ウンソーとハッカー

ソエイム・チョーク

エピソード4(脚本)

ウンソーとハッカー

ソエイム・チョーク

今すぐ読む

ウンソーとハッカー
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇黒背景
  前田たちが所属している藤山コインという会社
  ここはビットコインなどの暗号通貨を取引していると言う
  ネットで調べても難しいことばかり書いてあってよくわからなかったけど
  要するに、前田たちにお金を預けると増えて戻ってくるようだ
  詐欺みたいな話にも聞こえるけど、実際に儲かっている人たちも大勢いる、と広告にも書いてある
  いっそ僕も、恥を忍んで、前田たちにお金を増やしてもらおうかと思ったけれど・・・
  一例として、1000万円預ければ、一年で150万円の配当が得られるらしい
  1000万円か・・・
  お金を貰うためにお金が必要なんて、世の中うまい話はないもんだな

〇雑居ビルの一室
  そんなこんなで今日もウンソーイーツの配当だ
  また藤山コインか・・・
  こいつら、遠くの店で注文するし、量も多いし、チップくれないし、前田たちがいるし・・・
  本当はやりたくないんだけど
遠藤浩一「こんばんは、ウンソーイーツです!」
加藤「おせえよ! てめえ、なめてんのか!」
  加藤が紙吹雪をばらまく
  主に僕の顔に向かって
遠藤浩一「うわっ? ブハッ? 何これ?」
加藤「どうだ? 楽しい気分になっただろう?」
遠藤浩一「やめて・・・こっちは仕事中です」
加藤「ははは、お前には何をしたっていいんだよ」
遠藤浩一「そんなわけ、ない」
加藤「嫌なら逆らってみろよ、なあ? できないんだろ?」
前田「そんなことよりさ、届けるのいくらなんでも遅くない?」
前田「注文から二時間は時間かかりすぎでしょ」
遠藤浩一「自分は受け取ってから最速で届けていますが?」
内海「まあ、いいじゃないか、届いたんだから 待っている間に仕事もはかどっただろ?」
遠藤浩一「・・・」
  止めてくれた?
  いや、なんか違う気がするな・・・
遠藤浩一「・・・本当に儲かってるんですかここ」
内海「おいおい、もちろん儲かっているとも 顧客は増え続ける一方だし、株価もうなぎ登りだよ」
遠藤浩一「でも・・・あちこちのブログで、詐欺だって書かれてましたよ?」
内海「そんなわけないだろ、きっと嫉妬してデタラメを言っているだけさ」
  もちろん嘘だ、みんな絶賛している
  探したけど悪口はひとつも見つからなかった
  でもなんで断言できるんだろう?
  ・・・エゴサしてるの?
内海「君も投資してみる?」
遠藤浩一「えっ?」
内海「嘘だよ、ここで口座を開くには、最低でも500万円からだ そんなお金ないだろ?」
遠藤浩一「くっ・・・」
内海「ほら、早く次の配達に行きなさい」
  舐めたことを言ってくれる・・・
加藤「ほら、早く帰れ帰れ!」
  また紙吹雪か・・・
  ホントなんなんだ、こいつら・・・
前田「・・・」
前田「言っとくけど、これ掃除するの、お前だからな」
加藤「マジで?」

〇古いアパート
  何が楽しいのか知らないけど、やりたきゃ好きなだけやれ
  僕は藤山コインでのやり取りを全て、ボディーカメラで録画している
  この映像をインターネットに流すだけでも、そこそこ炎上させることはできるだろう
  けど、こんなのじゃ足りない
  前田たち全員が、社会的に死ぬか、逮捕されるか・・・それぐらいのネタが欲しい
  ・・・ところで、ここの配達員評価がものすごく低いんだけど、こいつら何やったんだ?
  まさか、僕だけじゃなくやってくる配達員全員に嫌がらせをしてるのか?
  いや、いくら前田たちでも、そこまでアホではないだろう
  最近はみんなが嫌がるせいで、僕以外誰も配達していないようだ
  僕もあまり引き受けたくないから後回しにして、それで二時間待ちとかになってしまうのだろう
遠藤浩一「はあ・・・ 帰宅なう、と」
遠藤浩一「あ、木﨑さんからメッセージが来た」
木﨑「来週の木曜の夜、何か予定はありますか?」
遠藤浩一「特に予定はないよ」
木﨑「実は、私の誕生日なんです」
遠藤浩一「おめでとう!」
木﨑「それでパーティーのようなものを開きたくて、遠藤さんを招待したいのです」
遠藤浩一「是非よろこんで、プレゼントかなにか、用意した方がいいですか?」
  何を買うかが難しい
  相手はお金持ちだからな
木﨑「それじゃあ、今の私では買えない物をお願いしてもいいですか?」
遠藤浩一「そんなものあるの?」
木﨑「ワインです、今はまだ19歳だから、誕生日に間に合うよう用意できないんです」
遠藤浩一「なるほど」
木﨑「5000円ぐらいので、甘いのでお願いします」
遠藤浩一「わかった」

〇タワーマンション
遠藤浩一「こんばんは、1507号室でお願いします」
警備「あれ? 今日はウンソーじゃないの?」
遠藤浩一「はあ、そうなんですけど・・・」
警備「うーん、ちょっと待ってね」
警備「・・・という状況なんですが・・・ はい・・・なるほど、わかりました」
警備「はあ・・・」
警備「遠藤くん? 君は勘違いしているようだね」
遠藤浩一「えっ?」
警備「君は今日、住人から正式な招待を受けている それなら業者用の入り口から入るのは違うよね?」
遠藤浩一「あっ? そうか・・・」
警備「正面エントランスは向こうだ 来客用の駐車場もあるから、バイクはそこに止めてくれ」
遠藤浩一「はい」
警備「グットラック」

次のエピソード:エピソード5

成分キーワード

ページTOPへ