金!金!金!(前編)(脚本)
〇村に続くトンネル
神野ツカサ「ハァ・・・ハァ・・・」
神野アヤト(とーちー・・・ 太ももの血が止まってない どうしたらいいんだろう・・・)
神野ツカサ「!?」
神野アヤト「ど、どうしたの!?」
神野ツカサ「しっ!!アヤト静かに!!」
神野アヤト(えっ、えっ、何かいるの!?)
神野アヤト「・・・水の音!?」
神野ツカサ「この先から聞こえる・・・行ってみよう!!」
神野アヤト「寄り道して時間は大丈夫なの?」
神野ツカサ「さっきのコテージで2時間も費やしたが」
神野ツカサ「空腹で動けなくなる前に 食料の確保しておかないか?」
神野アヤト「確かに・・・ 缶コーヒーだけじゃ、もたないもんね」
神野ツカサ「よし!決まりだな!!」
〇森の中の沼
神野ツカサ「ア・・・アヤト、見ろ!! 水だ! 水だぞ──!!」
神野アヤト「水・・・大量の水!!」
神野アヤト「なんでこんな所に水や木が!?」
神野ツカサ「上から琵琶湖の水と一緒に流れ落ちた時 くぼみに水が溜まったんだな」
神野アヤト「ちょっとした池みたいだね・・・ 深いのかな?」
神野ツカサ「木の枝で突いてみたけど 水の深さは40cm前後だな」
神野アヤト「とーちー、この水飲めるの?」
神野ツカサ「そのままでも大丈夫と思うが 念の為、煮沸消毒して飲むようにしよう」
神野アヤト「そうだね・・・って・・・ とーちー!!あそこ見て、あそこ!」
神野ツカサ「おいおい・・・アレは魚か!? 80cm位の魚影が見えるぞ!!」
神野ツカサ「鯉か!?ビワコオオナマズか!? それとも、まさか!?ビワマス!!」
神野ツカサ「取るぞ!取るしかない!! アヤト、追い込んで捕まえよう!!」
神野ツカサ「追い込んでくれるだけで良いから! 最後は俺が捕まえる!!ねっ!ねっ!」
神野アヤト(足ケガしてるのに、 何この凄いやる気・・・)
神野アヤト「俺、魚を直接取るなんて初めてだよ・・・ 噛まれない?」
神野ツカサ「琵琶湖の固有種で噛む魚はいないぞ! こうしちゃいられない! まず手を水につけて温度を下げないと」
神野アヤト「水に手をつけるのって意味あるの?」
神野ツカサ「魚にとって人間の温度は ヤケドをするぐらい高い温度になるんだ」
神野ツカサ「魚は微妙な変化を察知し逃げるから 少しでも警戒させないようにしよう」
神野アヤト「で、どうやって獲るの?」
神野ツカサ「あそこに魚が隠れたくなる 大きな石が見えるだろ?」
神野ツカサ「そこら辺にある叩きやすそうな木を使って あの石の方に追い込んでくれ」
神野アヤト「じゃあ俺、反対側から魚を追いかけるから とーちーは石の近くでジッとしててよ」
神野ツカサ「よし!じゃあ、いってくる 石の近くにいったら声を出さないから」
神野アヤト「オッケー! とーちーが定位置に 着いたら手を上げてよね」
神野アヤト(この木・・・バットみたいだな! 使いやすいし、コレにしようっと!)
神野アヤト(おっ!手を上げてる! じゃあ、いこうかな・・・)
バシャ!バシャ!!
神野アヤト(お、逃げてる、逃げてる! 大きいからか動きが遅いな・・・)
バシャ!バシャ!!
神野アヤト(やった! うまく大きな石の下に潜っていった!)
神野アヤト「・・・あれ?」
神野アヤト(このあたりやたらと 魚の死骸が浮かんでる・・・)
神野アヤト(琵琶湖の固有種に 噛む魚はいないらしいけど)
神野アヤト(もしそうじゃなかったら・・・!!)
神野アヤト(そういえば・・・ 琵琶湖にくる前ニュースでやってた!)
神野アヤト(ああっ! とーちーが石の下に 手を入れようとしている!!)
神野アヤト「ま、待って・・・」
神野アヤト「手を・・・手を入れちゃダメだ!!」
神野アヤト「逃げて────────!!!」
神野アヤト「それは外来種だ!指を食いちぎられるよ!」
神野ツカサ「な、何──!!」
神野ツカサ「うわ────────!!」
神野アヤト「とーちー!危ない!! うわあぁぁぁぁ──!!」
バチ─ン!!
バシャ!バシャバシャ!!
スゥ───
神野ツカサ「うわうわうわー!!バシャ、バシャバシャ!!」
神野アヤト「早く登って!!」
神野ツカサ「ハァ、ハァ、ハァ!!」
神野アヤト「フゥ、フゥ・・・よかった・・・」
神野ツカサ「ハァ、ハァ・・・」
神野ツカサ「ありがとう・・・助かったよ でも、なぜわかったんだ?」
神野アヤト「──わかってないよ」
神野アヤト「ふと頭の中に、 テレビで危険な外来種が琵琶湖で 確認されたって話を思い出したから」
神野アヤト「そしたら勝手に体が動いてただけだよ」
神野アヤト「それに、とーちーはテンションが変だし ケガのせいか判断能力が落ちてるだろ」
神野ツカサ「・・・ごめん、でも助かったよ」
神野ツカサ「ここの魚がアイツに殆ど食べられたのかな」
神野アヤト「もう手づかみでは 危なくて取れないね・・・」
神野ツカサ「うん・・・別の手段で取るしかないな!!」
神野アヤト「危ないよ!まだとるきなの!?」
神野ツカサ「さっきの魚が大きな石の下に潜ったら 別の石を強くぶつけて」
神野ツカサ「震動や音響で気絶させて 浮いてきたところを捕まえよう!」
神野アヤト「は!? そんな取り方あるなら 何で最初から、やらないんだよ!!」
神野ツカサ「いやぁ・・・ 素手で取って『とったぞぉ──』って カッコつけたくてさ・・・」
神野アヤト「はぁぁぁ──!? そんな『か・ら・だ』で どの口が言っているんだよ!!」
神野ツカサ「いや、タンマタンマ! 冗談だって!聞いてくれ!!」
神野ツカサ「今話した、やり方は”石打漁”といってな」
神野ツカサ「その場に棲息する魚類を ”根絶やしにする”可能性も高く」
神野ツカサ「多くの場所で禁止されて 無闇矢鱈にしてはいけないんだよ」
神野アヤト「・・・」
神野ツカサ「だけど今の環境や 食料がない特殊な条件なら 大義名分も立つだろう」
神野アヤト「外来種だから殺すんじゃなくて、 生きる為に殺すんだね・・・」
神野ツカサ「そうだ、人間は他の生き物を食べないと 生きていけない罪深い生物だ」
神野ツカサ「──取るぞアヤト!生きる為に!!」
神野アヤト「・・・」
神野アヤト「わかった! とーちーは岩の後ろで いつでも投げられるように待機しといてね」
神野ツカサ「準備が出来たら、また手を上げるから」
神野アヤト(あの魚はどこだ?どこにいった・・・)
神野アヤト(あれだ! 端の方でウロウロしている)
神野アヤト(とーちーは手を上げている よし、片っ端から叩いてやる!)
神野アヤト(棒で殴られたのが痛かったのか、 一目散に穴の中に入っていった!)
神野アヤト「今だ!とーちー!!落とせ!!」
神野ツカサ「おおぉぉぉぉぉぉぉ!!」
「どうだ・・・!?」
プク──ッ・・・
神野アヤト「浮いてきた!とーちー!!」
神野ツカサ「おおぉぉぉ──!!」
神野ツカサ「やった・・・!とったぞ──!!」
神野アヤト「とーちーすげぇ!! あんな所から飛んで足痛くないの!?」
神野ツカサ「え!?痛っ! いててててて・・・!!」
神野ツカサ「アヤト・・・運ぶの手伝ってくれる?」
神野アヤト「しまらないなぁ・・・ ま、そこが、とーちーらしいけど」
神野アヤト「肩貸すよ、一緒に運ぼう!」
〇密林の中
神野ツカサ「フゥ──、ここで捌くとするか」
神野アヤト「ハァ、重たかったー! 何キロあるのこの魚!?」
神野ツカサ「10キロ以上ありそうだな・・・ 子持ちなのかなお腹がでてるな」
神野ツカサ「アヤト捌いてる間、悪いけどそこらにある 乾いた木の枝を集めてくれないか」
神野アヤト「わかった、頑張ってね」
神野ツカサ「それにしても硬い鱗だな・・・ 内臓だけ出してぶつ切りにするか」
グサリッ!ザクッ!ビビビビビビッ!
──カツン!
神野ツカサ「なんだ!?胃になんか入ってるのか?」
神野ツカサ「・・・!!」
神野ツカサ「こ、これは卵じゃない!!」
神野ツカサ「魚の形をした金だ!!」
神野アヤト「とーちー、何それ!?」
神野ツカサ「魚の胃袋に入ってたんだ! 一枚だけじゃない何十枚も・・・」
神野アヤト「え──────!! また金を見つけたの!?」
神野アヤト「それであんなに重たかったのか・・・」
〇密林の中
???「・・・」
アヤトくんが、だんだん成長しているのが分かる回だったと思います。
相変わらずトーチーはどこか抜けていて、憎めないですね。
魚から金が出てきた!
ヤクザの狙いはコレ?
魚に関する知識がリアリティを強調してていいですね!
なんとか食料を得た2人ですが、あの金は一体…
親子の連携プレイで食料問題も解決!と思いきや、謎の金😳
どう関わってくるのか😆
そして、それを狙う(?)あの少年…
続きが気になります😆