第六話 JKだけど、弟子入りしてもいいですか?(脚本)
〇古いアパートの一室
まらすけ「た、たすけて・・・」
???「あんた、誰。こいつとどういう関係?」
花木真奈央「まらすけ先生は、私のエロ漫画の師匠です!」
まらすけ「ちが、違う・・・」
???「何、あんた自分が漫画描いてないクセに師匠とかやってんの?」
まらすけ「だから、違うって!」
まらすけは力を振り絞り、女の手を振りほどいた。
まらすけ「し、死ぬかと思った」
花木真奈央「そういうあなたは誰なんですか。まらすけ先生をタコみたいにぬるぬると絞めあげて」
???「口の利き方に気をつけな、小娘」
???「あたしは折戸久美子(おりどくみこ)」
折戸久美子「天下の少年ジャンピングで『ベリー・ストロング』を連載してる、泣く子も黙る大作家様だ!」
花木真奈央「へー」
折戸久美子「反応薄っ! もっと驚けよ。あの『ベリスト』の作者だぞ!」
花木真奈央「すみません、エロ漫画以外疎くて」
折戸久美子「疎いってレベルじゃねぇだろ」
折戸久美子「ったく、エロ漫画描いてる奴にはろくなのいねぇな」
まらすけ「そういう久美子だって昔は・・・」
折戸久美子「ああん!?」
まらすけ「なんでもないです・・・」
花木真奈央「師匠をいじめるのはやめて下さい」
折戸久美子「師匠ねぇ。果たして、こんな変態クズ人間に師匠なんてできるのかねぇ」
まらすけ「そこまで言わなくても・・・」
折戸久美子「・・・よし、お前ら、公園行くぞ」
「えっ!?」
折戸久美子「いいから行くぞ。おら」
そう言うと久美子は、二人の首根っこを掴んで、外へと引きずっていった。
「ぐえぇぇっ!」
〇広い公園
折戸久美子「よし、お前ら。あそこに大きな木があるだろ」
まらすけ「ちょ、ちょっと待って・・・」
花木真奈央「息が、息が・・・」
折戸久美子「早く治れ」
折戸久美子「そして、あの木を、エロく描け」
まらすけ「はぁ?」
折戸久美子「ちゃっちゃと描きな。日が暮れるよ」
折戸久美子「まらすけ、あたしはあんたの腕が鈍ってんじゃないかって疑ってんだ。そしたら弟子になるこの子が可哀そうだろ」
まらすけ「だから、師匠ってのはこの子が勝手に言ってるだけで」
折戸久美子「おい、いいのか。弟子はもう描き始めてるぞ」
花木真奈央「木をエロく。フォルムの話か。いや、もっと木が本来持っている恥じらいと、若葉の処女性をリンクさせて・・・」
まらすけ「なんでこの課題に疑問を持たないんだ!」
折戸久美子「くっくっく、花木真奈央。悪くないねぇ」
まらすけ「あー、もう分かったよ。描けばいいんだろ」
鹿嶋紳助「あー、やっぱり久美子さんや」
折戸久美子「おう、鹿嶋か。久しぶりだな」
鹿嶋紳助「ほんま、久美子さんの声はどこにいても分かるわ」
鹿嶋紳助「・・・で、この二人は何してんすか」
折戸久美子「木をエロく描かせてんだよ」
鹿嶋紳助「あかん、全然意味が分からん」
折戸久美子「いいから、黙って見とけ」
鹿嶋紳助「久美子さん、よくまらさんとこ来るんですか?」
折戸久美子「月に一回か二回、首絞めに行ってるよ」
鹿嶋紳助「首絞めにって・・・」
鹿嶋紳助「やっぱり、またまらさんに描いてほしいんですね」
折戸久美子「・・・こいつは天才だからな」
花木真奈央「できた、描けました!」
折戸久美子「遅い」
花木真奈央「え、でも・・・」
折戸久美子「花木、まらすけの見てみろ」
花木真奈央「え、これって・・・!?」
まらすけ「早く描きあがったから、他に遊具の絵も描いてたんだよ」
花木真奈央「私が一枚描く間に、三枚も。それに・・・」
折戸久美子「鹿嶋、どっちの方がエロい?」
鹿嶋「言わへんでも分るでしょう。まらさんのはそのままオカズになるレベルや」
鹿嶋「対して真奈央のは・・・」
花木真奈央「私のはただの・・・木」
折戸久美子「まったく。憎らしいほど衰えてないねぇ。3年間、新作は出してなくても、描くことをやめてたわけじゃないんだろ」
まらすけ「・・・・・・」
折戸久美子「あんたの目はエロフィルターに覆われている」
折戸久美子「女はもちろん、汚いオッサンも、かわいいトイプードルも、公園の錆びた遊具さえ、エロく見えてしまう変態」
まらすけ「うわあああああ!」
鹿嶋紳助「あ、まらさん、どこ行くんすか!」
花木真奈央「うおおおおお!」
鹿嶋紳助「え、真奈央も!?」
折戸久美子「くっくっく、青春だねぇ」
鹿嶋紳助「まらさんもヤバい人ですけど、真奈央も十分ヤバいんです」
折戸久美子「それは、楽しみだねぇ」
〇古いアパートの一室
花木真奈央「まらすけ先生、いえ、師匠!」
まらすけ「僕は君の師匠なんかじゃない、帰れ!」
花木真奈央「嫌です。弟子にしてもらえるまでここを動きません!」
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