エピソード2 ─逃避行─(脚本)
〇川沿いの道
シスター・マーダ「ここまでくれば大丈夫でしょう。 聖太くん、車から降りてください」
神城聖太「ここはどこなんですか?」
シスター・マーダ「この世界における私の隠れ家があります」
神城聖太「隠れ家? かっこいい響きですね」
シスター・マーダ「夜も更けてきました。 今日は隠れ家で一夜を明かしましょう」
神城聖太「僕もついて行っていいんですか?」
シスター・マーダ「もちろんです。 きみを守ると誓った以上、傍を離れるわけにはいきません」
神城聖太「よかった!」
シスター・マーダ「参りましょう」
〇古いアパート
シスター・マーダ「こちらです」
神城聖太「うわぁ。古いアパートですね」
シスター・マーダ「この辺りは人気も少なく、異世界人である私が身を隠すのに都合がよいのです」
神城聖太「そうなんだ」
シスター・マーダ「私は立場上、近隣住人と顔を合わすことは避けなければなりません」
シスター・マーダ「ここでは、できるだけ静かに願います」
神城聖太「はい!」
〇古いアパートの一室
シスター・マーダ「お入りなさい」
神城聖太「・・・」
シスター・マーダ「どうしました?」
神城聖太「あ、その・・・。 女の人の部屋に入るなんて初めてで」
シスター・マーダ「そうですか。 気にする必要はありませんよ」
シスター・マーダ「今日は疲れたでしょう。 もうお休みなさい」
神城聖太「はい。 そうさせてもらいます」
神城聖太「・・・お、お休みなさい。 シスター・マーダ」
シスター・マーダ「お休みなさい」
〇古いアパートの一室
神城聖太「う~ん・・・」
神城聖太「・・・朝、か」
神城聖太「そうだ。僕はテラーマンから逃げるためにシスター・マーダの隠れ家に──」
シスター・マーダ「目を覚ましましたか」
神城聖太「し、シスター・マーダッ!?」
シスター・マーダ「どうしたのです、聖太くん? そんなに驚いた顔をして」
神城聖太「いえ、その・・・。 お、おはようございます」
シスター・マーダ「おはよう」
シスター・マーダ「起きて早々申し訳ないですが、これからの話をしましょう」
神城聖太「はい」
シスター・マーダ「テラーマンは今もきみを捜しているはず。 できるだけ都会から離れましょう」
神城聖太「どこまで逃げれば安全なんですか?」
シスター・マーダ「ここからしばらく北上した土地に、秘密修道院が管理する聖域があります」
神城聖太「聖域?」
シスター・マーダ「テラーマンのような悪鬼の類が入ってこれない聖なる土地のことです」
シスター・マーダ「きみにはしばらくそこに隠れてもらい、その間に私がテラーマンを倒します」
神城聖太「そ、それなら僕は安全ですね」
神城聖太「でも、僕はどのくらいそこに? 何日も家に帰れないと、父さんや母さんが心配しちゃう・・・」
シスター・マーダ「心配には及びません。 すでに私の仲間がご両親に接触しています」
神城聖太「えっ。本当ですか!?」
シスター・マーダ「秘密修道院は、すでにこの国の中枢とも繋がりがあるのです。安心なさい」
神城聖太「はい!」
シスター・マーダ「替えの服は用意してあります。 着替えたら出発しましょう」
神城聖太「わざわざすみません」
シスター・マーダ「それと、スマホは壊しておきましょう」
神城聖太「えぇっ!? な、なんでっ!?」
シスター・マーダ「電源を切っていても、テラーマンはごく微量な電波の残滓を追うことができます」
シスター・マーダ「スマホを持ったままでは、奴を撒くことができないのです」
神城聖太「そ、そうなんですか・・・。 残念だな」
シスター・マーダ「何がです?」
神城聖太「テラーマンの姿を写真に撮ったのに、それを捨てちゃうのが勿体なくて」
シスター・マーダ「なるほど。 しかし、命には代えられません」
神城聖太「その通りです。 ・・・はい、どうぞ」
シスター・マーダ「ありがとう」
シスター・マーダ「・・・聖太くん。 少し後ろを向いていてもらえますか?」
神城聖太「え? なんで?」
シスター・マーダ「着替えたいのです。 まぁ、見ていてもらっても構いませんが」
神城聖太「わわわっ! ご、ごめんなさいっ」
シスター・マーダ「・・・」
〇山間の田舎道
シスター・マーダ「聖太くん。 しっかりつかまっていてくださいね」
神城聖太「は、はい~っ!」
シスター・マーダ「いい風ですね」
神城聖太「はい!?」
シスター・マーダ「もっと飛ばします。 だから、もっと抱きしめてください」
神城聖太「は、はいっ!!」
──to be continued.
ドキドキの展開で面白かったです!シスターの寝衣にもドキドキ...💓