In My Dream 〜 続きは夢で 〜

暁愁

エピソード9(脚本)

In My Dream 〜 続きは夢で 〜

暁愁

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〇屋上の端
浅枝まひる「ねえ、さっきから何してるの?」
結城ないと「何って、この体験を記録してるのさ」
結城ないと「それにしても、まさかこの世界がまひるの夢の中だったなんて考えたこともなかった」
浅枝まひる「ねえ、ないと」
結城ないと「ん? まてよ」
結城ないと「ということは、僕はまひるの潜在意識が作り出したイメージということか。 これもまた貴重な経験だ」
浅枝まひる「ねえってば」
結城ないと「まひる、危ないよ。こっちにおいで」
浅枝まひる「平気だよ。だってこの世界は・・・」
  ビルから飛び降りるまひる。
結城ないと「わ! まひる! 何やって——」
浅枝まひる「平気だよ。私の夢だもん。 なんでも私の好きなようにできるんだよ」
結城ないと「びっくりさせないでくれよ」
浅枝まひる「ないとも一緒に飛ぼうよ」
結城ないと「飛ぼうって言われても、普通の人間は空なんて飛べないんだよ」
浅枝まひる「前に何回も一緒に飛んでるじゃん」
結城ないと「前?」
浅枝まひる「ほら、競技場から地球の裏側まで日の出を見に行こうとした時」
結城ないと「さあ」
浅枝まひる「覚えてないの?」
結城ないと「うん」
浅枝まひる「なんで忘れちゃうのよ」
浅枝まひる「あ、一緒に噴火を観に行った時も!」
結城ないと「うーん。 きっとそれは、今の僕とは違う僕かもしれないね」
浅枝まひる「どういうこと?」
結城ないと「言葉の通りさ」
結城ないと「ブラジルへ行こうとした僕と、火山を観に行った僕、そして今の僕」
結城ないと「きっと全員違う僕だよ」
浅枝まひる「よくわかんないよ」
結城ないと「はは。まひるには少し難しすぎたかな」
結城ないと「詳しく実験してみないと確かなことは言えないけど、きっと、ん? まてよ」
  その場で考え込む結城。
浅枝まひる「何考え込んでるのよ」
浅枝まひる「せっかくの再会なんだから楽しもうよ」
浅枝まひる「私、ないとに会うためにずっと頑張ってたんだから」
  メモに書き込みを始める結城。
浅枝まひる「もう、それならこうしてやる」
  結城をぎゅっと睨みつけるまひる。
結城ないと「わわっ」
結城ないと「ねえ、怖いよ。降ろしてくれ〜」
浅枝まひる「はあ」
  結城が地面に降りる。
結城ないと「助かった〜」
  端の遊具に目を向けるまひる。
浅枝まひる「そうだ!」

〇雲の上
浅枝まひる「さっきから、何おびえてるのよ」
結城ないと「誰だって怖いよ! こんな高い所」
浅枝まひる「だからここは私の夢だって言ってるじゃない」
浅枝まひる「平気よ」
結城ないと「全然平気じゃないってば」
結城ないと「ここはまひるにとっては夢の中でも、僕にとっては現実なんだから」
  おびえてまひるに抱きつく結城。
浅枝まひる「ふふ。本当にないとに会えたんだね」
浅枝まひる「夢みたい。夢だけど・・・」
結城ないと「・・・・・・」
浅枝まひる「ねえ、ないとはショックじゃないの?」
結城ないと「ん? 何が?」
浅枝まひる「だって現実世界じゃ死んじゃったんだよ」
結城ないと「うーん。そう言われてもね」
結城ないと「今、こうしてこの世界じゃ普通に暮らしてるし」
結城ないと「あまり実感ないかな」
浅枝まひる「ふーん。そうなんだ。なんか複雑」
結城ないと「でもよかったよ」
浅枝まひる「え?」
結城ないと「現実世界のまひるが無事でさ」
浅枝まひる「・・・全然よくないよ」
浅枝まひる「ないとがいないんじゃ意味がないもん。 私も一緒に——」
結城ないと「まひる」
浅枝まひる「?」
結城ないと「まひるにはこれから素晴らしい人生が待ってるんだよ」
結城ないと「僕のことなんかさっさと忘れて次に進むんだ」
浅枝まひる「え? それってないとの本心?」
結城ないと「もちろんさ」
結城ないと「そりゃあ、たまには思い出してもらいたいけどね」
浅枝まひる「・・・・・・」
結城ないと「どうしたの?」
浅枝まひる「なんか、康介のこと思い出しちゃって」
結城ないと「京坂君?」
浅枝まひる「今日こうやってないとに出会えたのは康介が明晰夢のやり方を教えてくれたからなの」
結城ないと「そうなんだ。でも、そりゃあ規則違反だ。 根岸教授に報告しないとな」
結城ないと「ってこっちの教授に言っても仕方ないか」
浅枝まひる「許してあげて」
浅枝まひる「そもそも、私の夢にないとが毎日出てくるのがいけないんだから」
結城ないと「僕が? まひるの夢に? 毎日?」
浅枝まひる「そう」
浅枝まひる「それで、理由を直接ないとに聞いたらどうだって康介が」
結城ないと「そっかそれで」
結城ないと「でも、その理由は僕にもわからないな」

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