エピソード35(脚本)
〇ファンタジーの学園
ネリアル氏の遺体は焼け焦げている。突然発火して亡くなったのだから、当然なんだけど。
焼け方は上半身の背中の方が酷く、一番焼け方が酷いのは、頭部の様だ。完全に炭化している。叩いたら崩れてしまいそうだ。
ロク「上から燃えたみたいだなぁ」
僕のつぶやきに、ジョマは不思議そうな表情を浮かべる。
ロク「ほら、上半身の焼け方が酷い、特に頭部だけど・・・・・・下半身は焼けてはいるけど、上半身ほどじゃない」
ジョマ「あぁ、言われてみればですね」
僕の指差しを目で追ったジョマが頷く。僕は遺体から読み取れる事柄を言い連ねていく。
ロク「それから、上半身でも背中の方が焼け方が酷い、」
ロク「おそらく何かから咄嗟に身を守ろうと背中を丸めたんだと思う」
ロク「・・・・・・体が突然燃えたというより、何かが降ってきたから、身を守ろうと、背中を丸めたのかな」
ネリアル氏がそうしている姿を、僕は想像する。ありえそうだ。でも、ネリアル氏に何かが降り降り注いだのは、目撃されていない。
そんな事が起こっていたら、誰かが見てそうだけど、たまたま証言が取れなかっただけだろうか。
ジョマ「いえ、それは行動としておかしいですね」
少し考えていたジョマが口を開く。僕は「どういう事?」と問い返した。
ジョマ「ネリアル氏の魔法の実力は・・・・・・聞く限りですが、かなりの物だった訳です、」
ジョマ「何かが降ってきたのなら、庇う様に背中を丸めるより、魔法で防ぐと思いますよ」
ロク「あぁ、そうか」
僕は忘れていた。魔法という存在があり、ネリアル氏はかなりの使い手だった。
ジョマの言う通り、何かが降ってきたら、とりあえず魔法で防ぐだろう。
ロク「そうなると、何かが降ってきた訳ではないか」
頭の中を整理する様に、僕は考えを声に出す。
ロク「それから、魔法で何とかする前に、強力な火力によって、意識を失い死亡した」
僕は想像してみた。何かが降ってきた訳ではない。
でも、突然、頭が燃えて、何が起こったか理解できずに、厳密に言うなら防ぐべきものがその一瞬で判断できずに、
庇う様に背中を丸めて、意識を失いそのまま死亡した。
ロク「ふぅむ」
ジョマ「何かわかりました?」
問いかけてきたジョマの言葉に、僕は首を振って応える。
ロク「まだ何も・・・・・・でも何か引っかかる」
僕はもう一度、念入りにネリアル氏の遺体を観察する。焼け焦げてはいるけど、それほど焦げていない所もある。特に胸側。
焼けてはいるけど、炭化はしていない。背中や頭部に比べて。
背中を丸めたのは確かだろうけど、なぜこんなに差がでたんだ。よく見れば、焼け方の跡が。
ロク「・・・・・・もしかして」
ジョマ「どうしました?」
僕のつぶやきに反応したジョマが、問いかけてくる。少し興奮した僕は、その問いかけを無視してジョマに聞いた。
ロク「特殊捜査室事案の過去の物を見たいんだけど!」