チャイルドレイク

びわ子

シンキングタイム(脚本)

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〇血まみれの部屋
神野ツカサ「・・・」
神野アヤト「どうしたの?とーちー・・・」
神野ツカサ「な!?アヤト!来るなといったろ!!」
神野アヤト「えっ!?なんで・・・!?」
神野アヤト「うっ!また・・・」
神野アヤト「人が死んでる・・・」
神野アヤト「う、うわ──!!」
神野ツカサ「アヤト!!」

〇雪山の山荘
神野アヤト「う、うゲェ──!! ハァハァ・・・うゲぇ──!!」
神野ツカサ「アヤト大丈夫か!?」
神野アヤト「ハァ・・・ハァ・・・ウップ・・・」
神野アヤト「また・・・また・・・ 人が死んだんだ・・・」
神野ツカサ「・・・アヤ・・・」
神野アヤト「こんなのもう嫌だよ!! 助けてよ!怖いよ!! もう、死んだ方がマシだよ!」
神野ツカサ「な!?アヤト・・・落ちついて・・・」
神野アヤト「何でとーちーは、落ちついてられるの? 人が死んでるんだよ!? おかしいよ!」
神野アヤト「・・・それとも俺がおかしいのかも──」
神野ツカサ「アヤト!!お前はおかしくない!!」
神野ツカサ「おかしいのは俺だ!」
神野ツカサ「人が死んでるのを見て 苦しくなるのが当たり前なんだよ!!」
神野ツカサ「人の死を見て動揺しないなんて」
神野ツカサ「死 に対して 『慣れている』か『人間じゃない』かだ」
神野ツカサ「何もおかしくない・・・ それが人としてあるべき姿だ・・・」
神野アヤト「・・・」
神野アヤト「とーちーはどっちなの・・・」
神野ツカサ「俺は転職回数が多いっていってただろ?」
神野ツカサ「その一つで特殊清掃の仕事をしていた頃」
神野ツカサ「毎日、人の死に関わりすぎて 慣れてしまったんだよ・・・・・・」
神野ツカサ「いや・・・心の平穏に保つ為に 慣れたフリをしていたのかもな・・・」
神野アヤト「・・・」
神野ツカサ「とにかく俺に任せて、ここで待ってくれ」
神野アヤト「・・・コクン」

〇血まみれの部屋
神野ツカサ「・・・」
神野ツカサ(成人男性、成人女性に幼児の遺体が3体 おそらく家族だろう・・・)
神野ツカサ(全身を強く打って原型を 留めていないほどの損傷)
神野ツカサ(幼児だけはかろうじて 形を保っている・・・)
神野ツカサ(安らかに眠ってください・・・)
神野ツカサ(ん?変だな!? 床だけでなく壁や天井にも 血がついている・・・)
神野ツカサ「このコテージの 散らかり具合からすると・・・」
神野ツカサ「そういうことか・・・」
神野ツカサ「・・・」
神野ツカサ「この奥の部屋が最後だな・・・」
神野ツカサ「奥はドアを挟んで台所・・・ん!?」
神野ツカサ「誰かいるのか!?」
神野ツカサ「な!?」
神野ツカサ「うっ!!腕を切られた!」
神野ツカサ(くそっ!!暗くてよく見えない!! どこからくる・・・!?)
神野ツカサ(パンチは当たりそうもない・・・)
神野ツカサ(この状況で相手が近づくチャンスは 刺しにくる時だけだ・・・)
神野ツカサ(一か八かやってやる!!)
神野ツカサ「くっ!!今だ!」
神野ツカサ「何しやがんだ!!このヤロー!!!!!!」
???「うわー!!」
神野ツカサ「な!?子供の声!?」
神野ツカサ「まて!!」

〇ボロい家の玄関
神野アヤト(とーちー遅いな・・・)
神野アヤト「とーちー!!」
  ガラガラッ!!ドン!!!!
神野アヤト「いててて・・・」
???「ポロッ!コロコロ・・・」
「待て──!!」
???「・・・!!」
「ハァ、ハァ、ハァ・・・」
神野ツカサ「くっ! 逃げられたか・・・!!」
神野ツカサ「アヤト!大丈夫か? ケガはないか!?」
神野アヤト「突き飛ばされてコケただけだよ それにしても、なんだアイツは・・・!?」
神野アヤト「え!?」
神野アヤト「とーちー足!足! 太ももの所から血がでてるよ!!」
神野ツカサ「奥の部屋でいきなり刺された!」
神野アヤト「血が、血が沢山出てる!」
神野ツカサ「焦るなアヤト・・・ とーちーはこんな程度じゃ死なないから」
神野ツカサ「とりあえず止血するもの探してくるよ」
神野アヤト「一人じゃダメだ! 今度は俺も一緒にいくからね!!」
神野ツカサ「わかった・・・途中までだぞ・・・」

〇雪山の山荘
神野アヤト「う、うえ──!! ハァ、ハァ・・・」
神野ツカサ「大丈夫か?」
神野アヤト「そっちこそ大丈夫なの? 応急処置はしてたみたいだけど・・・」
神野ツカサ「あぁ、刺されたのが太ももの外側なので助かったよ。動脈なら命に関わってたからな」
神野ツカサ「腕も外側を軽く切られただけだから 圧迫止血でなんとかなりそうだ」
神野ツカサ「ただ、この脚では移動に支障がでるな 次のコテージに向けてもう出発しよう」
神野アヤト「わかった・・・ 歩きづらい場所は肩かすからね」

〇岩山の中腹
神野ツカサ「ハァ・・・ハァ・・・」
神野アヤト「とーちー、息上がってきてるよ・・・ 顔色も悪いし少し休もうか?」
神野アヤト「血を流しすぎたんじゃない?」
神野ツカサ「心配すんな! 今までが血の気が多かったんだ なくなって丁度いいぐらいだぜ!!」
神野アヤト(ハァ・・・いつものとーちーだな・・・)
神野アヤト「あの子・・・ とーちーを・・・殺そうとしたの?」
神野ツカサ「わからない・・・ ただ、あの歳の子がナイフで差すなんて 戸惑うはずだが──」
神野ツカサ「全く迷いがなかった・・・」
神野アヤト「コテージの生き残りの人なのかな?」
神野ツカサ「素人判断だが違うと思う・・・ 家族と思われる3人の遺体があったが」
神野ツカサ「俺が見た限りでは 死因は全身強打による外傷性ショック死」
神野アヤト「誰かに殺されたの!?」
神野ツカサ「いや、俺達のコテージが 崖から滑り落ちた様に落ちず」
神野ツカサ「”コテージごと回転”して落ちたみたいだ」
神野アヤト「そんな!! じゃあ、俺達もそうなってた 可能性もあったって事!?」
神野ツカサ「コクリ・・・」
神野ツカサ「・・・崩れ落ちる中、 両親は幼児を守ろうと 必死で抱きしめていた」
神野ツカサ「それは我が身を犠牲にしても 幼児を生きさせたいという願いだったろう」
神野ツカサ「結果的には死亡したが 幼児の傷は2人に比べ明らかに少なかった」
神野アヤト「・・・」
神野ツカサ「そんな中であの少年が 無傷なのはおかしいと思う」
神野ツカサ「それよりおかしい行動が、 台所周りの食料を全て持って 逃走したことだ」
神野アヤト「確かに! さっきペットボトル落としていった!」
神野アヤト「とーちーコレ飲んでいいのかな? あの亡くなった人達のだよね・・・」
神野アヤト「なんか火事場泥棒みたいで 飲むのにためらうんだけど・・・」
神野ツカサ「これは、どのコテージの外にも用意されている緊急防災セットのペットボトルだ」
神野ツカサ「”緊急時にはどなたでもご使用下さい” と書かれているから 気にしないで飲んだらいいよ」
神野アヤト「わかった、じゃあ少し飲むね・・・」
神野アヤト「ゴクッ、ゴクッ!」
神野アヤト「美味しい、美味しいよ・・・ とーちーも・・・」
神野ツカサ「ゴクッ、ゴクッ!」
神野ツカサ「ふ──、美味い・・・」
神野ツカサ「他にも食料も入ったバッグだったが あの少年が持って行ったみたいだな」
神野ツカサ「1人で生き延びる為に!? それとも・・・誰かに脅されてか・・・」
神野ツカサ「・・・」
神野ツカサ「・・・アヤトさっき 死んだ方がマシって言ってたな」
神野ツカサ「自然災害で起こる事故を防ぐのは難しい 理不尽な不幸に誰だって遭いたくない」
神野ツカサ「生きたかったろう、辛かっただろう、悔しいだろう、それは残った人間が考える事」
神野ツカサ「──死んだら終わりだ」
神野ツカサ「だからこそ、残った俺達は 『大事に生きていかなくてはならない』」
神野ツカサ「──そうだろ?」
神野アヤト「・・・」
神野アヤト「わかった・・・ 俺、亡くなった人の分も頑張って生きる!」
神野アヤト「甘えてたんだな・・・ 生きたくても生きられない人がいるのに 死にたいだなんて簡単に口に出して・・・」
神野アヤト「もうバカなことは考えず生きていくよ!!」
神野ツカサ「そうカタくなるな 『生まれたからには生きてやる』 ぐらいの気持ちでいいんだ」
神野アヤト(全くどっちが本音だよ! でも・・・とーちーが 俺を心配してるのはわかる・・・)
神野アヤト(生きてやる・・・ 生きて、生き抜いてやる!)

〇黒背景
「おう!拳也、食べもんあったか?」
拳也「こ、これ・・・」
「そうかそうか、よう見つけたな! ご苦労さん」
「ん!?あぁ?」
「飲みもんがないやんけ!!」
拳也「ヒッ!!」
拳也「ごめんなさい、ごめんなさい・・・」
拳也「なんか・・・ 2人組の親子が入ってきて・・・」
「・・・何!?二人組の親子だぁ!? ど、どんな姿しとったんや?」
拳也「親父の方は暗くてよくわかりません・・・ もう1人はは中学生くらいの男で 髪が肩まであるやつでした・・・」
「髪が肩まであるガキやと──!!」
(生きとったんか・・・あの2人!?)
「クソが──────!!!!!!!!!!!!!!」
拳也「ヒッ!」
拳也「『捕まったら殺される』って聞いてたから」
拳也「無我夢中に逃げて気づいたら 台所にあった包丁で 刺していました・・・」
「なんやと!!」

〇地下室
矢柄 鉄「刺してきたんか! はよ言えや── ようやった拳也!コレ食ってええぞ──」
矢柄 鉄「そうか、どこ刺したんや!! 首か!!腹か!? どこや!?」
拳也「あ、脚だと思います・・・」
矢柄 鉄「あ!?」
矢柄 鉄「次はちゃんと下から突き上げるように 刺せやボケ!!わかったか──!!」
矢柄 鉄「・・・ったく」
矢柄 鉄「なぁ・・・拳也、勘違いすなよ・・・」
矢柄 鉄「俺はお前が嫌いやから 怒ってるんちゃうんやで──」
矢柄 鉄「その2人は・・・」
矢柄 鉄「その2人は!艶を・・・ お前のおかんを殺しよった奴やからや!!」
拳也「あ、あの2人が・・・」
矢柄 鉄「そうやあの2人、 俺らを背後からいきなり殴ってきて・・・」
矢柄 鉄「艶は、打ち所が悪かったんやろう・・・ グスッ・・・」
矢柄 鉄「だからや・・・」
矢柄 鉄「拳也わかるな!復讐じゃ!弔い合戦じゃ!」
拳也「アイツら・・・憎い、憎いぃぃぃぃ!!!!!!」
拳也「お・・・おかん──!!」
矢柄 鉄「・・・」
矢柄 鉄(よし、これで兵隊が1人増えたな・・・ それにしてもどうやって 生き延びよったんやあの2人・・・)
矢柄 鉄(まぁ、ええわ 缶詰でも食ってから考えるか)

次のエピソード:金!金!金!(前編)

コメント

  • まだまだ読んでる最中ですが、面白くてスイスイタップが進みます。
    このまま一気読みさせていただきます。

  • 鉄が怖いよー😭
    続きも読ませていただきます!

  • 鉄のアニキ怖すぎる...どんどん複雑になっている気がします😰続きも読ませていただきますっ

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