創作怪人-ソウサクカイジン-

紗卦冬葉(さけとば)

神聖比率-シンセイヒリツ-(脚本)

創作怪人-ソウサクカイジン-

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〇美術室
鳴戸 玲生(ナルド レオ)(・・・今日も、『失敗作』だな)
鳴戸 玲生(ナルド レオ)(自然と建物の調和が全然出せてない)
  私は一応、絵描きの端くれだが
  絵を『完成させたことが無い』
  途中で筆を置いてしまうからだ
  日々、私は画集を眺めて、
  天才達の『創作物』を頭で反芻し
  その美しさに絶望を繰り返す
  どんなに努力を重ねても、
  届くはずのない高い壁が、
  そこにあるから、
  なのに、なぜ、
  そんな『無価値』な私は────

〇美術室
鳴戸 玲生(ナルド レオ)(何この感覚・・・!? 揺れてる・・・!?)
鳴戸 玲生(ナルド レオ)(あれ? 問題なく立ってられる・・・)
鳴戸 玲生(ナルド レオ)「揺れてるのは『景色だけ』?」

〇汚い一人部屋
  今回〝も〟会心の出来だぜッ・・・
  『オリジナル怪人フィギュア』ッッ!!
美計良 治郎(ミケラ ジロウ)「この『完璧な芸術』を世に知らしめようッ 拡散ッ!SNS拡散ッ!」
美計良 治郎(ミケラ ジロウ)「怪人名『メタル・ビートル・モンスター』 ────っと(カタカタ・・・)」

〇SNSの画面
  あら〜可愛い頭部♡
  再現してあげますね→🖕
  悪名は無名に勝るって言うけど
  無名の方がマシなレベルの名前だね
  『失敗作』じゃないの?
  3万円くれるなら貰ってあげてもいいよ^_^

〇汚い一人部屋
美計良 治郎(ミケラ ジロウ)「・・・」
美計良 治郎(ミケラ ジロウ)「まっ、お前たちには分からねェさ この”領域(レベル)”の芸術なんてよォ」
美計良 治郎(ミケラ ジロウ)「さァ、気を取り直して 次のフィギュア制作に取り掛かるか!」
美計良 治郎(ミケラ ジロウ)「イメージ温めてきた『ブラック』の封印、 いま解き放って立体に興してやるぜ!!」

〇汚い一人部屋
美計良 治郎(ミケラ ジロウ)「地震!? フィギュア達が危ねェ!!(バタバタ)」
美計良 治郎(ミケラ ジロウ)「・・・・・・あれ? 『揺れてるけど、部屋は揺れてないぞ』?」

〇サイバー空間
美計良 治郎(ミケラ ジロウ)「うわっ!!」
鳴戸 玲生(ナルド レオ)「何ここ!?」
『美の神』「絵画、彫刻、音楽、小説、漫画、料理、 アニメ、映画、演劇、服飾デザイン・・・」
『美の神』「ありとあらゆる『創作』に情熱を注ぐ」
『美の神』「将来有望な100人の『創作者の卵』達よ」
『美の神』「この『美しくも歪んだ今の世界』を 『正しい在り方』に創り直す為に」
『美の神』「あなた達はこの『美の神』に選ばれました」
美計良 治郎(ミケラ ジロウ)「・・・異世界転生?」
『美の神』「馬鹿みたいな発言ですね」
『美の神』「私があなた達に望むことは、ただの一つ」
『美の神』「人間が生み出せる芸術の中でも────」
『美の神』「『最高傑作』と呼べるものを、 創り上げて欲しいのです」
鳴戸 玲生(ナルド レオ)「・・・『美しさの基準』なんて、 作り手やジャンルでそれぞれ違うのに、」
鳴戸 玲生(ナルド レオ)「何を持って、 『最高傑作』と言えるのでしょう?」
『美の神』「現代風に分かりやすく言えば」
『美の神』「あなた達には切磋琢磨(コロシアイ)してもらい」
『美の神』「最終的に残った只一人が 『最高傑作』を創るに相応しい人間となる ────分かりやすいでしょう?」
  生き残った最後の一人には
  願いを何でもひとつ叶えることを約束します
  『美の基準』たる『最高傑作』を創れば
  『歪んだ世界の在り方』を
  正しく導ける筈なのです

〇センター街
  この世界は、”身につけている技術”なら
  『あらゆる創作過程を簡略化』出来ます
  そして、完成した『作品』は、
  私が一瞬で『鑑定』させてもらい
  高いランクの『作品』は相応に、
  神の如き権能を扱える”力”を授けましょう
鳴戸 玲生(ナルド レオ)「・・・」
美計良 治郎(ミケラ ジロウ)「・・・」
美計良 治郎(ミケラ ジロウ)「・・・異世界転生?」
鳴戸 玲生(ナルド レオ)「馬鹿みたいな発言ですね」
鳴戸 玲生(ナルド レオ)「私たち、殺し合いを 強制させられたみたいですよ?」
美計良 治郎(ミケラ ジロウ)「順応性高すぎだろお前・・・ 誰か知らんけどさ・・・」
美計良 治郎(ミケラ ジロウ)「『歪んだ世界の在り方』〜とか 『最高傑作』創れ〜とか訳分からねェ!」
美計良 治郎(ミケラ ジロウ)「そもそも作品創れって言われたけど 材料も道具もねーじゃん!!」

〇センター街
『美の神』「言ったでしょう? 『あらゆる過程を簡略化』出来ると」
美計良 治郎(ミケラ ジロウ)「わっ!イキナリ!」
『美の神』「『道具』『素材』『工程』 あなたの魂が理解してる範囲でなら──」
美計良 治郎(ミケラ ジロウ)(ん゛〜〜〜・・・)
「一瞬です」
  オレの・・・『傑作』が・・・

〇センター街
鳴戸 玲生(ナルド レオ)「なんか作品出てきたんだけど!? いくらなんでも早すぎ!」
美計良 治郎(ミケラ ジロウ)(完成させたからなのか 少し疲労もあるな・・・)
鳴戸 玲生(ナルド レオ)「・・・何コレ、フィギュア?」
美計良 治郎(ミケラ ジロウ)「オレの『傑作』! 『メタル・ビートル・モンスター』だぜ!」
  ランク【D】-愚作
鳴戸 玲生(ナルド レオ)「『愚作』だって」
美計良 治郎(ミケラ ジロウ)「神にも理解出来ねーか! オレの『芸術』の素晴らしさは!!」
タッソー「クソみてーなネーミングだな🖕」
美計良 治郎(ミケラ ジロウ)「おっ?第一村人発見だな!」
タッソー「コッチのセリフだ『玉ねぎヘッド🧅』が!!」
美計良 治郎(ミケラ ジロウ)「テメーも十分 『浣腸ヘッド(挿入タイプ)』だよ!🖕」
タッソー「オレの『傑作』、『蝋人形』で・・・」
『蝋人形』の芸術「ケシ炭に変えてやるぜ!! ぎゃははははは!!!」
  ランク【C】-佳作
鳴戸 玲生(ナルド レオ)「・・・『かさく』 ・・・入賞一歩手前レベルか」
『蝋人形』の芸術「・・・」
『蝋人形』の芸術「ブッコロスッッ!!!」

〇センター街
美計良 治郎(ミケラ ジロウ)(アレは『創作物』と一体化したって事か?)
美計良 治郎(ミケラ ジロウ)「だったらこっちも、 同じことが出来るハズだぜ!」
美計良 治郎(ミケラ ジロウ)「変・身ッッ」
『怪人』の芸術「ウヒョォォオ!! 念願の『怪人コスプレ』出来るとは!!」
鳴戸 玲生(ナルド レオ)(『ライダー側』じゃなくて 『怪人側』なんだ・・・)
鳴戸 玲生(ナルド レオ)「!!」
『怪人』の芸術「『不意打ちは怪人の特権』、 その程度の攻撃『読んでる』ンだよッ!」
『蝋人形』の芸術「てめェ、そこの女も『敵』なんだぞ? 状況分かってんのか?」
『怪人』の芸術「『怪人』は人道外れた奴らの集まりだが、 俺はあくまで『創作者』だ」
『怪人』の芸術「てめェみてーな外道と違って、 アタマのネジは外れちゃいねェ!!」
『蝋人形』の芸術(熱くねえのか!?)
『蝋人形』の芸術「がっ?!」
『怪人』の芸術「カブト虫に掴まれた後は、 ”トルネード注意報”だぜ?」

〇センター街
『蝋人形』の芸術「ガハッ・・・クッソ・・・!」
『蝋人形』の芸術(瓦礫まで巻き込みやがって パワーの差が大きい・・・!)
『蝋人形』の芸術(だがちょうど、『距離が開けた』)
『蝋人形』の芸術「『人海戦術』と『遠距離攻撃』」
『蝋人形』の芸術「『役立たず』と『近接バカ』には どうにも出来ねェ芸当だろ?」

〇センター街
『怪人』の芸術「お前、早く逃げとけ」
『怪人』の芸術「巻き込まれたのは お互いに災難だったけどよ」
『怪人』の芸術「『戦えない』なら 離れて身を隠してた方が良い」
鳴戸 玲生(ナルド レオ)「・・・!」
『怪人』の芸術「こんなに危ない場面でも、 ルール通りに『創作物』出さないって事は、」
『怪人』の芸術「それなりの理由があるんだろ?」
鳴戸 玲生(ナルド レオ)「私は、絵描きだけど、 絵を『完成させた事がない』の・・・」
『怪人』の芸術「・・・」
『怪人』の芸術「筆、握って何年だ?」
鳴戸 玲生(ナルド レオ)「えっ・・・?小さい頃から・・・」
『怪人』の芸術「・・・そっか!」
『怪人』の芸術「そンくらい真剣に絵と向き合い続けて、 『完成させた事ない』って豪語するなら」
『怪人』の芸術「いつかお前の創る『完成作』は、 超絶すごい『傑作』なんだろうな!!」
鳴戸 玲生(ナルド レオ)「・・・!」
『怪人』の芸術「フィギュアメイク歴15年の オレから『アドバイス』!」
『怪人』の芸術「作品を『完成』させる為の『3ヶ条』!」
『怪人』の芸術「『制作期間を限定する』! 『自分に対して甘くなる』! そして最後は・・・」

〇センター街
『蝋人形』の芸術「『さっさと諦めて死にやがれ』!!」
『怪人』の芸術「ぐ・・・大丈夫か?!」
鳴戸 玲生(ナルド レオ)「私庇うと、そっちが先に死んじゃうよ!!」
『怪人』の芸術「大丈夫だ・・・! 火なんて吹き飛ばしちまえば・・・!」

〇センター街
鳴戸 玲生(ナルド レオ)「何あれ・・・!」
  ランク【≠】-贋作
『蝋人形』の芸術「『贋作』たぁあまりに失礼だぜ!! オレ自慢の『蝋人形』は炎で操作出来る!」
『蝋人形』の芸術「数で押して動き固めりゃァ アウトレンジから燃やし放題だぜ!!」
『怪人』の芸術「ぐぅ・・・すまねェ! 逃げるチャンス潰しちまった・・・!」
鳴戸 玲生(ナルド レオ)(・・・・・・このままじゃ)
鳴戸 玲生(ナルド レオ)(・・・2人とも死んじゃう!)
鳴戸 玲生(ナルド レオ)(この人助けられるのは ・・・私だけなんだ!)
鳴戸 玲生(ナルド レオ)(作品・・・『創らなきゃ』!)

〇センター街
『美の神』「・・・中々大変な思いしたのね」
鳴戸 玲生(ナルド レオ)「『美の神』は 人間の大変さが分かるんですか?」
『美の神』「全然?神だから知らないよ」
『美の神』「でも人間が『美しさ』を求める行動は 『神の視点』を取り込む事と同義」
『美の神』「長生きしないよ? って事は知ってる」
鳴戸 玲生(ナルド レオ)「さっきあの人から聞いた、 作品を『完成』させる為の『3ヶ条』」
鳴戸 玲生(ナルド レオ)「『制作期間を限定する』 『自分に対して甘くなる』」
鳴戸 玲生(ナルド レオ)「最後は聞きそびれちゃったけど・・・ 多分あの人なら、」
鳴戸 玲生(ナルド レオ)「『自分の好きなようにやる』!」
『美の神』「・・・」
『美の神』「フリーハンドで 『ひまわりの螺旋』をここまで描くかぁ」
『美の神』「あなたの『その目』は、きっと常に・・・」

〇センター街
  ランク【B】-秀作
『蝋人形』の芸術「アイツ!土壇場で『創作』しやがったッ!!」
『怪人』の芸術「クッッッソカッケェェェェ!!!!」
『摂理』の芸術「”Veni,Vidi,Vici.”(来た、見た、勝った)」
鳴戸 玲生(ナルド レオ)「私の『目』は、黄金の比『神聖比率』を、 創作の『美しさの根源』を見抜く・・・」
鳴戸 玲生(ナルド レオ)「『創作要素の解析』が出来たなら、 後は『勝ちを描くだけ』でチェックメイトよ」
  『蝋人形』の芸術:全身の主材質は【強化された蜜蝋】。【頭部の炎の温度と規格の操作】と、頭部の赤いサーベル状の蝋を炎で
  溶かし、【蝋人形を制作する】。蝋のストックは∞。想定される戦術は炎の操作による燃焼、燃やした蝋を飛ばす遠距離攻撃、蝋人形
鳴戸 玲生(ナルド レオ)「情報量でアタマが割れそう・・・! でもこんな『美しさの欠片もない奴』に!」
鳴戸 玲生(ナルド レオ)「負けてられない!」
『怪人』の芸術「なんかイキナリ『カード』くれたんだけど! もう俺アタマついていってないよ!?」
  『神聖比率代入』

〇センター街
  ランク【�】-怪作
『神聖比率』の『怪人』の芸術「■■■■■■■■??!! (言語化出来ない喜び)」
『神聖比率』の『怪人』の芸術「ちょ・・・おまっ・・・コレ・・・」
鳴戸 玲生(ナルド レオ)「御託はいいから!後ろぉ!!」
『蝋人形』の芸術「さっさと消えちまえ炭野郎ォォォ!」
『神聖比率』の『怪人』の芸術「お前の攻撃の起点は、『頭』」
『神聖比率』の『怪人』の芸術「『ブラック』の赤い刀剣は 『物質の硬度を無視して切り伏せる』」
『神聖比率』の『怪人』の芸術「『ビートル』じゃ機動力無くて 後手に回ってたけどよォ・・・」
『神聖比率』の『怪人』の芸術「『真正面から不意打ちかまして勝つ』 ・・・超イカしてる怪人じゃねーか!」

〇センター街
美計良 治郎(ミケラ ジロウ)「お陰様で乗り切ったな!」
美計良 治郎(ミケラ ジロウ)「俺、『美計良 治郎』っていうんだ!」
鳴戸 玲生(ナルド レオ)「私は『鳴戸 玲生』・・・ 改めてよろしく・・・」
タッソー「クソッ・・・!クソッ・・・! お前らみたいな『失敗作』に・・・!」
タッソー「オレの『作品』こそ・・・ 『最高の芸術』で・・・!」
「・・・」
  残り参加人数が、50人を切りました
「!!」
『美の神』「会敵するように初期配置したんだ 決着つけばこんなもんだ」
『美の神』「君たちみたいに徒党を組んだ 参加者も出てきている・・・楽しみだね」
鳴戸 玲生(ナルド レオ)「さっきの戦いを・・・ 正当化しようとは思わないけど・・・!」
美計良 治郎(ミケラ ジロウ)「お前は一体!! なんでこんな事するんだよ!!!」
『美の神』「『今の世界は美しいか』?」
鳴戸 玲生(ナルド レオ)「?」

〇芸術
『美の神』「『創造主』がアダムとイブを創った理由、 知ってる?」
『美の神』「答えは、エデンの園を管理させるため」
『美の神』「自分の『創造物』の管理を、 『創造物』である人間に任せたのよ」
『美の神』「その選択が、神の無能さを裏付ける 『間違い』と『発見』を生んだんだけどね」
『美の神』「『間違い』は、『不完全な創造物』に 理想郷の管理を任せてしまった事」
『美の神』「『発見』は、その人間の『創作力』が あまりにも凄かったって事」
『美の神』「神の想像なんか、軽く超えちゃうくらいに」

〇荒廃した街
  でも、世界は歪んでしまった
  飛び交うミサイルや銃弾

〇枯れ井戸
  汚れた水を啜る子供達

〇SNSの画面
  荒んだ精神、行き過ぎた言葉の暴力

〇センター街
『美の神』「こんな『美しくない世界を作った人間』に 先の未来なんか、託したくない」
『美の神』「そんな世界を『見ないフリしてる人間』も ・・・・・・同罪なのさ」
『美の神』「だがそんな奴らでも、 こぞって視界に取り入れようとする物がある」
『美の神』「────それが『美しい物』、 『芸術』なのさ」
美計良 治郎(ミケラ ジロウ)「・・・お前は、」
美計良 治郎(ミケラ ジロウ)「本当に、『神様』なのか?」
『美の神』「────ああ、神だよ」

〇サイバー空間
  さぁ、創れ
  漫画でも
  文学でも
  料理でも
  『最高傑作』を、『完璧な世界』を
『美の神』「お前たちが、創り上げろ」

コメント

  • バトルシーンかっこよかったです!
    レオとジロウがタッグ組んで戦うとことか、超好みでした!

  • すごい作品でした...今回も必死に食らいついておりました...!💦💦
    作中、心に刺さる台詞が多く、とても読み応えがありました🤣
    『神でさえも俺の傑作を理解できない』…私の好きな言葉です👨‍💼

  • 『創作』というテーマ&それをバトルに落とし込む設定が素晴らしい!才能はあるのに自信がない玲生と才能は微妙でも自信だけは凄い治郎のコンビがいいですね
    迷作を連発してきた治郎の辿り着いた先が能力の目安に載ってない『怪作』とか、最高に厨二で堪らない!チラッと出てきたブラックがここで活きるとは…
    人間の創作力が神の想像を遥かに超えるという世界観も勇気をもらいました
    あと🦍の出てくるタイミング完璧すぎるw

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