パンイチ冒険者ケンイチ

紅月桜

第三話 パンチとパンイチは似ている(脚本)

パンイチ冒険者ケンイチ

紅月桜

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〇城壁
女冒険者「さっきから一体何を言っている? 決闘なら相手になるぞ」
プレイヤー狩り「わからないかなァ ボクにはみぃんなわかってるよォ? お姉さん・・・いや、田中きよこさん」
女冒険者「どうして私の本名を!?」
プレイヤー狩り「ボクはなぁでも知ってるさァ きよこさんのことも、娘のひまりちゃんのことも」
プレイヤー狩り「ひまりちゃん、まだ中学生なのに塾で夜遅いよねェ?住所も学校も塾も、帰り道によく寄るコンビニもボクは把握してるよォ?」
女冒険者「何なのあんた・・・ひまりのストーカー? 警察に通報するから!」
プレイヤー狩り「別にいいよォ?僕は「無敵の人」・・・どうせなら最期にひまりちゃんに一生忘れられない思い出作ってあげるよォ」
女冒険者「・・・っ!!」
女冒険者「やめて!お願い、娘には手を出さないで!」
プレイヤー狩り「ふふふ・・・大丈夫、ボクぁ優しいんだ。 そのアバターの首を差し出すだけでェ、リアルのほうは見逃してあげるよォ」
女冒険者「・・・本当に? 本当に見逃してくれるの?」
プレイヤー狩り「くどいなァ 早くしないと気が変わっちゃうよォ?」
女冒険者「・・・っ!!」
女冒険者(個人情報バレてるのは事実。娘に万一のことがあったら・・・!ゲームアバター捨てるだけで済むなら安いもの)
女冒険者「私の首を・・・差し上げます・・・」
プレイヤー狩り「いただきまァす」
プレイヤー狩り「ふふふ・・・レベルア~ップ」

〇児童養護施設
  第三話 パンチとパンイチは似ている
ケンイチ「パンイチ・パンチ!」
ケンイチ「あと三匹!」
ケンイチ「パンイチ・パンチ! パンイチ・パンチ! パンイチ・パンチ!」
オータ「クエストの討伐数、達成しタ ギルドに報告すれバ報酬、もらえル」
ケンイチ「やった!クエスト初クリア!」
パンツくん「地上のゴブリン程度なら一撃じゃな トロール戦でレベルアップした今、オータと組めば二階層でも通用するじゃろ」
ケンイチ「俺まだ二日目なのに?ゆきちゃん達はずっと一階層どまりって(盗み)聞いたけど」
パンツくん「あの娘達は全員レベル一じゃった 大半のプレイヤーはずっとレベル一じゃ」
ケンイチ「ずっとレベル一!?」
パンツくん「このゲームでレベルを上げるには「金星」が要る。高い死のリスクを背負って格上に勝つこと──昨日のトロール戦がそれじゃ」
パンツくん「多くの者はそんなリスクは避けるか、あるいはイチかバチかの賭けに出た結果、順当に敗北してデスペナルティを受ける」
パンツくん「レベルアップせずとも能力値やスキルは使うほど伸びるが、レベルアップによる上昇ボーナスは桁違いじゃ」
ケンイチ「じゃあ初日でレベルアップした俺すごくない?」
パンツくん「うむ、歴代二十二位の大記録じゃ」
ケンイチ「二十二位? び、微妙・・・」
オータ「GFのユーザー数、多イ 二十二位、立派」
オータ「しかもケンイチ、すでにスキル、使いこなしてイル」
ケンイチ「俺にスキルなんてあったの?」
オータ「トロールの動き、先読みせねバ、昨日の戦果、あり得なかっタ」
パンツくん「ケンイチにはスキル【聞き耳】が発現しておる」
ケンイチ「【聞き耳】で先読み・・・?」
ケンイチ「あ!敵の呼吸音が聞こえるのがスキルか!息を吸い込む瞬間に隙ができるからそれに合わせて動いてたんだ!」
オータ「誰でもできるコト、違ウ 優れた戦士の素質アル」
ケンイチ(実は俺、バトルの天才?)
パンツくん「スキルはゲーム内の行動で発現する。魔法学院や教会で専門訓練を受ける他、プレイヤースキルによるものもある」
パンツくん「例えば現実で剣道を習った者がゲーム内で剣を扱うと【剣技】のスキルが発現しやすい」
ケンイチ(盗み聞きのクセがついてたから【聞き耳】が発現したのか・・・)
ケンイチ(あ、ゆきちゃんの声!)

〇城壁
プレイヤー狩り「ねぇ君ィ、ボクとパーティー組もうよォ」
スノー「えっ・・・」
スノー「すみません、別のパーティーに登録済みです」
プレイヤー狩り「はぁああ? 君以外全滅でしょォ?」
プレイヤー狩り「ねぇ・・・ゆきちゃん?」
スノー「ど、どうして名前を知ってるんですか?」
プレイヤー狩り「ボクはなぁでも知ってるさァ 君の住まいも小学校もお友達のこともなぁんでも」
プレイヤー狩り「女子小学生一人じゃ危ないよォ? ボクがいろいろ教えてあげるからさァ」
プレイヤー狩り「僕はリアルで登下校する君をずっと見守ってきたんだよぉ?曲がり角で、自販機の横で、電柱の陰で、前を歩く君のすぐ後ろで・・・」
ケンイチ「よせ!嫌がってるじゃないか!」
スノー「ケンイチさん!」
プレイヤー狩り「うわぁ、露出狂だァ!」
ケンイチ「くっ・・・!」
スノー「ごめんなさい・・・ログアウトします、さようならっ!」
プレイヤー狩り「おいおい逃げるなよォ? 逃げても意味ないんだよォ?」
ケンイチ「さっきの話聞いてたぞ! あの子に何する気だ!」
プレイヤー狩り「ふふ・・・ナニをするのさァ」
オータ「不届き者、グンマァの名において成敗スル」
プレイヤー狩り「引っ込んでなよォ、君がリアルでやり合えばどうなるか・・・わかるよねェ?ダイコウ君?」
オータ「・・・!!」
ケンイチ(ダイコウ?オータの本名?どうなるかって何だ?ひょっとしてリアルのオータは格闘家とかで、喧嘩したら罪が重くなるとか?)
ケンイチ「!! 誰かいる・・・姿は見えないのに衣擦れの音がする!」
ヒカリン「いやぁ、透明マント羽織っとったのに気づくとは、さすがは期待の新人君やなぁ」
プレイヤー狩り「げぇっ!ヒカリン・・・!」
ヒカリン「ありゃりゃ、逃げてもうた。ワイの動画配信に映るチャンスやのに。恥ずかしがり屋さんやなぁ」
ヒカリン「それよりケンイチ君!マジでパンイチやん!ワイも縛りプレイは好きやけど完全に上を行かれたわ!」
ヒカリン「あ、ワイのことは知っとるやろ?」
ケンイチ「だ、誰・・・?」
オータ「知らん」
ヒカリン「ありゃ悲しい・・・」
ヒカリン「ワイはヒカリン。ゲーム実況が趣味のFランク冒険者や。今日はランキングを駆け上がったルーキーに会いに来たんや」
ケンイチ「はぁ・・・」
ヒカリン「ま、レベル二到達の最短記録はニュクス君の七分二十秒やけど」
ケンイチ「七分!?」
ヒカリン「ログインしてすぐ、冒険者ギルドの前で格上の冒険者にいびられて、その場でぶった斬ってレベルアップしたんやて」
ケンイチ「すごすぎる・・・」
ヒカリン「なぁに、あんなんと比べてもしゃあない ワイは弱いもんの味方や 何でも頼ってくれてええで?」
ケンイチ(頼るといってもFランクじゃなぁ。トロール倒した俺達のほうが強いし)

〇古いアパートの部屋
母「ケンイチ! もう一時間経つわよ!」

〇城壁
ケンイチ「げっ、もうそんな時間!? ごめん、また今度!」
ヒカリン「チャンネル登録よろしくねー!?」
オータ「・・・オマエ、恐ろしく強いナ?」
ヒカリン「んー?」
オータ「ナゼ、Fランクのままなのカ?」

〇教室
朝日ケンイチ(木曜の朝──)
朝日ケンイチ(昨日ゆきちゃんに絡んだ変な奴、きっと近所に住んでるんだよな?)
朝日ケンイチ(ゆきちゃん大丈夫かな・・・)

〇教室
  この日、ゆきちゃんは学校に現れなかった

次のエピソード:第四話 ごめん、君の気持ちには応えられない

コメント

  • んんん? 何があった???

  • ゲーム内だけじゃなく、リアル世界でも事件が起きるんですね!ユキちゃんが心配。
    ケンイチの必殺技がエピソードタイトルに絡めているのが、細かくて面白いです。

  • PK野郎がキモ過ぎる…… オンゲーの経験はないんですが、凄いリアリティ感じました。
    しかし致命的なバグとかはなさそうなのに、謎のクソゲー臭。なのに賞金3億円? 謎が謎を呼ぶ……(特にパンツ)

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