〇住宅街の道
威流　緋雨「何と言われても、」
威流　緋雨「栗木田が好きなんだろ？」
岸野　俊介「そりゃぁな!!!」
威流　緋雨「諦めきれないなら、」
威流　緋雨「想い続けるしかないだろ」
岸野　俊介「いいのか？ 想い続けて・・・」
威流　緋雨「誰かに言われて、やめられる想いなのか？」
岸野　俊介「そんなわけねぇよ!!!」
岸野　俊介「そうだよ。 簡単に諦められる事じゃねーんだよ」
岸野　俊介「ひっさ、ありがとな」
岸野　俊介「俺！もうちょっと頑張ってみるわ！」
岸野　俊介「明日は栗ちゃんに！ ちゃんと挨拶できそうだよ！」
岸野　俊介「ありがとなー!!」
威流　緋雨（何を言ってるんだかな）
威流　緋雨（決断を延ばしているのは、俺の方なのに・・・）

〇おしゃれなリビングダイニング
威流　楓「今日という今日は！」
威流　緋雨「ちょっと疲れているから、あ、後で」
威流　楓「もうその手には乗らないぞ！」
威流　楓「家に女の子を連れ込んでから！ 顔を合わせようとしないだろ!?」
威流　楓「もう！パパはおこですよ！」
威流　緋雨「やめろ！ そういう変な設定!!」
威流　緋雨「あんたには悪いが。 異性は、距離の詰め方が、難しい」
威流　緋雨「３人目の確認には、もうちょっと時間が」
威流　楓「そのことじゃありません！」
威流　緋雨「え、」
威流　楓「男の子の部屋に！女の子と二人きり！」
威流　楓「もっと接近することがあったんじゃないの～？」
威流　緋雨「ないわ!!!!」
威流　緋雨「あんた、もしかして・・・ ずっと俺をおちょくる機会を」
威流　楓「そりゃぁね～ こんな面白い話、つっこまずにはいられな」
威流　楓「だって、こうでもしないとさぁ～」
威流　楓「君は真面目だから」
威流　楓「おれのこと気にして、焦っちゃうでしょ？」
威流　楓「ゆっくりたくさん、考えた方がいいよ」

〇男の子の一人部屋
威流　緋雨（あいつの不真面目さには、腹が立って仕方ないが）
威流　緋雨（３人目探しを、悠長に構えている所は助かる）
　　─遊園地で栗木田の血がついたハンカチ─
威流　緋雨（いくら確認しても）
威流　緋雨（どうしたって栗木田は、３人目で間違いない）
　　じゃぁ家族の為に!!
　　栗木田を犠牲にするのか!?
威流　緋雨（できない!! 岸野はどうなる!?）
威流　緋雨（あいつには、嘘をついて、３人目は栗木田じゃない、って言うのか!?）
　　嫌だ!!俺は!!
　　早く家族を生き返らせたい!!
威流　緋雨（母さん、ひばり、父さん。 俺は早く、みんなに、会いたい・・・）

〇黒

〇教室
　　ー９月上旬・朝HRー
江頭　仁「文化祭実行委員を決めていくぞ！」
江頭　仁「男女一人ずつだ！ 皆で話しあって決めていこう！」
威流　緋雨（大人しくするに越したことはない）
栗木田　真衣「いよいよですよ～!! 岸野さん!?」
岸野　俊介「えぇ！本当に！ 栗木田さん!!」
「文化祭!!３人で盛り上げるぞー!!」
威流　緋雨「い、や・・・」
栗木田　真衣「ねえ！ねえ！ 一緒に文化祭実行委員やろうよ！」
岸野　俊介「お、俺！俺やるよ！」
岸野　俊介「俺が!!やるっ!!」
栗木田　真衣「やったー！ じゃぁ、ひっさは～」
栗木田　真衣「きっしーの補佐ってことで！」
威流　緋雨「俺は、参加しな」
岸野　俊介「文化祭実行委員”補佐”!! いいじゃね～か!!」
威流　緋雨（まぁ、適当に、していればいいか）
江頭　仁「どうだ!? やりたい人はいるか!?」
「はーい!!」
江頭　仁「ちょうど男女一人ずつだな!! 二人に任せてしまっていいか!?」
愛田　星乃「岸野くんは良いと思うけれど。 帰国子女の栗木田さんには荷が重いかも・・・」
１-A（男子）「いいぞー！岸野ー!!」
1－A（男子）「岸野!!お前に任せたー!!」
江頭　仁「男子は岸野に決まりそうだな！ 女子はどうだ!?」
岸野　俊介「俺に任せろー!! 最高の文化祭にしてやるぜー!!」
　　はーい！ってなに～ww
　　日本の文化なめないでくれない？ww
　　帰国子女には任せられんな・・・
　　ねぇねぇ、そしたら、愛ちゃんは？♥️
　　いいじゃん！成績もクラスで１番だしね！
　　優しくて頼りになるから適任だよ!!
江頭　仁「女子はどうだ～？ 誰もいなければ栗木田に決めるぞー！」
1－A「ほらほら！愛ちゃん！」
愛田　星乃「わ、わたし？いいのかな？」
江頭　仁「お！愛田が立候補か！」
愛田　星乃「わ、私で良ければ、務めさせていただきます！」
江頭　仁「愛田で決まりだな！ 栗木田は残念だったが、また来年挑戦してくれ！」
江頭　仁「明日のHRでは出し物を決めていくぞ！」

〇住宅街の道
　　─部活帰り─
岸野　俊介「今日のHR。 栗ちゃん、残念だったな・・・」
岸野　俊介「でもなんで・・・あんなに言われてんだ？」
威流　緋雨「先生には聞こえないくらいの、囁き声だったな」
岸野　俊介「あんな事、言われるような子じゃないのに」
威流　緋雨「愛田星乃って」
岸野　俊介「あぁ。うちのクラスの中心人物だよな」
岸野　俊介「男子に人気ってよりか、女子ウケがいい」
岸野　俊介「成績はクラスで１番。宿題手伝ってあげたり、困り事にもすぐ手を貸して」
岸野　俊介「みんなの姉さんってところか」
威流　緋雨「お前、詳しいな」
岸野　俊介「妹弟たちの面倒みているからな！ そういう人間関係よく見えんのよ！」
岸野　俊介「ま！俺達で文化祭盛り上げていこうぜ！」
岸野　俊介「栗ちゃんの為にもさ！」

〇教室
　　─９月中旬・放課後─
江頭　仁「色んな案が出たな！」
江頭　仁「出し物が決まったら！ 模擬店委員も決めるんだぞ！」
愛田　星乃「様々な案が出ましたので、一度皆さんで確認してみましょう」
　　・おばけやしき（栗木田）
　　・なめこを探せ！（田中）
　　・喫茶店（大久保）
　　・秋の味覚ツアー：ぶどうとか（前田）
愛田　星乃「この中から、１年A組の出し物を決めたいと思いますが、皆さんいかがでしょうか？」
岸野　俊介「俺はお化け屋敷がいいと思う！」
岸野　俊介「文化祭といえばやっぱりこれでしょ！」
1－A（女子）「え～お化け屋敷やだ～」
1－A（女子）「こんなの怖くて作りたくないよね～」
愛田　星乃「では、お化け屋敷以外でどうでしょうか？」
栗木田　真衣「残念！ お化け屋敷は怖かったか～」
威流　緋雨「まぁ、それは人知れぞれだからな」
威流　緋雨「お前なら何の出し物でも楽しめるだろ」
栗木田　真衣「うん！」
　　・なめこを探せ！（田中）
　　・喫茶店（大久保）
　　・秋の味覚ツアー：ぶどうとか（前田）
1－A（女子）「喫茶店、いいと思う～」
1－A（女子）「じゃぁ、それに何か足したら～？」
1－A（女子）「あ！じゃぁさ！」
1－A（女子）「秋の味覚をテーマにした喫茶店は!?」
栗木田　真衣「う～ん♡すてき～♡」
威流　緋雨「よ、良かったな・・・」
1－A（女子）「でもさ、ぶどう微妙じゃね？」
1ーA(女子)「ぶどうのメニューって？」
1－A（女子）「前田ー!?ぶどうって何さー!?」
1－A（前田）「え、えっと、秋といえば・・・ ぶどうかな、って・・・」
1－A（前田）「実家も、ぶどうで、ごにょごにょ・・・」
1－A（女子）「りんごとか～ももとか～ 可愛い感じにしようよ～」
愛田　星乃「威流くんはどうでしょうか？ 自己紹介の時に、ぶどうが好きだと言っていたので・・・」
威流　緋雨「ぶどうは意外と何でも合う。 皆が微妙だと思っているからこそ」
威流　緋雨「意外性として売りに出せば面白いんじゃないか？」
1－A（女子）「いいじゃん!!面白そう!!」
1－A（女子）「ぶどうパフェにしたら可愛いかも!?」
1－A（女子）「ゼリーとかも可愛いよ～!!」
愛田　星乃「それでは、模擬店委員を、威流緋雨くんにお任せするという事でよろしいでしょうか？」
威流　緋雨「そ、それは、こま」
1－A（男子）「クールなくせして！ 意外と乗り気じゃねーか！」
1－A（男子）「模擬店委員はお前に任せるぞ！ 全学年で一番の出し物にしようぜ！」
愛田　星乃「威流くんいかがでしょうか？」
威流　緋雨「そこまで言うなら」
威流　緋雨「中途半端なもん作ったら承知しないぞ!!!」
威流　緋雨「全学年で一番の模擬店にするからな!!!」