第五話 天使の贈り物(脚本)
〇綺麗な一戸建て
夜。ラックは、ほかの魔法少女のお守り役と会っていた。
精霊鳥「ピョピョ、チチチ・・・」
ラック「そうか、なるほど」
ラック「ディアナって魔女は、相当なタマらしいな」
ラック「助かったぜ。この借りはいつか返すから」
精霊鳥「ピョッ、ピョッ・・・」
〇可愛い部屋
天羽春乃「弥生ちゃんと千尋ちゃんを牢屋から助けないと!」
ラック「落ち着け、春乃」
天羽春乃「でもでも! 早くしないとあの二人、生贄にされちゃうんだよ!」
ラック「生贄の儀式は金曜の夜に行われるもんだ。まだ三日の猶予がある」
天羽春乃「ホッ、そうなんだ」
天羽春乃「ムチャムチャムチャ・・・」
安堵した春乃は、とりあえず好物のバナナキャンディーを頬張る。
ラック「ディアナっていうあの魔女のことを調べてみたんだが、思った以上に厄介な奴だぞ」
ラック「メディアでも報道された、いくつかの怪死事件──」
〇ビルの屋上
落雷による有名企業家の感電死。
〇空港の滑走路
〇空港の滑走路
自家用機の爆発による国会議員の事故死。
〇可愛い部屋
ラック「これらは、あの女の仕業らしい」
天羽春乃「それって魔法で?」
ラック「ああ、裏社会から依頼を受けて金儲けでやってるんだ」
天羽春乃「魔女って、そんなにこわいんだ・・・」
ラック「魔女のことは、もっと早くに説明しとくべきだったな」
ラック「町内で活動してる限りは、遭遇することなんかないと高をくくってたおれのミスだ」
ラック「しかもこのディアナってのは、魔女の中でも特に凶悪な部類だ」
ラック「本来なら、絶対に関わるべきじゃないが・・・」
天羽春乃「でも魔法少女はあきらめない!」
天羽春乃「だって弥生ちゃんを森に誘ったのはあたしだもん。あたしのせいだよ・・・」
天羽春乃「そうだ、お巡りさんに助けてもらうのは? あの人たち鉄砲とか持ってるし」
ラック「あの結界がある限り、警察は屋敷を見つけることもできないだろうな」
ラック「こいつは、俺たちのような魔力のある人間にしか使えないんだ」
ラック「警官は絶対にあのトンネルをくぐれん。屋敷を目にしない限り、おれたちの話なんか信じまい」
ラック「頭のおかしい不審者扱いされるだけだ」
天羽春乃「ヴヴ~~ん・・・!」
ラック「敵は、子供を何人も生贄にしてパワーアップしてきた大魔女だ」
ラック「まともにやりあって勝てる相手じゃない」
ラック「ディアナを倒す唯一の方法は、対魔女最強魔法〈正義の鉄槌〉しかないだろう」
ラック「どんな強大な魔女でも、一瞬で跡形もなく消滅させる魔法だ」
天羽春乃「なんか、すごそう!!」
天羽春乃「でも、そんなのどうやるの?」
ラック「魔法少女になったとき、天使からもらったものがあるだろ」
天羽春乃「う~んと、そういえば・・・何かキラキラしてキレイなものを・・・」
〇可愛い部屋
天使「魔法少女になった特典として、これも授けましょう」
天使は魔法のアイテムを取り出す。
天羽春乃「わ~い、得した~!」
天使「これはあなたの身を守ってくれるアイテムですから、大事にするんですよ」
〇可愛い部屋
天羽春乃「そうだ、大事な魔法アイテムをもらったんだ。どこにやったっけ?」
ラック「おい、あれには膨大な魔力が封じ込められてるんだぞ」
天羽春乃「う~ん、キレイだったから捨ててないと思うんだけど・・・」
春乃は、収納スペースの扉を開ける。
天羽春乃「あるとしたら、ここだと思う」
天羽春乃「あっ!!」
ラック「なんだ? もう見つかったのか?」
天羽春乃「おじいちゃんが八歳の誕生日プレゼントにくれたチャンバラセットだ。なつかしい~♪」
天羽春乃「あっ!!」
ラック「こんどこそ、見つかったか?」
天羽春乃「お母さんに作ってもらった、ケットちゃんのフェルト人形だ!」
天羽春乃「小さいから、どこにいったかわからなくなってたんだよね。よかった~♪」
天羽春乃「そうそう、これこれ」
春乃はオモチャの宝箱を取り出す。
蓋を開け、オモチャの宝石の山をガラガラと物色する。
天羽春乃「あった!!」
天羽春乃「そうそう、この腕輪。キレイだね~」
天羽春乃「あれ? 〝腕輪〟って、たしか・・・」
ラック「そうだ。あの魔女が言ってたのは、これのことだ」
ラック「左の手首に嵌めてみろ」
天羽春乃「うん、ピッタリ♪」
ラック「それを右手で触れながら呪文を唱えれば、どんなヘボな魔法少女でも〈正義の鉄槌〉が発動できる」
ラック「そいつであの魔女を、この世から消滅させるんだ」
天羽春乃「う~ん・・・」
ラック「どうした? 何も難しいことはないだろ」
天羽春乃「消滅って、ちょっとかわいそうな気が」
天羽春乃「ディアナさんにも事情があるだろうし・・・」
ラック「アホウ! やらないとやられるんだぞ!! その迷いが命取りだ!!」
ラック「そんなふうに躊躇するから、魔法少女はすぐ魔女の餌食になるんだ」
天羽春乃「でも美味しいクッキーもごちそうになったし・・・」
ラック「わかってるのか? あの魔女を倒さない限り、姉妹を助けることはできないんだぞ」
天羽春乃「う~ん、そうだけど・・・」
天羽春乃「やりかたが乱暴で、魔法少女らしくないっていうか・・・」
ラック「いいか、あのおっとりした天使でさえ、天界の授業で──」
〇雲の上
天使「〈正義の鉄槌〉は、あくまで魔女から身を守るためのもの。攻撃用のアイテムではありません」
天使「ですが悪魔の手先である魔女は、下劣の極みたる存在」
天使「ここぞというときには、いっさい容赦する必要はありません!!」
〇可愛い部屋
ラック「──て具合にキレてたほどだからな」
天羽春乃「天使さまも?」
天羽春乃「う~ん、じゃあしかたないかぁ・・・」
〇黒
つづく・・・
次回予告
第六話 魔法決戦(1)突入!
またみてね!
魔女を消滅させるアイテムですか。これからが楽しみです。
決戦に突入ですか。
相手は暗殺者。春乃ちゃんは誘拐事件に終止符を打てるか。
楽しみにしてます!