エピソード4 ─雨の降る日─(脚本)
〇荒廃したビル
テラーマン「・・・」
〇廃墟の廊下
テラーマン「・・・」
シスター・マーダ「こんなところまで追ってくるなんて。 あなた、ストーカーなの?」
テラーマン「・・・あの、子は、どこ、だ」
シスター・マーダ「あら。 あなた普通にしゃべれたのね」
テラーマン「私、には、わか、る。 お前、の、本性、が・・・」
シスター・マーダ「あなたのような化け物に何がわかるの」
テラーマン「わか、る、さ。 お前の、目は、奴らと、同じ、だから」
シスター・マーダ「奴ら? 同じ?」
テラーマン「私、を、こんな、体に、改造した、者たち・・・奴らと同じ、目だ」
テラーマン「希望と、慈愛を、騙り、手を、差し伸べてくる、悪魔。奴らと同類・・・狂人の目!」
シスター・マーダ「ふぅん、そう。 あなたはまがい物のテラーマンだったの」
テラーマン「まがい物、は、どっち、だ。 怪物の、本性は、隠し、きれん、ぞ」
シスター・マーダ「・・・醜い化け物がよく吠える」
シスター・マーダ「私とあの子が結ばれるのは運命。 それを邪魔する奴は、ぶち殺す」
テラーマン「あの山、に、逃げ込み、偶然、出会った。 ただ、それだけの、少年、だが──」
テラーマン「──私の、ような、犠牲者は、もう、二度と、出させは、しない!」
シスター・マーダ「部外者のくせにしゃしゃり出て・・・。 もういいわ、死んで!」
テラーマン「グワッ!!」
シスター・マーダ「まともに人前を歩けない存在が、私とあの子を引き離そうとするなんて!!」
シスター・マーダ「私の愛する人を奪おうとするゲス!!」
シスター・マーダ「死ねっ! 死ねぇっ!!」
テラーマン「ガッ・・・!」
シスター・マーダ「うっ!!」
テラーマン「ハァッ、ハァッ・・・」
シスター・マーダ「よくも私の体に傷を! まだあの子に捧げる前なのに!!」
テラーマン「ナム・コ・キマ・ヲ・コノア・ニウソ・ウモ・ノンジ・ウヨ・キウヨ・ジイ・レコ!!」
シスター・マーダ「あ・・・ぐっ」
テラーマン「レヤ・テ・シエカ・ヘト・モ・ノンシ・ウヨリ・ロシ・ウホイ・カヲ・コノア!!」
シスター・マーダ「あの子は私のものだ! 誰にも、誰にも渡さないっ」
テラーマン「メ・ツブイ・カ・カエタ・コ・ガレソ!」
シスター・マーダ「せ・・・せい・・・た・・・」
テラーマン「ダ・メドト!」
シスター・マーダ「があああっ!!」
テラーマン「ギャアァッ!!」
シスター・マーダ「はぁっ、はぁっ・・・」
シスター・マーダ「やっとくたばったわね、化け物」
テラーマン「ま、負けられ、ない・・・!」
シスター・マーダ「ほ、本当に人間じゃないの!?」
シスター・マーダ「聖太・・・」
テラーマン「・・・」
神城聖太「シスター・マーダ? 一体何の騒ぎ・・・」
テラーマン「・・・」
神城聖太「ひっ!」
シスター・マーダ「聖太。逃げなさい・・・」
神城聖太「シスター・マーダ!?」
シスター・マーダ「ここにいては、ダメ。 逃げるのよ・・・」
神城聖太「い、嫌だよ! どうしてこんな・・・マーダ!!」
シスター・マーダ「愛しているわ。 あなたのことを、いつまでも」
神城聖太「マーダ、死なないで! 僕を置いていかないでよぉ!!」
シスター・マーダ「わ、私のことを忘れないで。 いつもあなたの、傍に、いる、か・・・」
神城聖太「マーダ?」
神城聖太「嘘だ・・・マーダ・・・!」
神城聖太「嫌だよ、マーダァーーッ!!」
テラーマン「・・・せい、た、くん」
神城聖太「寄るな、化け物っ!!」
神城聖太「それ以上近づいたら、斬り殺してやるっ」
テラーマン「・・・」
テラーマン「その女の、こと、は、忘れ、なさい」
神城聖太「化け物のくせに! 僕とマーダの何を知ってるんだ!?」
テラーマン「・・・ご両親の、もとに、帰りな、さい」
神城聖太「・・・!?」
神城聖太「ま、待てよっ!」
神城聖太「僕は絶対にお前を許さない! いつか必ず僕がやっつけてやる!!」
テラーマン「まがい物、でも、意味はあった、か」
神城聖太「な、何言ってんだよ!?」
テラーマン「近い、将来、私の、ような、怪人、が、数多く、現れる、だろう」
神城聖太「数多く・・・!?」
テラーマン「彼らを、倒せる、力を、持った、者が、必要、だ」
テラーマン「きみなら、あるい、は」
神城聖太「意味がわからない・・・」
神城聖太「何なんだよ、お前はっ!?」
テラーマン「私、は、悪の組織の、尖兵。 名前も家族も失った、人、ならざる、者」
神城聖太「・・・」
テラーマン「私を、倒したい、なら、強く、なれ。 そして、人々の、ために・・・」
テラーマン「レク・テツ・ヤテシウ・ホイ・カ・テシ・ロコ・ヲノモ・ナウ・ヨノシタワ」
神城聖太「?」
神城聖太「待て! 待てよっ!」
神城聖太「テラーマン!!」
〇荒廃したビル
神城聖太「テラーマンッ!!!!」
〇東京全景
──次のニュースです
先月、収容先の病棟から脱走した男児連続誘拐殺人犯、間多聖奈(まだせいな)ですが、王弩島で遺体が発見されました
遺体には銃創の痕が見られ、警視庁は暴力団との関係を──
〇渋谷の雑踏
──続いてのニュースです
最近小学生の間で話題になっている怪人目撃談についてです
今月に入って目撃例が増えている怪人ですが、その正体は依然判明しておりません
彼らは火を吹いたり、怪力を持っていたりと、まるで人間ではないような──
〇渋谷のスクランブル交差点
──本日最後のニュースです
人気アニメ、アガルタ・マルダ戦記の映画化が発表され、渋谷駅前の大型ビジョンに特別映像が流されました
渋谷にはヒロインのシスターや、主人公の少年のコスプレイヤーが殺到しており、警察が規制する事態に──
〇川沿いの公園
クラスメート「おーい、聖太~」
神城聖太「・・・」
クラスメート「空を見上げたまま、何してんだよ?」
神城聖太「いや、雨が降るなと思って」
クラスメート「雨? ああ、確かに曇ってきたなぁ」
神城聖太「・・・」
クラスメート「聖太。 なんかお前さ・・・」
神城聖太「何?」
クラスメート「家出から帰ってきてから、大人っぽくなったよな?」
神城聖太「そうかな」
クラスメート「ん~・・・」
クラスメート「気のせいかも!」
神城聖太「何それ」
クラスメート「スカイツリーの方に怪人が出たって友達が言ってたんだ。一緒に見に行こうぜ!」
神城聖太「怪人か・・・」
神城聖太「わかった。行くよ」
クラスメート「よっしゃ、行くぞぉー!」
神城聖太「・・・」
神城聖太「雨は嫌だな。雨が降ると思い出すんだ。 嫌なことも、楽しかったことも」
神城聖太「でも、だからこそ忘れずに済む。 ただの思い出になんてしない」
神城聖太「テラーマンのことも。 あの人のことも──」
──Thus ended his childhood.
シスターッ!!!喪失感えげつないですが、彼の幼少期の物語、面白かったです。