エピソード2 ビ、ビッグトレントですって!?(脚本)
〇西洋風の受付
ギゼルによってパーティを追放された翌日の夕方
一日の魔物狩りを終えた俺は、冒険者ギルドに顔を出した。
カイル「よう。魔石の買い取りを頼む」
受付嬢「あら、カイルさん」
受付嬢「元気そうでよかったです。 心配していたんですよ」
カイル「心配?」
受付嬢「ええ。 何でも、ギゼルさんやリリサさんと揉めていたとか」
受付嬢「それで、仲直りしたんですか?」
カイル「いえ、仲直りはしていないな」
カイル「パーティから追い出されちゃってね」
受付嬢「そ、そうなんですね・・・」
受付嬢「あの、大丈夫ですか? 結構ひどいことを言われていたという噂ですけど」
カイル「平気だよ! むしろ清々しいくらいさ!」
カイル「今日も1人で好きに狩りをしたところだし」
受付嬢「あの・・・。 ヤケになってはいけませんよ?」
受付嬢「カイルさんはDランクですし、また新たにパーティメンバーを探して安全に活動してくださいね」
カイル「忠告ありがとう。 だが、しばらくはソロで活動しようと思っているんだ」
受付嬢「そうですか・・・。 まあ、揉め事があった直後にパーティを組むのは嫌でしょうから仕方ないですよね・・・」
受付嬢「ソロでも低級の魔物なら問題ないはずです。頑張ってください!」
カイル「おう。 それで、魔石の買い取りの方だが・・・」
受付嬢「はい。拝見致します」
受付嬢「・・・って、ええええぇっ!?」
受付嬢「な、何ですか! この魔石の大きさは!!」
カイル「そんなに驚くほどか?」
受付嬢「それはもう! Dランクの方がソロで狩ることができる魔物といえば、ゴブリンやホーンラビットぐらいじゃないですか!」
受付嬢「こんなに大きな魔石は取れませんよ! いったい何を討伐されたのですか!?」
カイル「トレントだよ。 森で狩ってきたんだ。 ビッグトレントも何体か倒したかな」
受付嬢「ビ、ビッグトレントですって!? 上級の魔物じゃないですか!」
受付嬢「それに、トレントだって中級の魔物です! カイルさんがソロで討伐できるはずが・・・」
カイル「はっはっは。 確かにビックリしてもおかしくないか。 俺も最初は驚いたよ」
カイル「だが、俺のスキルがレベルアップしてな。 よくわからんのだが、植物系の魔物に大ダメージを与えるスキルらしいんだ」
ステータス画面には、こう書いてある。
レベル1:掃き
レベル2:履き
レベル3:葉切
昨日得たスキルはレベル3の葉切だ
俺はこの文字を読めないのだが、おそらくは植物系の魔物に大ダメージを与える類の言葉が書かれているに違いない
受付嬢「そ、そうでしたか・・・。 外れスキル扱いされていたスキルが、そんなにもすごいものだったなんて・・・」
カイル「まあ、所詮は植物系の魔物限定だけどな」
受付嬢「それでも十分に凄いですよ! 上級のビッグトレントをソロで倒しちゃうなんて!! ウハウハじゃないですか!」
カイル「ふふっ。そうだな。 しばらくはトレント狩りで稼がせてもらおうと思っている」
カイル「ソロだから、魔石しか回収できないのが難点だがな」
受付嬢「トレントの死体は、木製の武具や薪に利用されますもんねー。 やっぱりパーティを組まれますか?」
カイル「都合よく荷物持ちをしてくれる奴がいれば臨時パーティを組んでもいいが、必須ではないな。 魔石だけでも十分に稼げるし」
カイル「そのうち、スキルレベルも4に上がるだろ。 そのスキルの力によって、それからの方向性を決めるさ」
カイル「ビッグトレントは上級で、トレントは中級の魔物だ。 今まで狩っていた低級の魔物よりもレベリング効率がいい」
カイル「おそらく、そう遠くないうちにスキルレベルが上がるはずだ」
受付嬢「それもそうですね。 カイルさんの今後の活躍に期待して、今夜ご一緒にどうですか? もうすぐで上がりなんです!」
カイル「おう。それはいいな。 じゃあ、以前も飲んだあの店で待ってるよ」
俺は満足感と共に冒険者ギルドを出る。
ギゼルに追放された時はどうなるかと思ったが・・・。
スキルが覚醒した今、特に問題はないな。
しばらくはトレント狩りで稼がせてもらおう。
受付嬢さんも驚く外れスキル(?)の真相、さらに高レベルでは凄いことになりそうですよね。それにしても、何やら受付嬢さんと仲睦まじい感じ、恋やら何やら発展していくのでしょうか?