第9話 邪馬台国は存在します!(脚本)
〇高級一戸建て
いきなりの玲子からの呼び出し。
玲子の様子がおかしいと感じた大和は、急いで玲子の家に向かった・・・
大和「ここが玲子さんの家・・・」
大和「すごい立派な家だな」
玲子「大和くん!」
大和「玲子さん」
玲子「来てくれてありがとう」
大和「急に言われたからびっくりしましたよ」
大和「いったい何が・・・」
玲子「お父さんと喧嘩しちゃって」
大和「喧嘩!?」
玲子「ミス卑弥呼コンテストに出場するのは認めない、って言われたのよ」
大和「どうしてそんなことを・・・」
玲子「知らないわ。「とにかく認めない」の一点張りで」
大和「そうですか・・・」
玲子「でも、私はどんなことをしても出たい。いや、絶対出る!」
玲子「だから、これからお父さんと話をして出場を認めさせるのよ」
大和「そうなんですね」
玲子「大和くんも協力して」
大和「えっ!」
玲子「2人でミス卑弥呼コンテストの素晴らしさを話すのよ。そして、出場を認めさせる!」
大和「あの・・・玲子さんのお父さんとの話に僕も入るんですか?」
玲子「時間がないわ。行きましょう!」
大和(何か面倒なことに巻き込まれそうな気がする・・・)
〇おしゃれな居間
大和(部屋もすごく豪華だな・・・)
玲子「少し待っててね」
母親「あら、こんにちは。あなたが大和くんね」
母親「いつも玲子がお世話になっています」
大和「と、とんでもありません。こちらこそ、お世話になっております」
母親「この子ちょっと変わってるから、いろいろ振り回されることもあるかもしれませんが・・・」
母親「悪い子ではないので、気を悪くせず付き合ってあげてください」
大和「い、いえ、こちらこそよろしくお願いします」
母親「じゃあ、お父さんを呼んでくるわね」
母親「2人とも、しっかりね。負けちゃダメよ」
玲子「もちろん。ね、大和くん」
大和「はあ・・・」
〇おしゃれな居間
玲子「お父さん、こちらが大和くんよ」
大和「藤原大和です。は、はじめまして」
父親「いつも玲子がお世話になっています」
大和(喧嘩してるっていうから、恐い人かと思ったけど・・・)
大和「きちんとした人みたいでよかった・・・」
玲子「大和くんは私の大切なパートナーなのよ」
父親「パートナー?」
父親「パートナーとはどういう意味なんだ?」
玲子「そのまんまよ。大和くんは私の一番大事なパートナーなのよ」
大和(玲子さん、誤解されるような言い方は・・・)
父親「一番大事なパートナー・・・」
玲子「そうよ」
大和「い、いえ、お父さん。実は・・・」
父親「お父さん? 初対面の君にお父さんと呼ばれる筋合いは・・・」
大和(何でそうなるんだ・・・)
大和「あの、パートナーというのは、ミス卑弥呼コンテストに出るために協力しているというだけなんです」
父親「そうなのか? それ以上の関係は・・・」
大和「一切ありません」
玲子「えっ!?」
父親「そうか。それならいいんだ。変なことを言ってすまなかったね」
大和「い、いえ」
大和(誤解が解けてよかった)
父親「お前も誤解されるような言い方をするな」
玲子「ふん」
大和「玲子さん、どうして不機嫌な顔をしているんだろう・・・」
〇おしゃれな居間
大和(そうだ。こんな話をしている場合じゃない。本題に入らないと)
大和「ところでミス卑弥呼コンテストの件ですが・・・」
大和「お父さんは、どうして玲子さんがコンテストに出るのに反対しているのでしょうか?」
父親「そんなくだらないものには出るなと言っているんだ」
玲子「何がくだらないって言うのよ。何もわからないくせに!」
父親「お前は黙ってろ」
父親「これは何だ?」
大和(これはコンテスト主催者のHP・・・予選のときの玲子さんの写真だ)
玲子「これがどうかしたの?」
父親「そこにはお前の写真やプロフィールが載っているんだぞ」
玲子「別に住所や電話番号が載っているわけじゃないしいいでしよ」
父親「そういう問題じゃない」
父親「参加者は全員女性じゃないか」
玲子「ミス卑弥呼コンテストなんだから当たり前でしょ」
父親「コンテストの主催者は、女性を使って人を集めようとしているんじゃないのか?」
玲子「そんなことあるわけ・・・」
父親「どうだかな」
父親「とにかく、こんなあやしい大会にお前を出させるわけにはいかない」
玲子「は? 何それ」
父親「そもそも邪馬台国がな・・・」
大和「?」
父親「「邪馬台国なんてそもそも存在しなかった」と言っている学者もいるそうじゃないか?」
玲子「そんな人いるの?」
大和「はい、そう主張する専門家もいます」
父親「これだけ長年の間多くの専門家が調べているのに、邪馬台国の存在や所在地を証明する明確な証拠は出てきていない」
父親「やっぱり邪馬台国なんて存在しないんじゃないのか?」
父親「だから、ミス卑弥呼コンテストなんてふざけた遊びに出る価値なんて・・・」
大和「あります!」
大和「邪馬台国は・・・存在します!」
〇おしゃれな居間
大和「邪馬台国は存在します」
父親「どうしてそう言える?」
大和「確かに邪馬台国の存在や所在地を証明する明確な証拠はありません」
大和「『魏志倭人伝』など中国の歴史書にその記述があるのみです」
父親「その『魏志倭人伝』も、正確性には欠けるという話もあるじゃないか」
大和「その通りです。でも、すべてが不正確で空想の話というわけではありません」
大和「例えば、邪馬台国へのルートについては、途中の対馬(つしま)国、伊都(いと)国などはほぼ所在地が確定しています」
大和「その他のことも少しずつわかってきています」
大和「もちろん、まだまだわからないことだらけですが・・・」
大和「でも、邪馬台国は存在します・・・僕はそう信じています」
大和「それを解明するのが僕の夢なんです!」
大和(はっ! 俺は何を言っているんだ!?)
大和「あ、あの、一人で勝手にしゃべってすみません・・・」
父親「・・・」
父親「私は小さい頃から歴史が・・・特に古代史が好きでね」
玲子「お父さん?」
父親「将来は考古学の分野に進みたかった」
父親「しかし、商売をしていた父親の反対で経済学の分野に進むことになった」
父親「父は「歴史なんかで飯が食えるか」と言っていたよ」
父親「私は経済学を学び、就職して今はそれなりの地位に就いた」
父親「今思えば、父親の言葉は正しかったのかもしれない」
玲子「お父さん・・・」
父親「しかし、古代史が好きな気持ちは今も変わらないつもりだ」
父親「だから、古代史に情熱をかける君のような若い学生が羨ましく思うし、応援したいと思う」
父親「大和くん、君が邪馬台国の謎を解明してくれ!」
大和「お父さん・・・はい!」
玲子「お父さん、じゃあミス卑弥呼コンテストへの出場は・・・」
父親「もちろん認めるさ。大和くんと一緒にがんばって、優勝してこい!」
玲子「ありがとう! 私が卑弥呼様になって、優勝する!」
父親「大和くん、これからもずっと玲子のことをよろしく頼むよ」
大和(これからもずっと!?)
父親「ところで大和くん、君は邪馬台国以外の古代史にも興味があるかい?」
大和「もちろんです」
父親「古墳時代のことについて話したいんだが・・・」
大和「はい!」
父親「まずはこの古墳についてだが・・・」
大和「箸墓古墳ですね。卑弥呼の墓ともいわれている・・・」
父親「その説について、私は違う考えを持っていて・・・」
玲子「こんなに生き生きしてるお父さん、はじめて見た」
その後、玲子の父親と大和は古代史について何時間も語り合った・・・
〇高級一戸建て
玲子「大和くん、遅くまでごめんね」
大和「いえ。お父さんとも話ができて楽しかったです」
大和「コンテストの出場も認めてもらえてよかったですね」
玲子「大和くんのおかげよ」
玲子「大和くんはいつも私を助けてくれる」
大和「そんなことないですよ」
玲子「・・・」
玲子「大和くんが伊代ちゃんと一緒にいるのを見たとき・・・」
玲子「私、本当はすごく辛かった。悲しかった」
玲子「私、大和くんがいないと・・・」
大和「玲子さん・・・」
玲子「大和くん・・・」
母親「あの・・・」
母親「いい雰囲気のところ悪いけど・・・」
玲子「お、お母さん!」
大和「す、すみません」
母親「あら、謝る必要なんてないのよ」
母親「あなたに郵便が届いていたわよ」
玲子「郵便?」
玲子「コンテストの主催者からだわ」
ミス卑弥呼コンテスト本選出場者へ
玲子「コンテスト本選の案内書だわ」
玲子「いよいよね」
大和「はい」
大和の説得により(?)玲子の父親から無事コンテストへの出場を認めてもらった2人。
2人はコンテスト本選に向けて本格的に動き出す・・・
大和と玲子のお互いの認識に若干の差があったようですが、どうやら二人の恋も進展しそうですね!
そして大和の情熱が、お父さんを認めさせた……恐るべし、邪馬台国というロマンですね👍
これから本戦に向けての二人のチャレンジ、楽しみです😆
玲子さんによって無理やり父親の前に引きずり出される大和くんが、不憫というか安定の巻き込まれ気質というかw 大和くんの知識と情熱が光るストーリーでしたね!
頑固オヤジかと思いきや、良いお父さんでホッとしました。それにしても大和は歴史好き無双ですね!
普段は目立たないキャラなのに、内面が魅力的だとギャップで持っていかれます。
玲子も本音を打ち明けられたみたいで、絆がより強くなったようでしね。コンテスト楽しみです。