・ふふ・・・」
シスター・マーダ「うふふふふっ」
  もう・・・
  もう我慢できないっ!!
  ──to be continued.

次のエピソード:エピソード4 ─雨の降る日─

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