ガラスの目玉の涙

ウミウサギ。

エピソード3 雷(脚本)

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〇大学の広場
  数日後
仙道 圭太「あー、やっと終わった」
仙道 圭太「今日はバイトもねぇことだし、綾誘って一緒に帰るか」
仙道 圭太「えーと、スマホスマホ……」
仙道 圭太「・・・・・・そうだ、あいつ本読んでる時は電源切ってるんだった」
仙道 圭太「あーもう、めんどくせぇなぁ」

〇図書館
仙道 圭太「綾ー、おーい、どこだー」
スタッフ「図書館内ではお静かにお願いします」
仙道 圭太「さ、サーセン」
仙道 圭太「あの・・・・・・女子学生見なかったっすかね、『女神』と呼ばれてる」
スタッフ「はぁ?女神?」
仙道 圭太「スミマセン」
仙道 圭太「ほとんど毎日いて、こう・・・・・・結んだ髪を前に垂らしてて、黒髪で・・・・・・」
スタッフ「ああ、尾道さんのことですか?」
仙道 圭太「そ、そうです」
スタッフ「そういえばあの子、今日も来てないなぁ・・・・・・」
仙道 圭太「え?今日も?」
スタッフ「4日ほど前からですかね 尾道さん毎日図書館に来てたのに、ぱったり姿を見せなくなっちゃって」
仙道 圭太(本の虫のあいつが・・・・・・?)
スタッフ「あの、何か?」
仙道 圭太「ああいや、あいつが来ていないんならいいっす あざっした」

〇街中の道路
仙道 圭太「図書館にもいねぇとなると、どこにいるんだあいつ」
仙道 圭太「電話かけてみるか・・・・・・」
仙道 圭太「・・・・・・出ねぇなぁ」
  圭太がスマホをポケットにしまったその時。
綾の母「っ!! 圭太くん!!」
仙道 圭太「おばさん!?」
綾の母「圭太くん、綾を、綾を見なかった!?」
仙道 圭太「俺もさっきから探してるとこっす いつもいる場所にいねぇんすよ」
仙道 圭太「ってか、どうしたんすか? そんなに息を切らして」
綾の母「綾がどこにもいないの!!」
仙道 圭太「・・・・・・え」
  その瞬間、雷が鳴った。
  曇り空にどんどん雲が重なっていき、世界が少しづつ暗くなっていく。
綾の母「数日前からずっと家に帰っていなくて・・・・・・ 連絡も何もなくて・・・・・・!!」
綾の母「ねぇ圭太くん、綾が何か言ってなかった!?」
綾の母「綾、圭太くんの家にお世話になったんでしょ!?」
綾の母「お願いよ、どんな些細なことでもいいから教えて・・・・・・」
仙道 圭太「おばさん・・・・・・」
  綾の母はいつも気丈に振る舞い、圭太はそんな彼女を少し怖いと思ってさえいた。
  そんな綾の母が、涙を流して取り乱している。
  圭太は戸惑いと驚きを隠せなかった。
仙道 圭太「と、とにかく、俺も色んな場所探すんで、何かあったら連絡しますから!」
仙道 圭太「あいつ本の虫だから、本屋を手当り次第探せばきっと・・・・・・」
綾の母「そう思って私もしらみ潰しに探したんだけど駄目だったわ」
綾の母「ああ、あの子、どこ行っちゃったのかしら・・・・・・」

〇街中の道路
  雨が降り出した。
  綾の母と圭太は、どうすることもできないまま雨に打たれるしかなかった。

次のエピソード:エピソード4 綾の行方、こぼれる想い

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