エピソード4.真剣乱舞(しんけんらんぶ)(脚本)
〇道場
麗は越智先輩に剣道場へ案内してもらうが、
そこに待っていたのは──
原沖 麗(はらおき れい)「ここが、寒来(さむらい)高校の剣道場・・・」
原沖 麗(はらおき れい)「えっ?」
なんでいるの!?
道着まで着てるし!
月代 卒太(さかやき そつた)「麗さん、いらっしゃると思ってました! そして待っていました、越智虫哉」
越智 虫哉(おち むしや)「君は、入部希望か?」
月代 卒太(さかやき そつた)「はい」
越智 虫哉(おち むしや)「剣道の経験は?」
月代 卒太(さかやき そつた)「3年ほど」
越智 虫哉(おち むしや)「なるほど、多少の心得は期待できそうだ」
月代 卒太(さかやき そつた)「お手合わせを願いたい」
越智 虫哉(おち むしや)「・・・わかった。お手並み拝見しよう」
あれ? なんか・・・
衣装がしっくりきてるせいかな。
普通にかっこよくないか?
越智 虫哉(おち むしや)「では、よろしくお願いします」
月代 卒太(さかやき そつた)「いざ、参る」
月代 卒太(さかやき そつた)「はぁっ!」
月代 卒太(さかやき そつた)「やはりそうだ・・・腰が引けている。 貴方の太刀筋は、こんなものではないはず」
月代 卒太(さかやき そつた)「もっと、食らいつくような剣だった。 なのに、今の貴方は逃げてばかりだ」
月代 卒太(さかやき そつた)「なぜですか、越智虫哉!」
越智 虫哉(おち むしや)「・・・くっ」
突然の熱血展開。
え、これ、少年漫画だっけ?
でも確かに、先輩の剣道は中学の頃と違う。
なんだろう、この違和感。
月代 卒太(さかやき そつた)「・・・僕をねじ伏せるだけの技術はある。でも今の貴方は、麗さんにふさわしくない!」
越智 虫哉(おち むしや)「・・・・・・」
越智 虫哉(おち むしや)「確かに、君の言う通りだ」
越智 虫哉(おち むしや)「今の俺には、君のような真っ直ぐな剣は振るえない。原沖のようなキレもない」
越智 虫哉(おち むしや)「俺は、怖いんだ」
越智 虫哉(おち むしや)「あの頃とは変わってしまった、 本当の自分を知られることが」
越智 虫哉(おち むしや)「君は、自分を信じているんだね。 周囲に何を思われようと」
越智 虫哉(おち むしや)「・・・原沖」
原沖 麗(はらおき れい)「はい」
越智 虫哉(おち むしや)「俺は中学の頃から、君に惹かれていた。彼氏役を引き受けたのにも、多少下心はあった」
嘘・・・先輩が、私のことを?
越智 虫哉(おち むしや)「でも、そこから踏み出す勇気はなかった。俺には、自分をさらけ出す覚悟がなかった」
越智 虫哉(おち むしや)「月代くんのおかげで、目が覚めたよ」
越智 虫哉(おち むしや)「俺が剣を鈍らせてまで守ろうとしていたのは、己を受け入れる覚悟のない、ただの見栄だ」
越智 虫哉(おち むしや)「見てくれ・・・本当の俺を!!」
先輩は、両手をおでこに沿わせ、
長い前髪を勢い良く後方へなぎ払った。
原沖 麗(はらおき れい)「!?!?!?!?!?」
頭頂部には焼け野原が広がり、前髪だったものは後頭部に垂れ下がり・・・
こ これは
落 武 者 ! ?
若いのに、なんという面積・・・!
剣道のやりすぎ? 面で蒸れたから?
この惨状を隠すために、
越智先輩の剣が鈍っていたというの?
月代 卒太(さかやき そつた)「越智虫哉・・・ それでこそ、我が宿敵にふさわしい」
そしてドヤ顔するこいつが、
涼やかなヒーローに見えてしまう。
負けるな麗、気を確かに持って・・・
嶋名 香子(しまな かこ)「麗ーーーっ!!!」
原沖 麗(はらおき れい)「香子!?」
嶋名 香子(しまな かこ)「大変なの、地間くんが・・・っ」
嶋名 香子(しまな かこ)「ぎゃああああ、先輩ーーーっ!?!?!?」
原沖 麗(はらおき れい)「香子、地間がどうしたの!?」
嶋名 香子(しまな かこ)「あの、あのね、地間くんが、覚悟がどうとか言って、どこからかバリカンを」
地間 洋隆(ちま ようたか)「麗ちゃん!!」
地間洋隆・・・
血 迷 う た か ! ?
原沖 麗(はらおき れい)「な、な、なんで、どうしたのその頭」
地間 洋隆(ちま ようたか)「俺は・・・麗ちゃんが好きだ!!」
脈絡が全くわかりません。
地間 洋隆(ちま ようたか)「中学生になった麗ちゃんがあんまり可愛くて、うまく話せなくて、変な態度しか取れなくて」
地間 洋隆(ちま ようたか)「そんな俺はもう、終わりにしたいんだ」
だからってなぜその頭。
地間 洋隆(ちま ようたか)「俺は、麗ちゃんにふさわしい男になりたい!」
毛髪が行方不明になる男が
私にふさわしいのか。
待って。それは違う。待って。
そういえば、洋ちゃんってめちゃくちゃ
影響受けやすい単純男だった。
絶対、絶対影響受けてる。
この男に・・・!
月代 卒太(さかやき そつた)「麗さん!」
越智 虫哉(おち むしや)「原沖!」
地間 洋隆(ちま ようたか)「麗ちゃん!」
「付き合ってください!!」
〇道場
あ・・・めまいが・・・
〇道場
天然猪突猛進ぶっとび侍と
毛髪コンプレックス迷走剣士と
直情型単細胞暴走戦士・・・・・・
え、これ、私が選ぶの?
出てよ、選択肢ーーーーー!!!!!
助けてプレイヤーーーーー!!!!!
嶋名 香子(しまな かこ)「しっかりして、麗! この中から選ばなくてもいいのよ!」
あ、そっか・・・
誰も選ばなくていい。
私、ここから逃げてもいいんだ。
でもこの人たち、放置したらだいぶ困ったことにならない? 野に放ったら危なくない?
原沖 麗(はらおき れい)「・・・・・・」
原沖 麗(はらおき れい)「あなたたちの覚悟はよくわかった。 でも、決定的に足りないものがある」
月代 卒太(さかやき そつた)「足りない、もの・・・?」
原沖 麗(はらおき れい)「それは常識という名の思いやり。 そして乙女に対するデリカシー」
原沖 麗(はらおき れい)「力押しでは、見えない世界がある・・・ 柔(じゅう)を知って剛(ごう)と成せ!」
地間 洋隆(ちま ようたか)「!」
原沖 麗(はらおき れい)「誠(まこと)を尽くす漢(おとこ)たる極意」
原沖 麗(はらおき れい)「徹底的に叩き込んであげるから、 私についてきなさい!」
月代 卒太(さかやき そつた)「麗様・・・」
越智 虫哉(おち むしや)「麗様・・・」
地間 洋隆(ちま ようたか)「麗様・・・」
「ついて行きます! よろしくお願いします!」
やってしまったかもしれない。
〇大きな木のある校舎
高校入学初日。
恋をしたかった私に、舎弟ができました。
ときめきの高校生活が、始まる──
始まるよね?
誰か始まると言って。
〇幻想空間
とりあえず、退屈はしなさそうです。
HAPPYEND?
めっちゃ面白かったですー!!😂✨
最初から最後までどうなるの!?どうなるの!?となりながら読み進ませていただきました✨☺️
これは、、、高校生活楽しみなやつですね✨😍
オチも一連の流れも素晴らしかったです。
最高です。
更新に気づかず、今更ながら、全話読了しました。
主人公の軽快なツッコミと、まさかのハゲ3人。
そして、みんなが麗の手下状態。
何もかもがツボに入りまくりでした。
面白かった。