ep.2 地上の人(脚本)
〇荒れた競技場
謎の男「お前とそこの怪物は もう我が帝国のモノってことだ」
ラノ「そんな・・・」
謎の男「それにしても・・・ こんな怪物が実在するとはな」
カルディア「・・・」
ラノ「ルディに触るなよ!」
謎の男「鱗が逆立っていると刃のようだな 何を想定した造りなのか・・・」
ラノ「ルディに触るなってば!」
ラノ「ルディ、大丈夫?」
ラノ「ルディ?」
謎の男「・・・どっちが飼われてるのか知らんが 意志疎通はできるんだろうな?」
ラノ「僕らは友達だ! 話せるに決まってるだろ」
ラノ「ね、ルディ・・・わかるよね?」
カルディア「・・・」
ラノ「わっ──」
謎の男「おい! 全然ダメじゃねーか!」
ラノ「ど・・・どうしたんだ、ルディ!」
〇荒れた競技場
謎の男「おいおい、どうするんだよコレ」
ラノ「ルディ! 話を聞いて!」
謎の男「やべ──避けろ!」
ラノ「ルディ──!」
ラノ(なんだ──今の光? ルディに当たった・・・!)
〇荒れた競技場
ラノ「火が消えた・・・!」
ラノ(いや、それよりルディは──)
「ちょっと、お二人さん!」
謎の男「大丈夫ですか?」
ラノ「き、君は?」
クレム「俺はクレムと申します」
ラノ「名前はどうでもいいけど・・・ 今のは君がやったの?」
クレム「確かに俺がやりましたけど・・・ え、なんか怒ってます?」
ラノ「なんてことを・・・ ルディに何をしたんだ!」
クレム「えーと、俺は確かに火を消しましたけど ルディって・・・?」
ラノ「ルディはそこに倒れてる竜で 僕の大切な友達だ!」
ラノ「ルディ──!」
クレム「待って!」
ラノ「ちょっと、離せよ!」
クレム「今、竜を攻撃したのは── あそこにいる奴らです」
〇森の中
〇荒れた競技場
ラノ「あいつら、何?」
クレム「あれ、あなたの部下ですよねぇ?」
クレム「ロイさん」
ロイ「・・・クレム殿 確かにその通りだが──何か問題が?」
ラノ「じゃあ、君の仲間がルディを──!」
ロイ「全員消し炭になるところだったんだ むしろ感謝してほしいくらいだが?」
ラノ「だからって、あんな── 何をしたんだ!」
ロイ「何、何って──いちいち面倒な奴だな クレム殿にでも聞いてくれ」
ロイ「あの怪物、またいつ暴れるか・・・ あいつは拘束して連れていく」
ラノ「そんな勝手なことさせない!」
ラノ「ルディ!」
ラノ「ひどい傷だ・・・ ごめんね、僕が守れなくて」
ラノ「動ける? 逃げよう? 早く二人でどこかへ行くんだ──」
カルディア「・・・」
ラノ「僕の望みは叶えてくれるんでしょ?」
ラノ「僕はいろんなことを知りたいんだ・・・」
ラノ「君と一緒にね、ルディ」
カルディア「・・・」
カルディア「──ラノ・・・」
クレム「・・・ところでロイさん ちょっといいですか~?」
ロイ「・・・クレム殿、なにか文句でも?」
クレム「実は会話を聞いちゃったんですけど ここが帝国の領土だとか?」
ロイ「・・・あぁ、そんなこと言ったかな」
クレム「ここは先日、隣り合う国同士で 共同保全の取り決めを交わしたばかり・・・」
クレム「つまりそちらのファータガルト帝国と こちらのリカステア王国、共同の管理下です」
ロイ「・・・それで? 何が言いたい?」
クレム「侵入者の捕縛を、帝国側のロイさんだけに 任せるわけにはいかないってお話です」
ロイ「なるほど? 半分にして然るべきと・・・」
ロイ「じゃ、奴らの胴体真っ二つにして それぞれ国に持ち帰るか!」
クレム「それはちょっと困りますね~」
ロイ「・・・竜はうちがもらう 小娘は好きにしたまえ」
クレム「勝手な・・・まあいいとしますか」
クレム「ちょっと、お話しませんか?」
ラノ「・・・何?」
クレム「き、危害は加えませんから吠えないで!」
ラノ「大丈夫、やっと落ち着いたんだ・・・」
クレム「それはよかったです! 実は、提案がありまして──」
クレム「そちらの竜さんは帝国へ あなたはうちの王国へ来ませんか?」
ラノ「は、はぁ? 僕とルディが離ればなれに?」
クレム「そうです! それが一番いいです!」
ラノ「いいわけないだろ! 君は僕らの何を知ってそんなことを・・・」
クレム「空から来たんですよね?」
ラノ「え・・・」
ラノ「・・・見てたの? 君は空に国があることを知ってるの?」
クレム「まあ、その話は後々しましょう!」
クレム「とにかく今は、君は王国へ──」
ラノ「いや、行かないってば!」
クレム「でもほら、あっちは 竜さんを連れてく気満々ですよ」
〇森の中
〇荒れた競技場
ラノ「あっ──! ルディを離せ!」
クレム「待ってください!」
ラノ「何!」
クレム「王国にはあんな大きな生き物を 治せる術士はいないんです!」
クレム「だから今は帝国に任せましょう・・・ 奴らは竜を痛めつけたいわけじゃない」
ラノ「だったら僕もルディと帝国に行くよ!」
クレム「それはダメです!」
クレム「あなたまで帝国に行けば 二人ともいいように使われるだけです!」
ラノ「君は違うって言うのか? 僕はルディ以外信用できない!」
クレム「少なくとも俺は、君の事情を── 君が空から来たことを知ってます!」
クレム「そして、空に国があることも・・・ これを知ってるのは俺くらいです」
クレム「だからあなたは王国に来て、俺と一緒に 準備をしてからお友達を迎えに行きましょう」
ラノ「そんな・・・」
ラノ(そんな都合のいい話を 何も知らない僕に信じろって?)
ロイ「盾を張れ! 森に火を移らせるな!」
〇森の中
〇荒れた競技場
ラノ「また、ルディが──!」
クレム「近付いたら危ない!」
ラノ「でも、僕は──!」
ロイ「竜を拘束しろ!」
ラノ「ルディ!」
ラノ「──クレム、 君が嘘をついてるとは思わないよ」
ラノ「でも僕は・・・ ルディと一緒にいたいんだ!」
クレム「あっ──」
ラノ「ルディ!」
ラノ「大丈夫だよ、大丈夫だから──」
ラノ「ルディ、止まって・・・」
〇黒
(・・・)
(あれ・・・真っ暗だ・・・)
「・・・ルディ、は・・・?」
「・・・大丈夫」
「今は、休んでください・・・」
(あ、ダメだ・・・意識が・・・)
「・・・ルディ・・・」
2話目にして苦しい展開!
ルディとラノは離れ離れにされてしまったのでしょうか(;_;)ルディ、帝国側に行ってしまうとまた暴れてしまいそうですね。ラノとの絆、忘れずにいてほしいです。二人を応援しています。
クレムは悪い人ではなさそうですが、味方なのかどうなのか……。続きも楽しみにしています。