怪人親子

カジキ

第一話 「不幸と幸せ」(脚本)

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〇黒
如月 太陽「どうも、こんにちは!!」
如月 太陽「俺の名前は「如月 太陽」だ。よろしく!!」
  ???
  父さん どこですか?
如月 太陽「おっ!! この声は、」
???「探しましたよ 父さん」
如月 太陽「進太郎じゃねえか、どうした?」
進太郎「母さんがケーキ焼いたから食べよだって」
如月 太陽「マジか!? 分かった、すぐに向かうぜ」
進太郎「先に行っていますよ」
如月 太陽「おう、ありがとな 進太郎」
如月 太陽「てことで、急用が出来ちまった」
如月 太陽「また後でな」
  今、行くぜ!!

〇黒
  俺の『幸せ』は、あの時から始まっていた

〇体育館の裏
如月 太陽「俺と付き合ってくれ!!」
桜田 花「──!!」
桜田 花「・・・ごめんなさい」
如月 太陽「えっええええ──!!」
桜田 花「────」
如月 太陽「ちょっ、ちょっと待ってくれ」
如月 太陽「くそっ、なかなかうまくいかねえな」
如月 太陽「でも、何度でも告白して花と付き合ってやる」

〇学校の屋上
如月 太陽「俺と付き合ってくれ」
桜田 花「ごめんなさい」

〇体育館裏
如月 太陽「俺と付き合ってくれ」
桜田 花「ご、ごめんなさい」

〇大教室
如月 太陽「どうか、本当にどうか付き合ってくれよ」
桜田 花「本当にごめんなさい」
如月 太陽「くっ、くそぉ──」
クラスメイト「またアイツ、花に告白してるよ」
クラスメイト「花に告白するなんてねぇ」
クラスメイト「だって....」

〇大教室
クラスメイト「花と付き合ったら行方不明って噂でしょ」

〇大教室
クラスメイト「怖いよねぇw」
桜田 花「────」

〇コンビニ
如月 太陽「母ちゃんも雑だよな。牛乳切らしたから買ってこいなんて」
如月 太陽「まっ、俺の食いたい物買えたし、いっか」

〇公園のベンチ
如月 太陽「ん、あれは、・・・」
桜田 花「────」
如月 太陽「花じゃねえかよ」
如月 太陽「こんな夜遅くに何やってんだ?」
如月 太陽「おーい!! 花!!」
桜田 花「──!!」

〇公園のベンチ
如月 太陽「夜遅くに出歩くなんて、花もワルだなw」
桜田 花「────」
如月 太陽「────」
如月 太陽「悪い、そんな気分じゃなかったか」
如月 太陽「そ、そうだ。俺が買ったコレやるよ」
桜田 花「あっ、ありがとう」
桜田 花「でも私チョコアレルギーなの」
如月 太陽「本当にうまくいかねえなぁ」
桜田 花「ご、ごめんなさい」
如月 太陽「あっああ き、気にするな」
如月 太陽「てか、なんでこんな所にいるんだ」
桜田 花「一人になりたかったから・・・」
桜田 花「そうしたら、「あの人」と一緒にいられる 気がして」
如月 太陽「あの人って、悠太のことか?」
桜田 花「な、なんで・・・」
如月 太陽「なんとなくだ」
桜田 花「な、なら・・・」
桜田 花「私にもう関わらないでください」
如月 太陽「────!!」
如月 太陽「な、なんでだ」
桜田 花「私の近くにいると「不幸」になってしまうの」

〇シックなリビング
  ────

〇シックなリビング

〇公園のベンチ
桜田 花「そのせいで悠太さんは、・・・」

〇ストレートグレー
  ─────

〇高級一戸建て
  ─○○県○○区で「津池野 悠太」が   
  行方不明になりました。警察は──

〇公園のベンチ
桜田 花「だから、もう私に、・・・」
如月 太陽「俺、やっぱり花のこと好きだわ」
桜田 花「な、なんで・・・」
桜田 花「私といると不幸になって・・・」
如月 太陽「俺が花を好きになった所は」
如月 太陽「もちろん顔が可愛いくて好きだってのも あるが」
如月 太陽「誰かを思って、苦しむぐらい優しい所が一番好きなんだ」
桜田 花「──!!」
如月 太陽「それに不幸になるからって 好きな女を諦められねえよ」
桜田 花「────」

〇幻想空間
如月 太陽「不幸が大きくて、一人で抱えきれないなら 俺にもその不幸を分けてくれ」
如月 太陽「それに俺って、運は結構いいんだぜ」
如月 太陽「その不幸を中和するどころか幸せにしてやる」
如月 太陽「だから、俺にその不幸を預けても大丈夫だ」
桜田 花「・・・」

〇公園のベンチ
如月 太陽「まっ、時間も遅えしそろそろ帰ろうぜ」
桜田 花「あ、あの・・・」
如月 太陽「ん、なんだ?」
桜田 花「・・・センカ」
如月 太陽「へっ!?」
桜田 花「私とお付き合いしてくれませんか?」
如月 太陽「─────」
桜田 花「な、なんで泣いてるの!?」
如月 太陽「悪い、ちょっと涙が...」
如月 太陽「たぶん、嬉しくて頭と体がおかしくなっているだけだ。気にするな」
桜田 花「う、うん」
如月 太陽「あと、俺がかっこよく告白したかった〜」
桜田 花「えっええー!?」
桜田 花「ど、どうすればいいの?」
如月 太陽「──俺からも言わせてくれ」
桜田 花「・・・うん」
如月 太陽「────」
如月 太陽「─────」
如月 太陽「俺と「幸せ」になってくれ」
桜田 花「──!!」
桜田 花「はい」

〇男の子の一人部屋
桜田 太陽「なんだ・・・もう朝か」
桜田 太陽「それにしても懐かしい夢みたな〜」
桜田 太陽「あれから18年か〜。時間ってあっという間に経つもんだな」
桜田 太陽「さぁ〜て 今日も元気にいきますか」

〇明るいリビング
桜田 太陽「おはよう 花」
桜田 花「おはようございます 太陽くん」
桜田 太陽「おっ、朝飯作ってくれたのか。ありがとう」
桜田 太陽「それにしても、相変わらず目玉焼き焼くの 上手いなあ」
桜田 太陽「俺がやったら焦がすから大したもんだぜ」
桜田 花「とかなんとか言って、また朝ご飯作ってもらう気でしょ」
桜田 太陽「ヤッベ、バレたか」
桜田 進太郎「─────」
桜田 花「おはよう 進太郎」
桜田 進太郎「おはよう 母さん」
桜田 太陽「おはようさん 進太郎」
桜田 太陽「帰ってきたら、昨日みたいに将棋やらねえ? 次は負けねえからよ」
桜田 進太郎「いいね、やろう 父さん」
桜田 花「はい、太陽くん 今日の弁当です」
桜田 太陽「おう、ありがとう」
桜田 太陽「それにしても悪いなあ、朝早く起きて朝飯や弁当作らせちまって」
桜田 花「ううん、気にしないで」
桜田 花「私、料理作るのですから」
桜田 太陽「嫌、さすがに無理させられねえよ」
桜田 太陽「明日、俺が朝飯作るぜ」
桜田 太陽「まっ、花みたいに上手く作れるか分からねえけど」
桜田 花「ふふ 期待していますよ」
桜田 太陽「おう、任せておけ」

〇飾りの多い玄関
桜田 太陽「それじゃあ行ってくるぜ」
桜田 花「いってらっしゃい」
桜田 太陽「進太郎も学校がんばれよ」
桜田 進太郎「わかったよ 父さん」
桜田 太陽「それじゃ」
  ガッチャン
桜田 花「よ〜し 私たちもがんばろうね 進太郎」
桜田 進太郎「・・・」

〇川に架かる橋
桜田 太陽「愛する妻と息子に送られながら会社に行く」
桜田 太陽「俺は、なんて幸せ者なんだ」
桜田 太陽「この幸せがずっと続いていてくれればいいんだが・・・」
桜田 太陽「・・・・いや、する 絶対に続けてやる」
桜田 太陽「俺は、できる漢だからやってみせるぜ!!」
女性「助けてください!!!」
桜田 太陽「おわっ!?何かあったんですか?」
女性「それが家に空き巣が入ってしまって」
女性「そ、それに家の中にまだ子供が・・・」
桜田 太陽「──────」
桜田 太陽「わかりました」
桜田 太陽「家は、どこにあるんですか?」

〇一戸建て
女性「ここなんですけど」
桜田 太陽「ちょっと様子を見てきます」
女性「き、危険ですよ!?」
桜田 太陽「お子さんが心配なんです!!」
女性「─────」
桜田 太陽「それに俺、高校の時から空手やっていたんで大丈夫ですよ」
桜田 太陽「奥さんは、すぐに警察に連絡してください」
女性「わ、わかりました」

〇シックな玄関
桜田 太陽(暗いなあ 何事も無いことを祈っているぜ)
女性「あ、あの・・・大丈夫ですか?」
桜田 太陽「奥さん!!危険なんで下がっていてください」
女性「す、すみません」
女性「でもうちの子が心配で・・・」
桜田 太陽「それでもです!!」
桜田 太陽「ですから、後ろに下が・・・」
桜田 太陽「って・・・・・・?」

〇シックな玄関
  な、何があったんだ?
  ほ、包丁!?
  まさか、俺・・・刺されたのか!?
女性「───」
  奥さん、な・・・ん・・で・・・
  ─────

〇黒
  ・・・・・・

〇地下の部屋
  おぶぁ!?なんだ、夢か・・・?
  それにしても嫌な夢だぜ
  ・・・って ここどこだよ!?
  しかもなんだ...この薄暗い部屋は、とても人を招き入れる部屋じゃ・・・

〇黒

〇地下の部屋
  そういえば、アイツ!なんで俺を刺したんだ
  それにしても刺された部分がもう・・・
  カチン
  カチン?
桜田 太陽「・・・」
桜田 太陽「なんじゃあこりゃあ!?」
桜田 太陽「えっ、これ俺・・・」
桜田 太陽「いやいやいや これこそ夢だろ」
桜田 太陽「こんな姿、花や進太郎に見られたら・・・」

〇明るいリビング
桜田 進太郎「と、父さん!?」
桜田 進太郎「すっげえ、かっこよくなってるよ」
桜田 花「太陽くん、とても似合っていますよ」
桜田 太陽「そ、そうか/// あっははは」

〇地下の部屋
桜田 太陽「・・・・」
桜田 太陽「こ、これはこれで悪くないな////」
桜田 太陽「それにしてもここは、どこなんだ?」
桜田 太陽「早く、花や進太郎に会いたいぜ」
  てれてってれー
桜田 太陽「ん!?なんだ」
桜田 太陽「このテレビからか?」

〇ストレートグレー
桜田 花「────」

〇地下の部屋
桜田 太陽「花!?何で・・・」

〇ストレートグレー
桜田 花「う...う〜ん」
桜田 花「──!!」
桜田 花「あれ!?ここ、どこなの?」
桜田 花「とても暗くて何も見えない・・・」
桜田 花「──それより」
桜田 花「進太郎 進太郎 どこにいるの?」
  何!?進太郎もいるのか?
  ウィーン
桜田 花「──!」
謎の女性「────」
  あの女!!花に何を・・・
桜田 花「あ、あなたは?」
謎の女性「はじめまして 私「佐藤」と申します」
桜田 花「そ、それよりも!!進太郎、進太郎は無事  なんですか?」
佐藤「ええ もちろん無事ですよ」
桜田 花「そ、そうですか...よかったです」
佐藤「ふふ 私もよかったです」

〇拷問部屋
佐藤「私、人を「弄る」の好きなんですよね」
  ──!!
  おい まさか!?
  グサッ
  イヤァァァァァァァァァァァァ
佐藤「う〜ん やっぱり最初は足にナイフを刺す」
佐藤「なんだかんだ、痛いのよねコレ」
桜田 花「────」
桜田 花「た...助けて...太陽くん」
  ──!!
佐藤「次は、王道の爪とかどうかしら?」
佐藤「それとも、歯とか?」
佐藤「ちょっと痛いけど眼球を摘出して見ちゃう?」
佐藤「時間はたっぷりとあるんだし...      全部やってみよっか」
  た、頼む...
佐藤「じゃあ...爪 行きまーす」
  メリ メリ
  やめてくれ...
  メリ メリ
  そ、そうだ。お、俺ならいくらでも爪だの歯なんだのくれてやる
  だから、花には
  ベリ
  キャァァァァァァァァァァ
  あっ、あああ...
  ああああああああああああああああああああ

〇拷問部屋
  あれから、何時間見ていたんだろう
  花の綺麗だった爪は、花びらのように積み重ねられ
  歯は、そこら辺の石のように転がり
  目は、ガラス玉のように憎たらしく輝いて いやがった
  そして花は、動かなくなっていた
  それでも、あの女は笑っていやがった
  俺は、「怪人」を見ているようだった

〇拷問部屋
佐藤「ふう、楽しかった」
佐藤「やっぱり弄るなら人に限るわねえ」
佐藤「どうだったかしら?」
佐藤「あなたの愛する奥さんの拷問される姿を見て」
佐藤「さぞかし絶望し、怒ったでしょうねw」
佐藤「でもね まだサプライズは終わらないわよ」
佐藤「今あなたの所に息子さんを向かわせているの」
佐藤「楽しみにしててね」

〇黒
  プチッ

〇地下の部屋
桜田 太陽「・・・」
  ウィーン
???「────」
桜田 太陽「・・・」
桜田 太陽「──し、 進太郎....なのか...」
???「────」
桜田 進太郎「そうだよ....父さん」
桜田 太陽「・・・ハハ」
桜田 進太郎「──!?」
桜田 太陽「あはっ、あはっ、あははははは!!」
桜田 太陽「いひっ、ひっひっひひひひ!!」
桜田 進太郎「・・・」
  はっきり言って、今の俺は狂人だ
  花が、拷問されている時や
  進太郎が改造された時でさえ
  俺は...「笑っていた」
  ...イヤ、俺も・・・

〇ストレートグレー
  アイツと同じ「怪人」なんだ
  俺は...
  人間だったのか?
  花を...
  進太郎を...
  本当に愛していたのか?
  ・・・
  .....ああ、「不幸」だぁ
  不幸だ 不幸だ 不幸だ 不幸だ 不幸だ
  不幸だ 不幸だ 不幸だ 不幸だ 不幸だ
  不幸だ 不幸だ 不幸だ 不幸だ 不幸だ
  不幸だ 不幸だ 不幸だ 不幸だ 不幸だ
  不幸だ 不幸だ 不幸だ 不幸だ 不幸だ
  は?
  ドガァーン

〇地下の部屋
桜田 進太郎「はぁっ、はあっ」
桜田 進太郎「悲しい声で笑うなよ 父さん」
桜田 太陽「──!!」
桜田 進太郎「父さんが、僕の前で絶対に泣かないのは知っています」
桜田 進太郎「母さんが死んで、泣きたい気持ちを抑えているのも分かります」
桜田 進太郎「だから、笑わず泣いてください!!」
桜田 太陽「────」
桜田 進太郎「それが母さんへのお見送りだと僕は思います」
桜田 太陽「──ウッグ ウッグ・・・」
桜田 太陽「あ"あ"あ"あ"、ハッハァ"ァ"ァ"ァ"───」
桜田 太陽「──あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"」
桜田 太陽「──────」
桜田 太陽「──す、すまねえ・・・」
桜田 太陽「──俺は、」

〇黒

〇地下の部屋
桜田 太陽「花を...」

〇黒

〇地下の部屋
桜田 太陽「──お前を」
桜田 太陽「守って...やれなくて」
桜田 太陽「───あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"」
???「・・・・・・ゥッ」

〇地下の部屋
桜田 太陽「・・・ありがとな 進太郎」
桜田 太陽「おかげで自分に戻れた気がする」
桜田 進太郎「いいよ 父さん、気にしないで」
桜田 太陽「それにしても、11歳で父を殴るとは...」
桜田 進太郎「あっ、あれは・・・」
桜田 太陽「あと5年は掛かると思っていたぜ」
桜田 進太郎「──!!」
桜田 太陽「さあーて あの女を花に償わせるため会いに行きますか」
桜田 進太郎「僕も一緒に行くよ」
桜田 太陽「あう! あの女を花の墓石の前で泣きながら土下座させて」
桜田 太陽「それをネットに拡散してやろうぜ」
桜田 進太郎「うん」
  花 すまなかった。お前を不幸から守ってやれなくて
  何の罪滅ぼしにならねえかもしれねえけど..
  俺が進太郎を「親」として守り抜く
  だから見守っていてくれ!!
  ふふ 期待しています
桜田 太陽「──!!」
桜田 太陽「おう 任せておけ」

コメント

  • なかなか衝撃的な展開でした‼ 特に「不幸」の文字をシャイニングみたいに、沢山並べているのが印象的でした!
    てっきり花を助けるために、親子でむりやり戦わされるのかなとバトルを期待しましたが、この展開も感動的ですね。応援したいので、私の作品も応援してください!
    お互いにタップノベルを盛り上げましょう🤩

  • 高校生の花の周りから男の人が行方不明になったのは、既に怪人だった太陽の仕業なのか、佐藤という人の仕業なのか、これから明かされていくのかな。進太郎が怪人になった経緯や心情などももう少し詳しくみてみたかったです。

  • 太陽は花を心からすきだったと信じたいです、私は女なので。拷問されている花を見て、涙がでなかったのは、決して愛がないとではなく、その状況を受け入れたくないという心情からだったのではないでしょうか。

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